第720話 王都での夕飯。(エルヴィス家と王家)
王城内の武雄達の部屋にて、武雄とアリスとスミスとジェシーとボールドが夕飯を食べていた。
デザートで出されたのはレアチーズケーキとイチゴのゼリー。
もちろん料理長と武雄とアンの3名で話し合い済み。
なので王城と第1皇子一家とエルヴィス邸ではどちらも出せるとしたのだった。
「美味しい♪」
「うわぁ♪」
アリスとスミスが満面の笑顔で食後のデザートを満喫する。
「はぁ・・・流石は王都なのかしら?
タケオさん、どっちを作ったの?」
「三角の方ですね。レアチーズケーキと言います。
こっちのイチゴのゼリーはアン殿下です。」
「ほぉ。」
ボールドが頷きながら食べていた。
アリス達は一心不乱に食べているが武雄達3人はのんびりと楽しんでいた。
「このプルプルなのは何かしらね?
んー・・・材料がわからないわ。」
「ゼラチンというらしいですよ。
牛から取っているらしいですが、精製が難しいとかで価格が高いそうです。」
「ふーん・・・ゼラチン・・・牛・・・
ボールド、牛から取れるのはニカワだったわよね?」
「はい、接着剤ですね。
それ以外では聞いたことがないですが。
キタミザト殿、その辺は聞きましたか?」
「ええ。確かにニカワとか言っていましたかね。
それをさらに精製して食用まで高めるんだとかなんだとか。」
「ニカワですか・・・まぁ王城で出るなら変な物ではないのでしょうが・・・」
「そうね。」
ボールドとジェシーが複雑な顔をさせて言ってくる。
「?・・・何か問題でも?」
武雄が不思議そうに聞いてくる。
「タケオさん、接着剤が材料と聞いて何とも思わないの?」
「特には・・・それに牛から・・・もともと食べられる物から精製しているのでそこまで不安はないです。」
「そうかぁ。
私はもう少し食べ慣れないといけないかなぁ。」
「そうですね。」
ジェシーとボールドが頷くのだった。
「タケオ様、これはうちでも作れますか?」
アリスが食べ終わり武雄に聞いてくる。
「それがですね。
このゼラチンは乾燥させられるとかで日保ちはするらしいのですが、極々限られた量しか販売されていないらしく、一般向けには販売していないそうです。」
「えぇぇぇぇ・・・・」
アリスがガッカリとする。
「一応、料理長には入手出来たらこっちにも転売してくれるようにお願いもしましたが、少し先になりそうです。」
「あ、希望はあるのですね?」
「まぁ・・・そうですね。」
武雄はあいまいな返事をする。
というのも、料理長が「このアン殿下のゼリーとキタミザト殿のレアチーズケーキは王城で頻繁に出しますかね?」と言っていたのが印象的で、果たしてこっちにゼラチンが回って来るのかを心配しているのだった。
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王家の食卓には夕飯と一緒にレアチーズケーキとイチゴのゼリーが用意されていた。
「むぅ・・・デザートが2つ・・・」
レイラが夕飯のメイン料理を見ないでスイーツを凝視していた。
「ふむ・・・レイラ、とりあえず夕飯を食べようか。
料理長、今日はどういった料理・・・なのかはまぁ見ればわかるが、コロッケか。」
「はい、陛下。
今日はコロッケが2種類になります。」
「ほぉ、いつものジャガイモではないのか?」
「一つはキタミザト殿に教えていただいたコロッケ。
もう一つはオーク肉と牛肉のひき肉を使ったメンチカツという物を作ってみました。
王家以外にはコロッケのみお出ししております。
またメンチカツはキタミザト様に教えていただきました。」
「肉をか、なるほど。」
アズパール王が頷く。
「あとはキノコスープとデザートが2種類。
1つはアン殿下と作ったイチゴのゼリー。もう一つがキタミザト殿が作ったレアチーズケーキとなります。」
料理長の説明が終わっても皆が動きを止めている。
「あの・・・陛下?殿下方?・・・どうしましたか?」
「うむ・・・タケオが作ったのが2品とな?」
「タケオさん、来て早々・・・私達領地に帰れるかしら・・・」
ローナが呟く。
「・・・レシピは貰ってあるし問題ないわよ、きっと。」
セリーナも呟く。
「あの・・・お爺さま、食べたいのですけど。」
エイミーが聞いてくる。
「あぁ、そうだな。では食べようか。」
王家一同が一斉に食べ始めるのだった。
・・
・
「アン!見事だったぞ!」
食事を終えて陛下が満面の笑みをアンに向ける。
「ありがとうございます、お爺さま♪」
「アン、やったわね。
それにしてもこのプルプル感はプリン以来の衝撃だわ。」
「アン、良かったわね。
お義父さまにもタケオさんにも褒めて貰えて。」
「はい♪」
アンはアズパール王とローナとセリーナに褒められて満面の笑顔をする。
その顔をクリフが見ていて「うちのアンは出来る子だ♪」と嬉しそうにしてる。
「はぁ、アンがこんなスイーツを作るとは。」
「アンちゃん、良かったわね。」
アルマとレイラも嬉しそうに言う。
「・・・アン・・・」
今まで大人しかったエイミーがボソッと呟く。
「はい?なんですか?エイミーお姉様。」
アンが顔をエイミーに向けるとエイミーは席を立ちアンの横に移動する。
「アン、私にスイーツの作り方を教えて!!
お願い!お願いします!」
唐突にエイミーがアンを抱きしめながら懇願する。
「ふぇ!?どうしたのですか!?エイミーお姉様!」
「あー!私も教えて欲しいです!」
クリナもエイミーの反対側からアンに抱き着く。
「ふぁぁ!?どうしたのですか!2人して!?」
アンはいきなりの事に驚く!
「あら~・・・どうしたのかしらね?」
ローナが楽しそうに見ながら呟く。
「あぁ・・・エイミーはちょっと訳ありでして・・・」
リネットが苦笑している。
「ん?なになに?」
レイラが目を煌かせながら聞いてくる。
他の大人たちも前のめりで聞いてくる。
「あの・・・エルヴィス家の・・・」
リネットはレイラの目を見れずに目を逸らせながらボソッと呟くだけになる。
「・・・スミスかな?」
レイラが聞いてくる。
「はい。
なんでも・・・男性に食べ物を持って行くと好感度が上がるとか書いてあったとかで・・・
出来れば手作りが。」
「・・・ウィリアム、どう思う?」
アルマが聞いてくる。
「嬉しいんじゃないかな?」
「クリフは?」
ローナが聞いてくる。
「嬉しいだろうな。まぁ味にもよるが。」
「そうね・・・食べれる物が基本よね。」
セリーナも同意する。
「俺は妻からの料理というと・・・ないな。」
ニールがチラッとリネットを見る。
「・・・殿下、前に討伐の際に作ったではないですか。」
リネットがジト目でニールを見る。
「あれって戦時食じゃ・・・あれも料理に入るのか?」
ニールが汗をかき始める。
「そこは各々の判断ね~。
それにしても料理かぁ。
リネットはどう?」
「私は鍋ぐらいしか。」
リネットが苦笑する。
「料理長に頼んだら?」
「エイミーさんが誰に作るかで王城内で問題に発展しませんか?」
ローナの提案にクラリッサが言ってくる。
「・・・それはあり得るな。」
アズパール王が頷く。
「でも作ってあげたいと思う乙女心はわかるわね。」
「そうね、ローナは特にね。」
ローナの呟きにセリーナが目線を落としながら呟き返す。
「・・・はは、今はもう懐かしい思い出だけどね。」
ローナが苦笑する。
「ん?セリーナお姉様、どういうことですか?」
アルマが聞いてくる。
「ローナは壊滅的に料理が出来ないのよ。
特に味が・・・」
「そうだったな。気持ちは通じるんだけど・・・味がな。」
セリーナとクリフが遠い目をする。
「クリフが何回お腹を壊したか・・・あの経験は伊達ではないわね。」
「あぁ、世の男達もそういった経験はしていると信じている。」
セリーナの言葉にクリフが強く頷く。
「・・・で、どうしましょうかね?
エイミーは誰に教えを請えば?」
クラリッサが聞いてくる。
「・・・料理長がダメなら居ないんじゃない?」
アルマが諦めながら言ってくる。
「・・・タケオさんなら上手く出来るのでは?
ヒルダちゃん達にも教えていたし。」
レイラが考えながら言ってくる。
「あぁ、年齢的には同ぐらいだろうね。」
ウィリアムも頷く。
「「ヒルダって誰?」」
王妃たちが聞き返す。
「エルヴィス家の料理長の娘さん。」
レイラが指を上げながら言う。
「レイラ、ヒルダは特別だ。
タケオが見出した子だぞ?そもそも料理の基礎が出来ている状態だっただろう。
エイミーはした事もないんじゃないか?」
アズパール王がため息をつく。
「でも、同じ年齢ぐらいなら何とか出来るのではないですかね?」
「そうは思えんが・・・
やはり料理長に頼むしかないのではないか?」
「ん~・・・」
王家の大人たちがエイミーの為に考え始めるのだった。
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