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第717話 王都に到着。(第3皇子一家の雑談。)

卸売市場の話を終えて各々は部屋に帰って行った。

第3皇子一家の執務室にはウィリアム達がお茶をしながら雑談をしていた。


「この黒板というのは便利ね。」

アルマが黒板を見ながら言っている。

ちなみに黒板は現在レイラが才気あふれる形で落書きをしていた。

「・・・レイラ、これは朝日で輝いている山かな?」

「頑張りました♪」

ウィリアムが出来上がりが上手過ぎて呆れている横でレイラが満足顔をさせる。

「消すのがもったいないのですけど・・・」

エリカが雑巾を片手に消すのを躊躇していた。

「そういえばアルマ、さっきの話で皆が新しい物好きなのがわかったね。」

「貴族達が新しい物を率先して買うのは知っていますし、実際その通り他の貴族も動くでしょうが・・・即決しますかね?

 あの早さは尋常じゃないわよ。」

「まぁ、販売元がタケオさんだしね。

 今までのトレンチコートやウォルトウィスキーを知っていたらあの対応はわかるけど。

 アルマお姉様、なんでテンプル伯爵(・・・・・・・・・)が早く動くのですか?

 事前に会っているジェシーお姉様はわかりますけど、テンプル伯爵が動く理由がありません。」

アルマの言葉にレイラがため息混じりに聞いてくる。

「・・・たぶんジェシーが動くからでしょう。

 兄上は良くも悪くも保守的なのよ。

 新しい事には慎重だし、有効な手立てがあるなら敢えてリスクはとらない。

 何かするにも前例や他者との共同が好きね。」

エルヴィス家(うちの実家)とは逆なんですね。

 まぁ薄々感じていましたけど、それにしてもそれほど慎重なのはどうしてなのでしょうかね?」

「性格的な事は別としてテンプル伯爵領は新しい事をしなくても(・・・・・・・・・・)潤っているから(・・・・・・・)ね。

 わざわざ新しい事をしてリスクは取らないわよ。

 兄上からしたらエルヴィス家は尋常じゃない政策を打ち出してくるからね。

 昨年取った政策の逆を次の年にするとか正気の沙汰じゃないわ。」

エルヴィス家(うち)お金ないし・・・

 より良い政策をしなければ皆のお腹膨れないし・・・」

レイラが少し悲しそうな顔をさせる。

「・・・だが、タケオさんがエルヴィス家に加入した事で今後10年でエルヴィス家の評判は変わるはずだよ。

 我が国で一番の技術力を有し、街は活気づき、人・物・金が集まる場になる。

 そして魔王国との戦いでは戦術を駆使して対応していく最新鋭の兵士達が守る事になる。

 その横にあるゴドウィン家は盤石な領地運営を行い、テンプル家は潤沢な穀物でそれら2伯爵領を後ろから支えるといった役割分担が出来るだろうね。」

「私達は?」

アルマが聞いてくる。

「僕たちはその後ろ。

 各地から物を集め分配する場を作る事と専売局で作り出した物を各地に配達する事が任務だよ。

 ついでに王都とのやりとりをする事だね。」

「・・・王都とのやりとりかぁ。

 その辺は地域に1王家1研究所(・・・・・・・)があるという事に意味があるのかな?」

「王都で何か会議があれば僕とタケオさんだろうね。」

「そうね。わざわざ領地持ちを行かせる必要もないわよ。

 それにタケオさんとアルダーソンでしょ?

 どちらもお義父さま直轄だからどちらかといえば王家寄りだし、変な事にはならないと思うけど。」

レイラとウィリアムとアルマが考える。


「タケオさんから輸送船の開発は難しいと言われたけど・・・実際はどうなんだろうね。」

「ウィリアム殿下、あのような対立している感じで良かったのでしょうか?

 指示どおりわざわざ肩書き(・・・)の方でやり取りをしましたが・・・」

「あれはあれで意味があるからね。

 基本的にはタケオさんは自由(・・・・・・・・)なのだけど、他の貴族の手前一応管理している(・・・・・・)としておかないとね。」

「私としては、エリカさんにはもう少しタケオさんに意見して欲しかったなぁ。」

レイラがエリカに注文を付ける。

「大体、卸売市場はタケオさんが発案しているんですよ?

 ・・・意見なんてしたら絶対反論されましたよ・・・私には言い返せないくらいに。

 なので今は聞くぐらいしか出来ません。でなければ私の方が先にボロが出そうです。」

エリカが「嫌だ」という顔をする。

「タケオさんならその辺は上手く対応してくれると思うけどね。

 そういえばタケオさん、変な言い方してたわね。

 『船の設計が出来る者』が欲しいとか言っていたような。」

アルマが首を傾げて言ってくる。

「言っていたね。

 アルマ、普通に考えて設計だけ(・・・・・)で良い船は作れると思うかい?」

「思わないわね。

 設計図だって大まかな寸法や外形が書かれているだけだしね。

 最終的には腕の良い船大工を雇って職人の腕や知識、勘も必要なはずよ。

 それは大型だろうが中型だろうが小型だろうが変わりないはずね。」

「んー・・・タケオさんは設計をしてどこかの船大工に頼むのかな?」

「それも1つの手よね。

 無理して向こうでする必要はないもの。それなら発想が柔軟な設計者を雇う意味もあるかな。

 なら有力な船大工をうちの街に誘えればのちのち産業になるかなぁ?」

レイラが「はて?」と考える横でアルマが何やら構想を練り始める。

「とりあえず船大工等々は先だと思いますし、必要ならタケオさんが聞いてくるかと思います。」

エリカが回答の先延ばしを進言してくる。

「とりあえず進捗を待つしかないかもね。」

「そうね。」

ウィリアムとアルマが頷いている横でレイラが「タケオさんが船大工を雇う・・・本当に?」と考えているのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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