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第700話 ジェシーと武雄の相談。3(今後の魔王国方面の行方と武雄の役割。)

夕食はソーセージのピザに出汁の卵スープとコロッケとプリンが出されていた。

ジェシーもボールドもピザにも驚き、ウスターソースにも驚いていた。

ジェシーに至ってはコロッケを一口食べて「ウスターソースは毎月樽2つ注文するから!」と意気込んでいた。

でそんなこんなで夕食後の客間に移動したのだが・・・


「え?獣人にスライム?」

ジェシーとボールドが固まる。

「ちょーっと待ってね。

 アリスからタケオさんがカトランダ帝国で奴隷を買ってきたというのは聞きました。

 陛下や王家、王都の上位文官陣が認めているし、見た目も普通だから何も思いませんでしたけど。

 この2人は獣人なの?それにこっちの子はスライムなの?」

「はい、その通りです。」

アリスが普通に返す。顔には「何が問題で?」という顔つきで。

「うむ。

 ジェシー、スタンリー。

 ヴィクターもジーナも夕霧も良い人柄じゃぞ?」

「ええ、まぁ、フレデリックが何も言わないんですから問題はないのはわかりますけど・・・

 近くに魔物を置くというのは・・・」

「あれ?ジェシーお姉様は魔物はダメでしたか?」

「え?いや・・・街中で見かけるし、普通に商売もしてくれているし、普通にしゃべってはいるけど・・・

 うちですらまだ街中に居る(・・・・・)程度よ。

 執事やメイドとは・・・お爺さま、平気なのですか?」

ジェシーが恐る恐る聞いてくる。

「問題ないの。

 ヴィクターは元領主だし、ジーナは貴族令嬢。夕霧はわしら人間種が来る前(・・・・・・・)からこの地に住んで居るエルダームーンスライム。

 気立ても良いし優秀じゃ。」

「・・・元領主?」

ジェシーが目を細めながら聞いてくる。

「ヴィクターは元の名をヴィクター・ヴィヴィアン・ファロンという。

 ジーナはジーナ・ヴィヴィアン・ファロンじゃったの。」

「「はい。」」

「・・・伯爵様。

 確かエルヴィス領と接している魔王国側の領主はファロン伯爵では?」

「今はファロン子爵じゃの。

 まぁその辺はアリスは言わなかったがの。

 タケオ、説明を頼む。」

「はい、わかりました。

 ではヴィクターとジーナ、そして夕霧達の話をします。

 あ、それと王都からの依頼も言っておきましょうか。」

武雄は説明を続けるのだった。

・・

「・・・まさかあの関の動きの裏にそんな陰謀が・・・」

「正確にはわからんがの。」

「いえ、伯爵様。

 今のヴィクター殿やジーナ殿の話と関の動き等々全体を見てみるとそこに行きつくかと。」

「うむ。

 この場の全員がそう思っておるとわしも思うが・・・確証がないのじゃ。

 首謀者がヴィクターの甥っ子だろうが違っていようがそこは追及も捜査も出来ん。

 確実なのは当主の寝込みを誰かが襲い、奴隷船に乗せて不在の状況を作り出し、その間に当主替えを行った者が居るという事実のみじゃ。

 そして現当主のファロン子爵は人間嫌いと来ておる。

 ついでに言えば今年は魔王国では次期国王の選定がある可能性があるの。」

「絶対関で何か起きそうなんですけど!?」

「うむ、陛下もそう見ている(・・・・・・・・・)の。

 ジェシーは入れ違いかもしれないがの。

 フレデリック。」

「はい。ジェシーお嬢様、こちらが王都からの通知になります。」

「うん・・・どれどれ・・・」

ジェシーが読み始めると途端に真顔になり、眉間に皺が寄り始める。

「「「・・・」」」

皆が見守る。

「ふぅ・・・何と言うか・・・」

ジェシーが疲れた表情をさせる。

「ふむ・・・言いたい事はわかるがの。

 じゃが陛下も何もしない訳にはいかないのはわかってくれているようじゃの。」

「そこはわかりますが・・・お爺さま、王都はやはり魔王国を侮っているのかもしれませんね。」

「まぁ、しょうがないじゃろう。

 我が国は西にカトランダ帝国とウィリプ連合国、東に魔王国じゃからの。

 どこかに集中して戦力を投入は出来んじゃろう。

 それにタケオの報告でもあった西がきな臭いしの。」

「難しい判断なのはわかりますけど・・・それにしたってこの金貨程度でどうやって関の強化をしろと・・・」

「じゃが・・・今までなら通達のみで費用は出さなかった王都が少量なりとも出したのじゃ。

 その心持ちは理解しなくてはならん。

 まぁ、西の事変に対応するにも東側がしっかりとしていないと出来ないからの。」

「・・・西の事を考えれば、東は安定をさせて西への準備を始めたいと思うでしょうね。

 なら当分は私達には関与は薄いでしょうか?」

「わしらにはの。」

「?・・・あぁ、タケオさんは王立でしたね。」

ジェシーが頷く。

「うむ。タケオは参戦依頼があるかもしれんがの。」

ジェシーとエルヴィス爺さんが武雄を見る。

「それを避けたいが為の第一、第二研究所なんだと思っているのですが・・・」

武雄が答える。

「うむ、一理あるの。

 じゃが、国を大きく眺めると西の大規模な戦闘に東側から誰も行かないのは王都での意見対立の元になる可能性がある。

 なら方面指揮官と(・・・・・・)お付きの貴族(・・・・・・)を派遣させ観戦させれば意見対立を和らげられると思うがの。」

エルヴィス爺さんが腕を組みながら語る。

「なるほど。

 地方貴族を動かすと留守の際に侵攻があった場合に万が一、敗戦でもしたら責任が王都にのし掛かるから、王都の都合で動かせて更には体制に直ぐに影響がなく権威もある者が選ばれるんですね。」

ジェシーが嫌みたっぷりで言い放つ。

「うむ、そうじゃの。

 これからはウィリアム殿下が我らを代表して観戦しに行ってくれると我らとしても行きたくもない(・・・・・・・)西側の戦線に投入されず、一方面に集中出来るのだがの。

 それに我らは領主じゃ。長期間兵と共に領地を空けるわけにはいかんじゃろう。」

「そうですね~。」

エルヴィス爺さんとジェシーがうんうん頷いている。

「・・・ウィリアム殿下だけ行かせるという選択肢はありますか?」

「「ない。」」

エルヴィス爺さんとジェシーが即答する。

「タケオさん、殿下が視察とかで動くとお供で貴族1名は連れていくわ。

 普通なら視察される側の貴族が付くんだけどね。」

「はぁ・・・確かに皆さんは領地防衛が役割ですからね。

 お付は領地がない者が行くしかないでしょうね。」

武雄は諦めながら言う。

「うむ。」

「お願いね。」

「まぁ観戦するだけですから指揮はしなくて良いのなら割と楽と考えるしかないのでしょうね。」

武雄は諦めながら言うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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