第694話 ヴィクターとジーナの魔法適性。
魔法具商店にテイラーと武雄、ヴィクターとジーナが戻って来た。
ヴィクターの武器を探そうかと思ったが魔法適性を詳しくは調べた事がないとの事でテイラーは準備中。
武雄とヴィクターとジーナはのんびりとお茶としている。
ちなみに鈴音とステノ技研の面々は早速、警棒作りの話し合いが始まっている。
「主、焚き付けるのが上手いですね。」
「ヴィクター、私は焚き付けてはいませんよ。ただ単に『とりあえず作って欲しい』と言っているだけです。」
「ご主人様は人を動かすのが上手いのですね。」
「いや、作らないなら作らないで構わないんですけどね。
皆の所に話を持っていくと勝手に動き出すんですよね。
まぁ、動く所に行くとも言えますけどね。」
「主、もし誰も動かなかったらどうしますか?」
「別に・・・一人であ~だこ~だと試作して遊んでますよ。
お金が無くなれば屋台でも出してじゃがバター売りでもすれば小銭も稼げますし・・・昼は簡単な料理で小銭を稼いで夜な夜な研究する、マッタリした日々が送れそうです。」
「ご主人様・・・絶対人気店になるのでマッタリは出来ないですよ?」
「1日5組限定にすれば良いと思いますよ。
1人銀貨2枚でやればそこそこ儲けそうですね。
パンにスープ、サラダに肉にデザートですか。
あとお土産のお菓子でも付ければ来てくれそうです。」
「主、隠居生活の予定が出来ていますね。」
「ええ。ですが、何だかんだと研究所が貰えましたからね。
そっちでのんびりと研究でしょうね。」
「ご主人様、マッタリ出来るのですか?」
「はい。
私はマッタリですよ。」
武雄が満面の笑みを向ける。
「配下の方々はどうでしょうか?」
ヴィクターが聞いてくる。
「さて・・・大変なんじゃないですか?
まぁどういった研究結果と報告書を上げてくるかはしてみないとわかりませんけども。
私はそれを評価、裁可するだけですし、他の時間は自分がしたい事をしているだけですからね。」
「ん~・・・お父さま、どうなのでしょうか?
途端にご主人様がダメ人間に見えます。」
「うむ、私もそう思っていた。」
ヴィクター親子が首を傾げる。
「ふむ。
私はしたい事、やりたい事、作りたい物を考え、周りがそれを実現できるか検討し試作する。
もちろん他の人達も同じように作りたい物は作っても良いですけどね。
ほら、私は腕に技術があるわけではありませんから。
誰かに作って貰わないといけません。なので私は大まかな概要を皆に伝えるだけなのですよ。」
「「ん~・・・」」
ヴィクター親子が首を傾げながら唸る。
テイラーから「用意出来ましたよ」と呼ばれ3人は移動するのだった。
さていつものように椅子が1つと机を挟んで対面で椅子が2つ用意された。
机の上には、PC用のマウスみたいな突起物がある。
「お座りください。」
とりあえずジーナが座る。
「ジーナさんですね。
えーっと・・・先ほど魔王国では適性等の検査はしなかったと聞きましたが。」
「はい・・・何もしていません。
お父さまも私も種族的な特徴で狼時の身体強化のみ強制的にかかります。
ファイアみたいに何かをする事は出来ないと教えられています。」
「そうですか、わかりました。
机の上の突起に手を置いてください。」
ジーナは、言われた通りに手を置く。
「あ・・・ご主人様、お父さま、手がムズムズします!」
ジーナは驚きながら何かに耐え始める。
テイラーは桶に入った水を見ている。と
「んー・・・確かにアリスお嬢様と同じですね。
それもその魔力が全部『身体強化』と『武器と衣服の強化』ですね。」
と呟く。
「では次に魔力量の計測をします。」
とテイラーは丸いフラスコに少し水が入った物を取り出した。
「ジーナさん、手をかざしてください。」
言われた通りに手をかざす。
「はい。」
とジーナが手をかざすと同時にみるみる水が増えていき、溢れそうになる。
「はい、手を外してください。」
「はい!」
ジーナは慌てて手をかざすのを止める。
だが、時すでに遅し・・・水が少し溢れていた。
「・・・すみません。」
ジーナが謝る。
「いえいえ、構いませんよ。
んー・・・アリスお嬢様と同じで魔力量が10000以上ですね。」
「あぁ・・・計れなかったのですね。」
「ええ。
では今度はヴィクターさんも計りましょう。」
「はい、お願いします。」
ジーナ席を変わり今度はヴィクターが測定をするのだった。
・・
・
「はぁ・・・」
テイラーは思いっきり深いため息をつく。
「どうしましたテイラー店長。
指輪は出来ましたか?」
「もう少しです。
呆れているのですよ。」
テイラーは武雄に頼まれたアリスと同じ任意でケアが出来る指輪(あの時選ばなかった宝石と細いリングの組み合わせ)を製作している。
ヴィクターは自分のショートソードを探している。
「魔法適性があって魔力量もあるから指輪を製作して貰っていますが?」
「そちらではなくてですね。
キタミザト様の周りには魔力量が10000以上が3人居ます。
それに配属される部下は王都守備隊です。
破格中の破格です。
下手したら王都守備隊よりも精鋭ですよ?」
「精鋭ですか。
この2人は執事ですから戦闘等には関与させませんけどね。
まぁテイラー店長が言うなら王都には何も言わない方が良いでしょうね。」
「ええ、それが良いでしょう。
下手に勘繰られてもいけませんし。」
「ご主人様、私も王都に行ったら言わない方がよろしいのですね?」
「そうですね。
王立学院では特に言う必要も無いでしょうから暈かして話をしてくれば良いのでしょうね。
種族的に魔法を自身の意思で発動出来ないのは確かですし・・・
『適性もありますが種族的な問題で発動出来ないので身体強化のみ勝手にかかるんです』くらいで良いと思いますね。」
「ええ、キタミザト様の言う通りかと。
魔力量は言う必要もないでしょう。『他の魔法は全く出来ないので大変です』と言っておけば暈かせられると思います。」
「わかりました。」
ジーナが頷く。
「剣を決めました。」
ヴィクターがやって来る。
「はい、ご苦労様です。
ヴィクターも魔力量については他人に言う必要もないですからね。」
「はい、畏まりました。」
ヴィクターも頷くのだった。
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