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第683話 65日目 今日はお終い・・・今年はお終い。

「ただいま戻りました。」

「タケオ、おかえり。」

「「タケオ様、おかえりなさい。」」

客間に戻るとエルヴィス爺さんとアリスとスミスがお茶を片手に出迎えてくれる。

「年末の挨拶は出来たかの?」

「はい。皆さんと雑談をしてきました。」

「ウォルトウィスキーはどうじゃったかの?」

「450本を何とか用意すると言っていました。」

「それは良かったの。

 で、タケオが出ていった後に総監部から来年早々の局長会議の資料が来たのじゃが、目を通してくれるかの?

 タケオ達が王都に向かってからの開催じゃからの。」

「はい、わかりました。」

武雄は席に着いて資料に目を通そうとすると客間の扉がノックされ、エルヴィス爺さんが許可を出すと執事達がやって来る。

「おや?どうしたのじゃ?」

「はい。

 明日のお客様達に出す予定の菓子をお持ちしました。

 料理長から試食して感想を頂きたいと伝言がございます。

 今、並べさせて頂きます。」

そう言って配膳を始める。

「うむ、タケオは相談されていないのじゃの?」

「はい、独創でしょう。

 どんなのが出てきますかね。」

「わぁ♪何種類もあるのね。」

「1個が小さいのですね。

 これなら数個食べれますね。」

「とりあえず食べようかの。」

「「「はい。」」」

・・

「ほぼ満足じゃ♪」

「はい、ほぼ満足です♪」

「・・・夕飯はいりません。」

エルヴィス爺さんとアリスは満足な顔をさせる。

スミスは胸やけ中の様子です。

「・・・ふむ・・・」

武雄はお茶を飲みながら満足している。

並べられたのはバターとハチミツが付いたホットケーキとホットケーキに挟まれたこし餡とこれまたホットケーキに挟まれたホイップクリーム。バターサンドにいろいろ乗っかった異色のクッキーが出て来ていた。

ただ・・・一部にピザ生地を焼いた上にホイップクリームが乗っていたり、パンの上にフルーツが乗っていたりと奇抜な物もあった。

皆が食べ終わったタイミングで料理長とスイーツ担当と執事とメイド長がやってくる。

「皆様、どうでしたか?」

「うむ。概ね満足じゃ。」

「ほとんど美味しかったです。」

「もう少し甘味を抑えたのはないですか?」

エルヴィス家の面々が感想を述べる。

「料理長、小麦に砂糖を入れたのですか?」

「・・・はぁ。タケオ、皆で考えだした材料を簡単に言わないでくれ。」

料理長がガッカリしながら呟き、隣のスイーツ担当は苦笑している。

「キタミザト様、砂糖だけではなく他にも香料を少々入れてみました。

 どの菓子も一口で食べれる大きさにしてフォーク1つで摘まめるようにしてあります。」

「なるほど。

 パンにこし餡とホイップクリームを入れるのもありですよ。

 それとバターを塗った後にこし餡を入れるのも合いそうですね。」

「なるほどな・・・うんうん。要は甘い物には少し塩が入っている物が合うという事だな?」

「一概にはそうは言いませんが合う事が多いとは思います。」

「わかった。

 伯爵様、明日の菓子は概ねこの通りでよろしいでしょうか。」

「うむ、構わぬ。

 皆も良いの?」

エルヴィス爺さんの言葉に皆が頷くのだった。


------------------------

アズパール王国の第3皇子一家の執務室。

「はぁ・・・暇だわ。」

レイラがお茶が入ったティーカップを両手で持って眺めながら言う。

「いや・・・レイラ殿下、思いッきり机の上に資料が乗っています。」

レイラの横に机を配置されているエリカがツッコむ。

「・・・これは・・・仕事よ。

 そう仕事、なら年末はしないことに限るわ。」

「はぁ・・・ウィリアム殿下とアルマ殿下がお出かけになった途端に・・・

 まぁ年末年始は他の方々も忙しいでしょうから何も用件は来ないでしょうけども。」

「アルマお姉様は何をお土産に持ってくるのかなぁ。

 美味しい物かなぁ。」

レイラが明後日の方を見ながら現実逃避し始める。

「はぁ・・・じゃあ。

 もうそこのソファで昼寝でもしますか?」

「そうね~♪

 たまにはうたた寝をしても怒られないわよねぇ。」

レイラが席を立ちソファに行くと端に置いてあった薄い毛布を取り出し軽く掛けてゴロンと横になる。

「あ、エリカさんも寝る?」

「私はレイラ殿下を見守っていますよ。

 年明けの3伯爵向けの資料をもう少し煮詰めます。」

「ふ~ん・・・あまり無理しちゃダメよ?」

「わかっています。

 それにウィリアム殿下もアルマ殿下も城内にお出でです。

 すぐに帰って来ますよ。」

「わかった、それまで寝るからよろしく。」

「はい、おやすみなさいませ。」

「ん。」

と、レイラはすぐに寝てしまう。

その様子をエリカは見て「結構、疲れが溜まっているのかな?」と思うのだった。

・・

「ただいま~・・・ん?」

「レイラ、エリカさん戻った・・・あれ?」

アルマとウィリアムが執務室に戻って来る。

そこにはソファに横になり毛布に包まれて寝ているレイラと向かい側のソファに座りこちらも毛布を掛けて寝ているエリカが居た。

「あはは、2人とも無防備に寝ちゃって。」

「エリカさんも卸売市場の件で頑張っているし、レイラは仕事をしながら本の執筆もしているからね。

 まぁ、年末年始ぐらい昼寝がしたいよね。」

アルマとウィリアムが朗らかに言いながら自分の執務席に向かう。

「さてと。

 さっきの報告は後で良いよね?」

「そうだね。

 第一情報分隊と第二情報分隊との面通しの段取りだからね。

 2人への報告は夕飯後で良いだろうね。」

「あと1年か・・・本当に異動出来るのかな?」

「出来るんじゃないのかな?

 局長達も忙しく人事関係をしていると報告は貰っているね。

 屋敷と庁舎の建設については予定通りに進んでいるようだし。

 王都側からの道路の敷設予定も来ていたね。」

「そうかぁ・・・何だか慌ただしくて実感がないわ。」

「それはここにいる全員がそうじゃないかな?」

「ん~・・・そうかも。

 まぁとりあえずは今年も終わりだね。

 明日は新年かぁ。忙しそう・・・」

「今年は兄上達が居るからね。

 騒がしい年明けになりそうだよ。」

「そうね~。」

アルマとウィリアムは雑談をしながらレイラ達が起きるのを待つのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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