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第676話 65日目 今日は12月30日。年末だね。

エルヴィス家の面々は客間に籠っている。

正確には皆から「邪魔だから客間に居て」と暗に言われたので大人しく客間に居る。

屋敷内は執事やメイド、料理人が忙しなく動き回っている。


「エルヴィスさん、年末はこんな物なのですか?」

「うむ。

 明日は年始で各組合の幹部が挨拶に来るのだがの。

 その準備でこうなるのが風物詩なのじゃ。」

武雄がエルヴィス爺さんとのんびりと会話をしている横で。

「スミス、今年のお菓子は期待大ね。」

「そうですね、お姉様。

 前にタケオ様が作ったホイップクリーム付きのプリンがまた食べたいですよね。」

「そうね~。」

姉弟仲良くパーティーに出てくるであろうお菓子は何があるのか考えている。

「訪ねて来る組合は順番が決まっているのですか?」

「いや、特にないのじゃが、毎年大体同じ時間に来るの。」

「そういう物なのですね。」

武雄はそう答える一方で「確かに年末年始の会社への挨拶回りは決まったルートで行くよね。」と思っていたりする。

「そう言えばタケオ、アリス、お主達挙式はどうするつもりじゃ?」

「え?お爺さま、どうしたのです?いきなり。」

アリスが驚きながら聞いてくる。

「いきなりも何も全く何も決めようとしないから聞いただけじゃ。

 わしとしてはスミスが寄宿舎に行く前の2月か3月ぐらいが良いと思っておるがの?」

「私はそれで良いのですが・・・」

アリスがチラッと武雄を見る。

「一つお聞きしたいのですけど。

 ここではどんな挙式をするのですか?」

「「「!?」」」

武雄の素朴な疑問にエルヴィス家の皆が固まる。

「そうじゃった・・・タケオは異世界から来たのじゃったの。」

エルヴィス爺さんがため息をつく。

「はい。

 なのでクリフ殿下とニール殿下の挙式で学ぼうかと思っていたのですけど。」

「いや、タケオ様、王家の挙式を例にするのはいささか華美すぎますよ?」

「そうなのですか?」

「はい。」

「タケオ様、挙式は街の有力者・・・組合の幹部方を呼んで広間でやります。

 皆の前で宣誓をして指輪を交換して、その後にパーティーをして終了です。」

アリスが苦笑をしてスミスも「あはは」と笑いながら言ってくる。

「なるほど。」

武雄は「人前結婚式なのかぁ」と思う。

「まぁ、何か特別な事をするわけでもないが区切りとしての。

 なので少なくとも1か月前には決めておきたいのじゃ。」

「なるほど。

 という事は来月中には何かしらの方向性を出さないといけないのですね。」

「うむ。

 レイラやジェシーも呼ばないといけないしの。

 特別な列席者が居る場合はもっと時間をかけないといけないからの。」

「わかりました。

 あ、特産品祭りと合わせてしちゃいます?」

「ふむ・・・それはそれで大変そうじゃが・・・いや、それも良いかもしれぬの。

 そうすれば皆も集まれるか。

 あとでフレデリックに相談してみようかの。」

「そうですね。」

「わかりました。」

武雄とアリスが頷く。

「特産品祭りで思い出したのですけど。

 タケオ様、養鶏場の普及で鶏肉料理を考案するとなっていましたよね?」

スミスが聞いてくる。

「そうですね。

 いくつか料理長には教えましたけど・・・まだ試作品が来ませんね。」

「タケオ、何を考えたのじゃ?」

「いえ、これと言って特別な物は・・・

 トリカツをウスターソースで煮込んだ物、鶏肉を魚醤に砂糖を入れて玉ねぎと煮詰めて卵とじした物、鶏肉を茹でてトマトソースとマヨネーズに絡めた物、鶏肉に衣と一緒に細くしたポテトを付けて揚げた物、あとは一度ミンチにして形を作って揚げた物・・・とかです。」

「5個か・・・美味しいのかの?」

「最終的には味は料理長が決めますから。

 相談にこないので上手く行っていると思うのですが・・・」

「ふむ・・・

 そう言えば昨日ウスターソースが納入されたようじゃの?」

「そうですね。

 舐めてみましたけど良かったですね。

 あれなら問題はないでしょう。」

「ふむ、タケオがそういうなら大丈夫じゃの。

 試作品が問題ないという事は市販ももうすぐじゃの。」

「はい。

 ジーナの報告ではもうすぐ契約書を持って来れると言っていましたね。」

「うむ。

 あとはどうやって売るのかじゃの。

 確かタケオが売り込みをするような事をフレデリックが言っていたと思うが、出来るのかの?」

「まぁ、店頭販売をするだけですし・・・

 とりあえず野菜炒めを作って道行く人に食べて貰うのが一番でしょうね。

 実施するのはベッドフォードさんの所の小樽の手配等々の準備が出来次第ですけど・・・

 王都に向かってしまうのでそれまでに1回しておきますかね。」

「うむ、そうじゃの。それが一番じゃの。」

エルヴィス爺さんが頷く。

と、エルヴィス家の客間の扉がノックされる。

エルヴィス爺さんが入室の許可を出すと執事が扉を開け入って来る。

「失礼します。

 魔王国の商店から緊急で手紙が来ております。」

「うむ、ご苦労。」

と執事が手紙をエルヴィス爺さんに渡す。

「では失礼します。」

と執事が退出していった。

「「「・・・」」」

武雄もアリスもスミスも何も言わずにエルヴィス爺さんを見ている。

「ふむ・・・ジーナの手紙の返事かの?」

「でしょうね。

 フレデリックさんとヴィクターとジーナを呼びましょうか?」

「うむ、そうじゃの。

 タケオ、誰か捕まえて呼んできて貰えるように言ってくれるかの?」

「はい。

 わかりました。」

武雄が席を立ち客間を後にするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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