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第669話 みんなのその後。

エルヴィス爺さんと夕霧との初対面は終わっており、夕霧達の居住地の保護も皆の前で確定させていた。

今はエルヴィス家の面々や試験小隊の面々とテイラーと鈴音も去り、残っているのは武雄とミア、そして武雄の膝で膝枕をしているアリスと武雄の対面に夕霧が焚き火を囲んでいる。


「~♪」

アリスは上機嫌だ。

「主、なんでアリス様は主の膝で寝ると言い出したのですか?」

「さて・・・わかりませんが・・・

 まぁしたいと言われて断る理由もありませんので。」

と言いながらアリスの頭を撫でる。

「えへへ♪」

アリスが嬉しそうな顔をする。

「タケオ、この後はどうするのですか?」

「特に何にも・・・確かあと2、3日で小屋等々が出来るらしい事は聞きましたね。

 それまでは私が樽を持って来るのでしょうね。

 なので一旦帰ってからまた深夜に来ます。」

「タケオ、わかりました。」

「タケオ様!今日こそ私も来たいです!」

「いや・・・来ても何もしていないですよ?

 お茶を飲んでマッタリして帰って来るだけです。」

「それでもです!」

「・・・まぁ、夕霧とは話もしていますから来ても平気でしょうけども・・・

 なら他の2名にも会わせておきますか。」

「タケオ、わかった。シグレやハツユキも連れてくる。」

夕霧が頷くのだった。


------------------------

アーキン達の宿にて。

「疲れたぁ~・・・」

ブルックが机に突っ伏している。

アーキン達は試験後にわき目もせずに宿に戻り夕飯と湯あみを終えて今はマッタリ時間なのだが、アニータとミルコは「もう・・・限界です」と部屋に戻って行っていた。

「流石に疲れたな。」

ブルックの対面に座るアーキンもしみじみと言う。

実はアーキンもブルックも魔法の連続使用で疲れてはいたが体面を保つために平気な顔をしていた。

「全くよ。

 あそこまでの正確な魔法の連続使用はなかなかしないし・・・

 それにアニータもミルコも文句も言わずにやりきったわね。

 まだ習い始めて数日なのに偉いわ。」

「・・・明日の午前中の境界線作りはなしだな。」

「そうね。朝の散歩だけしたら午前中は街中の散策かなぁ。

 まだ見ていない所も多いしね。」

「そうだな。

 と、ここには行ったな。」

アーキンがエルヴィス邸がある街の街区図を広げて確認する。

「そうね。

 表通りも裏通りも見たし、後は各街区とその周りに広がる農地かぁ。

 農地も見たいし、城壁も内側から見たいし。」

「城壁の状態を確認したいなんて職業病だな。」

ブルックの言葉にアーキンが苦笑する。

「・・・否定は出来ないなぁ。

 あ、それと制服が正式に決まったから私達も作らないといけないかもね。」

「そう言えばそうだな。

 いつまでも王都守備隊(この)制服という訳にもいかないな。」

「制服でスカートかぁ・・・

 王都に行く時はズボンにしたいから両方頼まないといけないね。」

「・・・ブルックのスカート姿???

 やばいな・・見たことない。」

「私も・・・想像できないわ・・・」

アーキンとブルックがスカートの制服という未知の姿を想像できずに苦労するのだった。


------------------------

ラルフの仕立て屋にて。

「ありゃ・・・」

職人の一人が軽く泥等を洗い終わり乾かした作業服を持ち上げてため息を付いていた。

他の面々も興味津々で見ているがそのズタボロさに苦笑している。

「・・・試験は見ていましたが、耐久性が低かったようだな。」

ラルフも作業服を見ながら言う。

「店長、あの試験は異様です。

 まさか地べたを這いずるとは思いも寄りませんでした。

 ポケット等の解れも・・・あぁ・・・あれを見なかったらとても1回でこうなったとは思えませんよ。」

「ん~・・・これは縫製の仕方が問題なのか。そもそもポケットの形状が問題なのか・・・」

「ベルトの損傷も激しいですね。

 それにキタミザト様が布製(・・)にしたのも這いずり方を見ているとわかりますね。

 あの動きをするなら取り換えが楽なのを欲しがりますよ。」

「布生地にも損傷がありますね。

 もう少し生地を厚めにしましょうか。」

他の面々が各々で評価と提案を出してくる。

「・・・とりあえず1回の使用でここまで損傷があるという事はもう少し頑丈に作るべきだな。

 皆でもう一度精査しよう。

 それで対応出来る事があるのか・・・材質から縫製の方法まで再検討だ」

「「はい。」」

ラルフの仕立て屋は今日も遅くまで明かりが灯るのだった。


------------------------

再び訓練場の一角にて。

「なんですかぁーー!」

アリスの大声が響いている。

「・・・?」

夕霧はアリスが何で驚いているのかわからないので首を傾げる。

武雄達は今日は帰ろうと思っていたのだが・・・夕霧が武雄のトレンチコートを脱いで返した所でこの問題が発覚した。

「な・・・なんで裸なのですか!?

 タケオ様、まさか・・・」

アリスが訝しがりながら聞いてくる。

「・・・まさかの続きは言わなくて良いですけど・・・

 アリスお嬢様、私が皆の前に連れてくる時にトレンチコートを着せたではないですか。

 あの時点で知っていたはずですが?」

「・・・いえ、ちゃんと着込んでいましたので下は普通に着ているのかと。

 いや・・そうではなくて!そもそも何で夕霧が裸なのですか!?以前から裸だったとか!?」

「ええ、そうですけど。」

「何で!?裸で良しとされたんですか!?

 服を・・・何か服を着せようとは思わなかったのですか?」

「・・・いえ、スライムは服を着るのですか?」

「う・・・それはわかりませんが・・・だって女の子の裸・・・」

アリスがチラッと夕霧を見るが夕霧は真っ裸で頭の上に「?」を付けながら首を傾げてる。

「裸、裸と言われても・・・

 その考えだとコラやモモ、タマやクゥも裸ですけど?」

「くっ・・・しかし!人間の風貌ではいささか倫理上の問題が!?」

「ええ、だからエルヴィスさんやスミス坊ちゃんの前に連れて来る時は服を着せないとと思ってトレンチコートを着させました。」

「一応考えているのですか。それなら・・・いえ!ダメです。

 タケオ様に対しても・・・いいえ!人間と会う際にはスライムだろうとドラゴンであろうと獣人であろうとも!人型(・・)であるなら服を着せるべきです!

 それが風紀というものです!」

「そういう物でしょうかね・・・

 じゃあ夕霧、後で服を持って」

「タケオ様!夕霧はこのまま私達と一緒に屋敷に戻ります!

 それとあと2名居るのでしたよね?

 体型はどんな感じでしたか?」

「体型?」

武雄は夕霧、時雨、初雪の姿を思い出す・・・

「幼児たい・・夕霧と同じですよ。

 ちなみに3人とも人間の女の子の体型です。」

「タケオ様、あとで説教しますからね。」

「・・・理不尽です。」

「タケオ、アリス、私は一緒に行けば良いのでしょうか?」

「ええ。夕霧、一緒に行って私が昔着ていた服があるはずですからその中から他の2人の分も含めて貸します。」

「・・・それを皆と会う時に着れば良いのですね?」

「そうです。

 人間と会う時は服を着てください。」

「はぁ・・・とりあえず屋敷に戻りましょうか。」

武雄の言葉に皆が頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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