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第647話 ハワース商会に立ち寄り

武雄とスミスは一緒にハワース商会にやって来たのだが、ハワース商会はかなりバタバタと人が動いていた。

「その木は明日の発送だ!今日はこっちだ紙を貼ってあるだろうが!」とか「あ!?納入数が間違っただ!?どうすんだ!アホたれが!」とか「あっちの木の調整が予定よりかかるだと!昼の段階で言え!馬鹿!」とか怒号が飛んでいる。


「タケオ様、何だか忙しそうですよ?」

「・・・そうですね。」

武雄とスミスが店の入り口から顔だけ出して覗き見ている。

「ん?・・・キタミザト様?え?スミス様!?」

武雄達の後ろからモニカが驚きながら声をかけてくる。

「「あ、見つかった。」」

武雄とスミスが呟きながら姿勢を直す。

「モニカさん、こんにちは。

 お忙しそうですね。」

「ええ、おかげさまで。

 あ、丁度良かった、少しお時間をください。」

とモニカが武雄達を店内に入れ応接室に通すのだった。

・・

お茶を出されてマッタリと雑談を始める。

「慌ただしくてすみません。

 キタミザト様の訓練場での小屋の建設が始まるそうでうちの木材を現場に納入するのでバタバタしています。」

モニカが苦笑して言ってくる。

「北の森の木を売っているのですか?」

「ん~・・・少し違いますね。

 北の森の訓練場にあった木々を全部倉庫に入れて倉庫にあった物を現場に納入しています。

 木は生き物なので伐採された物はすぐには使えないのです。

 なので一旦乾燥させてから建材や家具に使うのですよ。」

「ほぉ、そうなのですか。」

武雄は「薪もそういった考えだったよね」と思いながら相づちを打つ。

「在庫が捌けて良かったのですけどね。

 と、そうそう訓練場の木々の買取金額をご提示しないと・・・こちらが買取価格になります。」

とモニカが書類と金貨を取り出す。

「・・・」

武雄が見積金額を見つめる。

「タケオ様、どうしましたか?」

スミスが何も言わないタケオに聞いてくる。

「いや・・・納入した木々の本数と買取価格が載っているのですけど・・・

 これが安いのか高いのか判断が付かないので・・・」

「あぁ、なるほど。」

武雄の困り顔にスミスが納得する。

「キタミザト様もそうですが、本来は貴族の方がこういった種類の金額のやり取りはしないので市場価格を知らないのは当然なのですが・・・

 大丈夫です、適正価格にてご提示しています。」

「そうですか。

 なら平気でしょう。」

武雄の頭の中では「書面で買取金額が金貨35枚・・・小屋の制作費用が金貨40枚・・・んー・・・妥当なのかな?」と思っている。

「はぁ。とりあえず金貨をご用意しましたので、お持ちになってください。」

「わかりました。」

武雄が大人しく金貨を受け取るとモニカは肩の荷が下りたかのように安堵のため息をつく。

と、応接室の扉が開きモニカの旦那さんが入って来る。

「おい、何をのんびり・・・キタミザト様にスミス様!?」

武雄達を発見し驚く。

「ええ。上客が来たから接待よ。」

モニカが「あはは」と笑い飛ばす。

「「お邪魔しています。」」

「いえいえ、いつでも来てください。」

モニカの旦那が汗を一気にかきながら言ってくる。

「それでキタミザト様、スミス様、今日はどうしてこちらに?」

「ええ、実はですね。

 スミス坊ちゃんの寄宿舎の家具を見ているのです。」

「ほぉ、家具ですか。」

モニカの旦那さんが「家具」という単語に顔つきを職人の者に変える。

「はい。

 一応街中の家具屋には行ったのですが、どうもスミス坊ちゃんの気に入る物がなかったようで。

 なので製造元を見てみる事も必要なのかと思ったのです。」

「わかりました。

 今作っている物やこれから納入する物もあります。

 存分に見て頂いて結構です。」

モニカの旦那さんが頷く。

「「ありがとうございます。」」

武雄とスミスが礼を言う。

「あ、そうそう現物を見る前に少し聞いて頂きたいのですけど。」

武雄が王都の寄宿舎の間取りを書き始めるのだった。

・・

「んー・・・

 キタミザト様、この寄宿舎は築何年ぐらいでしょうか?」

「すみません。

 そこまでは調べていないですね。」

「そうですか。

 いや・・・たぶんこのクローゼットの奥行寸法が随分古い型になっています。

 今の新築の建物だとクローゼットの奥行がもう少しあるはずですね。」

「規格化されているのですか?」

「いえそこまでは・・・

 ですが、家具も建物の流行に合わせて大きさが変わりますので、最新の建物は内覧会の時に見に行かせたりはしています。」

と、応接室の扉が開きモニカの父親が入って来る。

「お、こんな所にいたのか。

 おお、キタミザト様にスミス様、いらっしゃいませ。」

「お父さんどうしたの?」

「あぁ、キタミザト様から依頼のあった鉛筆と黒板、そしてチョークの試作品が出来たからスズネ様を呼んできて欲しいと言いに来たんだが・・・

 キタミザト様、見ますか?」

「いえ、それは鈴音に任せています。

 そちらは鈴音に確認をさせてください。」

「わかりました。

 じゃあモニカ、誰かをやってスズネ様を呼んできてくれ。」

「はいはい。

 では貴方、キタミザト様とスミス様の家具巡りをお願いして良い?」

「いや、俺はちょっと図面を探しに行ってくる。

 確かキタミザト様の書いた寸法と同じぐらいのがあったはずだ。

 2人の案内はモニカがしてくれ。」

「ん?お二方は家具を見に来たのか?

 だったらスズネ様が来るまで俺が一緒に回ろう。」

「じゃあお父さんよろしく。

 キタミザト様、スミス様、存分にうちの家具を見てください。」

「「わかりました。」」

武雄とスミスが礼を言って工場見学を始めるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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