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第637話 武雄のお仕事。(王都に手紙を書かなくては。)

遅めの朝食とエルヴィス爺さんへの報告を終えた武雄が夕方まで暇なので書斎の机で王都向けの書き物や先ほどのスライムとの話をまとめていた。

アリスは武雄が王都向けに書いた物を清書する為に武雄の書斎のソファに居るが・・・今はゴロンと横になって本を読んでいる。


「えーっと・・・これがクリフ殿下に送るウスターソースの価格ですよね。

 で、次はエイミー殿下宛に大豆と魚醤と小豆の代わりの加工品を書いていけば良いのですよね。」

武雄はそう言いながら自身のノートを見ながら書き写しを始める。

ノートには武雄が考えたことや仁王から教えて貰った事などいろいろ書いている。

「ん?タケオ様、エイミー殿下なのですか?確か手紙はニール殿下からなのではないのですか?」

アリスが本から顔を上げて武雄に聞いてくる。

「違いますよ。

 私は一言も(・・・)ニール殿下とは言っていません。第2皇子一家としか言っていないですよ。」

「・・・確かに。」

アリスが少し考えてさっきのやり取りを思い出しながら言う。

「さてと、では私はクリフ殿下宛のから書き写しますかね。」

「よろしくお願いします。」

武雄がアリスに書類を渡す。

・・

「・・・終わりました。」

アリスが武雄の書斎の机で清書をしていたが、ペンを机に置いて終了を告げてくる。

「はい、ありがとうございます。」

武雄はソファに座り、いろいろと書いていたが、書くのを止めて顔を上げてアリスを労う。

「はぁ。やはりタケオ様には書き取りの練習が必要ですね。」

「ん~・・・必要ですか?

 名前が書ければ問題ないと思いますが・・・」

「それでは常に誰かに書いて貰わないといけないではないですか。

 私が屋敷に不在な時はどうするのですか?」

「・・・ヴィクターやジーナが居ますし、執事の方々も居ます。」

「例えば他の人に対して秘密な事が書けませんよ?」

「秘密にするような事を私は書きませんね。

 そういう内容を書くならエルヴィスさんかフレデリックさんでしょう。

 それに秘密な事を書く事があったとしても相手は皆さん私の文字読めますからね・・・」

「・・・確かにそうだった。

 あ、でもクリフ殿下やニール殿下は?」

「ウィリアム殿下を差し置いて秘密にするようなやりとりはしないでしょう。

 仕事上ならマイヤーさんに書いて貰いますし。

 ほら♪書く必要がない♪」

「・・・どうやって書かせましょうか・・・」

アリスが腕を組んで真剣に考え始める。

「ですが、秘密な事と言うなら私と鈴音が書いた文字の方が特定の方々以外はわからないのですから良いのではないですか?」

「・・・それはそうですが・・・

 いや!タケオ様も多少はこちらの言葉が書けた方が便利です!

 タケオ様が何て言おうが簡単な言葉は書けるようにしましょう!」

アリスは一瞬流されそうになるが、「研究所の所長が誰かに説明する時に何も書けないなんて恥ずかしいだろう」と思い直し、書き取りをさせる決意をする。

「・・・決定事項ですか?」

「はい!決定事項です!」

「そうですか。

 ・・・まぁ、簡単な文章は作れるようにしますかね。」

「はい、その方が絶対に良いですよ!

 と、タケオ様は何を書いていたのですか?

 ノートではないようなので、送るならそれも清書しますか?」

「いいえ。

 これはレイラさん宛なので清書の必要はありませんよ。」

武雄が朗らかに言う。

「ん?レイラお姉様宛ですか?

 何を書いたのですか?」

アリスが武雄の横に座り覗き込んでくる。

「本の題材ですね。

 基本的には教訓じみた内容を書いてみているのです・・・ジャンル的には寓話というのですけど・・・」

「カメとウサギ?笠地蔵?花咲か爺さん?カチカチ山?

 動きが遅いカメと足が速いウサギの話?・・・んー・・・人形に豪雪の時に帽子をあげたら見返りが来た?・・・んんー・・・

 タケオ様、これは面白い物語なのですか?」

武雄が書いた紙の表題欄をアリスは読みながら首を傾げる。

「さて・・・どうでしょう。

 怠けずに地道にコツコツ行けば結果大成するというお話だったり、他者に優しくすれば褒美があり、悪さをすれば処罰されるという話なんですけどね。

 まぁ怠けずに働き、他者を助けましょうという子供相手の教訓ですよ。

 どういう話にするのかはレイラさんが考えれば良いだけですし、そもそも本に出来る題材なのかもわかりません。」

「そうなのですか。」

「ええ。この話は私も鈴音も子供の頃に耳にしているでしょうね。

 私達(・・)は小さい頃から聞かされていた話なのです。」

「ふ~ん・・・とりあえず、これもレイラお姉様宛に一緒に送れば良いのですね?」

「はい。

 私からはそのぐらいですね。」

「あ、そうだ、タケオ様。

 前に保健の話を王都で妃方にした時にですね。

 少し不思議に思ったのですけど。 

 タケオ様は朝私のおでこに手を当てて体温を確認していますよね。

 どうしてですか?」

「ん?熱がないかを確認しているだけですよ?

 まぁ私の体温が基準になってしまいますから正確に今日は体温が高いとか低いとかわかりませんが。」

「・・・タケオ様、子供が出来る事に関係がありますか?」

「あのノートに女性が卵を持っていて子宮に卵が着いて子供に成長を始めると書いたのですけど。」

「はい。」

「卵が子宮に着床した時に卵を留まらせるために女性の体温が高くなると考えられています。

 まぁ高くなると言っても若干ですけどね。」

「そうなのですか?」

アリスが不思議そうに聞いてくる。

「ええ、ちょっとの変化なんですけど。

 本来なら正確に体温を記録していけば良いでしょうが・・・雑貨屋で見てみましたが、正確に確認する方法が無いようなのです。

 ですので、とりあえずアリスお嬢様の体温が毎日どう変わっているのかを確認しているだけです。

 異常に体温が高い時はケアをかけて早期に病気を治そうかと思っている程度です。」

「そうなのですか。」

アリスは生返事を返しながら「皆さんに報告をしなくては」と思うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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