第631話 57日目 夕食後の報告会2(スライムとの関係をどうするか・・・コラとモモに仕事をさせないと。)
「これはこれで美味しいのぉ♪。」
「少し硬いですが・・・タケオ様、焼きたては柔らかいのですか?
もう少し柔らかくしてほしいです。」
「あ、甘くて美味しいですね。」
3人がかりんとうを頬張っている。
チビッ子達も即座に食べていて、クゥがバリバリと食べる横でミアが「エイッエイッ」と少しずつかじっている。
タマはまだ固形物が無理なので、ミルクトーストのふやかした物を食べていた。
スーは砕いたかりんとうが出され、ゆっくりと摘まんでいた。
「んー・・・固さは柔らかくは出来ないんですよね。
今のままではお客様に出すのは少し難しいですかね?」
武雄が苦笑している。
「わしは良いがの。」
「僕も構いません。」
「んー・・・この固さだと少し大きすぎるかもしれません。」
アリスが難色を示す。
「そうですか。
では次回は半分ぐらいの太さにしてみますかね。」
武雄がウンウン頷きながら答える。
・・
・
「はぁ。団子もかりんとうも渋めのお茶が合うの。」
エルヴィス爺さんがマッタリとする。
「「ですね~」」
アリスとスミスも同意する。
「ちなみにですが、ヴィクター達3人にもお土産で持って帰れるようになっています。」
「「「ありがとうございます。」」」
3人が嬉しそうに礼をするのだった。
「さてと、ヴィクターとジーナの研修はどうなっておるかの?」
「はい、では私が話します。
今日行ったのは」
執事が説明を始めるのだった。
・・
・
「うむ。フレデリック、順調なのじゃな?」
「はい。
逆に早く終わってしまうかもしれません。
確か・・・予定では座学があと4日でしたか。
その後にタケオ様とベッドフォード様とのウスターソースの契約書の実習だったはずなのですが・・・」
「はい、少し早まりそうです。
ですが、ある程度屋敷内の実習日程を調整して対応してきます。」
教育担当の執事が答える。
「わかりました。それで良いでしょう。」
「あまり無理をさせてもいけないからの。」
「はい。」
執事が返事をする。
「で、午後はアリス達は家具屋に行ってきたのじゃの?」
「「はい。」」
「うむ。
どうであった?」
「ミアちゃん達のソファと机は、本人達が気に入ったのを買いました。」
「主、ふかふかのを買ったんですよ!」
「きゅ!」
「ニャ!」
「チュン!」
チビッ子達が「良いのが手に入ったのー!」と自慢してくる。
「そうですか。
寝心地が良かったですか?」
「はい♪」
ミアを始めチビッ子達が頷く。
「で、なのですが、スミスの方が気に入った物がなくてですね。」
アリスが微妙な顔をさせる、
「そうなのかの?」
「はい。
家具屋にあったのは、基本的には家族向けや書斎向けで・・・意匠が濃いと感じました。
僕的にはもう少し抑えめの方が落ち着くと思うんですけど。」
「そうか。
タケオ、王都の家具屋にはありそうかの?」
「私達も王都では家具屋には行っていません。
なので、年明けに行った際は寄ってみます。」
武雄の言葉にアリスもスミスも頷くのだった。
「うむ、ちゃんと見てくるのじゃぞ。」
エルヴィス爺さんとフレデリックが頷くのだった。
「それと私から報告とお願いが・・・」
武雄が若干、申し訳なさげにテイラー達との話をするのだった。
・・
・
「そうか・・・
スライムは5種類居て、更には上位種が試験小隊の訓練場の所にの・・・
タケオ、穏便にの。」
「はい。
とりあえず料理長にはすでにお願いしているのですが、今日の料理で出た生ゴミを持っていきます。」
「お詫びで生ゴミとな?」
「仁王様やテトの話だとスライムは味ではなく、栄養価の大小を見ているようです。
なら、栄養価のみが高く、量がある程度見込める物は生ゴミしかありません。」
「言われてみればそうなのじゃが・・・
本当に生ゴミで良いのじゃろうかの?」
「わかりません。
ですが、仁王様やテトの話は信用出来るでしょう。」
「タケオ、襲ってきたらどうするのじゃ?」
「その時は逃げてきますが・・・そうですね・・・何回か話し合いには行きたいですが、それでも聞いてくれないのであれば・・・あの辺一体を更地にしてしまいましょうか。
脅威の排除は必要でしょう。」
武雄は難しい顔をさせて言ってくる。
「タケオ様、こちらから強引に広場を作ったのに排除に乗り出すのですか?」
アリスが不思議そうに聞いてくる。
「ええ。
私だけであれば良いですが、あそこは試験小隊が使います。
試験小隊の人員に被害があってはいけません。
なら先んじて手を打たないといけないでしょう・・・それに。」
「ん?」
「元々の計画では、コラとモモにはこの街の周囲30km圏内の治安維持と、魔物の統括をさせる目的でミアの部下にしています。
ならスライムだろうが何だろうが・・・恭順しないなら排除しなくてはなりません。
そして恭順する者のみ、この街の周囲に住まわせます。
そうしなければまた、あの襲撃の感知が出来ずに繰り返すだけです。
今回のスライムはその最初の1個でしょう。
コラとモモが統治する場所の整備事業とも言えます。」
武雄が真面目な顔つきで言ってのける。
「ふむ・・・タケオにしては少し強引じゃの。
だが、あの襲撃を撃退したのはタケオとアリスと皆が居たからじゃ。
数年後、数十年後に同じことが起こった際に同じ戦果を出せる保証はないの。
なら何かしらの手を打っておくほかないのは確かじゃ。」
「それにスライムが望むなら住み家の補償。
住み家が他の魔物に襲われたらコラ、モモ、私達人間での合同討伐の実施を確約し、さらにエルヴィス邸から出る生ゴミの定期的な供給を約束しようと思います。」
「うむ、それについては当然じゃの。
奪うだけでは争いの種じゃ。
なら向こうに何かしら有益な事がないと受け入れられないの。」
「はい。お互いに住み家を脅かさない確約をし、共存をしていかないといけません。」
「ふむ。
ではタケオにスライムの件は任せる。
だが、さっきの更地の件は最終手段としておくのだ。
今回はこちらが向こうの住み家を脅かしているからの。出来るだけ向こうの要求は飲む事が必要じゃろう。
それでも・・・例えば我らの退去等、過剰な要求が来た場合のみ更地の検討を始める事とする。
良いかの?」
「はい、わかりました。」
武雄が頷くのだった。
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