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第628話 武雄の相談事。(仁王に消しゴムの事を聞いてみよう。)

武雄と仁王が相談し合っている横でテイラーは「何を話しているのかさっぱりです」とただただ話を聞き流していた。

テトはすまし顔でお茶を飲んでいる。

「で、タケオ、相談事は苦汁と味噌と醤油だけか?」

仁王が武雄にニヤリと笑いかける。

「いえ、もう一つ。

 ・・・仁王様、消しゴムはどう作れば良いのでしょうか?」

「??消しゴムとな!?

 あはは!そうか!消しゴムか!」

仁王が楽しそうに笑う。

「??

 ええ。私が知っているのは既に出来上がった(・・・・・・・・)物なのです。

 それもたぶん石油関係の精製ですし・・・」

「うんうん、もっと大きな事をきいてくるかと思ったが・・・タケオ、ほんとお主は目先を優先(・・・・・)しておるな。

 政情とか有能な人物とか聞いて来ても良さそうな物を。」

「それは・・・前にも言いましたが、自分で見聞きします。

 結果を先に聞いていても楽しくはないでしょう(・・・・・・・・・・)

 それにそんな事をしても意味はありません。

 政治も人もお互いに意思があるのですから、話し合ってみて合うなら引き込めば良いですし、合わないならそれまででしょう。

 まぁ本来なら将来に起こる事(・・・・・・・)を聞いておいた方が対処は出来るのでしょうが・・・

 良い事のみ(・・・・・)が起こる訳でもないですし、知ってしまったら動けなくなる可能性もあります。

 悲劇が起こるのがわかっていて私の精神が保つとは思いません。

 なら知らない事の方が幸せです。

 そして情勢が動くならその場その場で対処していくしかありません。」

「ふむ・・・弱いな。」

「ええ。人間は弱いのですよ。

 未来を知ってなお動ける人間なんていません。その域にいるのは神か自殺願望者か破壊衝動の持ち主です。

 まぁだからこそ人間は未来を自分で想像し、そうなろうと努力する・・・これは掛替えのない人間の強さです。」

「ふむ・・・

 タケオ、禅問答をしてみるか?」

「いえ、ご遠慮します。

 私は目先の欲求(・・・・・)を満たす事で精一杯なのですから。」

「そうか・・・

 で、消しゴムだったな。確かにそれはここにはないな。」

「なので消しゴムをどう作れば良いのか。

 今、木炭から鉛筆が作れないか職人に試作をお願いしています。

 書く方は何とかなるのですが、消せる方法を考えています。」

「木炭・・・チャコールペンシルだな。

 ふむ、それも一つの文化形成に役に立つだろう。」

「はい。小さいですが、大きな意味合いがあると思います。」

「ふむ・・・テト、確かスライムを合わせると面白くなるんだったな?」

「ん?私に振りますか?

 ニオがタケオと話していれば良いでしょうに?」

「我の知識の補完をしてくれぬか?」

「私もニオも出どころは一緒(・・・・・・・)でしょうに・・・

 まぁ良いです。

 タケオ、スライムは知っていますか?」

「スライム?

 ・・・いえ見たことはないです。」

武雄は「ゲームに出てくるアレだよね?」と水滴型の形状を思い出す。

「・・・たぶんタケオが思っているのとは違うぞ?」

仁王が呆れる。

「仁王様・・・また私の頭の中を覗きましたね?」

「覗かんでもわかるぞ。

 日本人がスライム(・・・・・・・・)と言われたら真っ先に思い浮かぶ形なんて1個しかないだろう。」

仁王が苦笑する。

「違うのですか?」

「あぁ。不形状の粘体だな。」

「不形状の粘体?・・・えーっと、テイラー店長わかりますか?」

「はい。

 今資料を持ってきましょう。」

テイラーは席を立ち魔物の挿絵が載っている資料を持って来る。

「キタミザト様、こちらになります。」

テイラーは丁寧に資料を開いた状態で武雄の前に置く。

「・・・」

武雄は腕を組んで考えている。

「タケオ、感想はどうじゃ?」

「餡の入っていない水まんじゅうでしょうか・・・」

「うむ、その通りの外見だな。

 テト、どう思う?」

「私は水まんじゅうがわからないわ。」

「タケオ、作れるか?」

「わらび餅粉がないですよ?」

「そこは片栗粉と砂糖と水で作れば良いだろう。」

「・・・挑戦はしますが・・・どちらにしてもこの形には出来ませんね。」

「そうか。だが作れたらまた持って来て貰えるか?」

「ええ、構いませんよ。」

「と、今はスライムの話です。

 スライムは基本的に赤、緑、青、白、黒があります。」

テトが説明を再開する。

「え!?」

テイラーが驚く。

「ん?テイラー店長。違うのですか?」

「いえ・・・この国で確認されているのは赤、緑、青、白だけのはずです。」

「そうですか。黒スライムは希少種なのでしょうね。」

武雄が頷く。

「うむ。

 それとだが・・・各スライムの体液には効果があるのだが。

 テイラー、知っているか?」

「赤スライムの粘液がファイア等の炎系の呪文で火が付くんだよね?」

「・・・火が付く?」

「ええ。何と言えば良いのでしょうか・・・

 弱々しく燃えるんですよ。」

「弱々しく?」

武雄は頭の中で「アルコールみたいなのかな?」と思う。

「燃料としては使わないのですか?」

武雄が素朴な疑問を言う。

「え?・・・あぁ。

 スライムの体液を使って何かしようとは思わないですね。

 それにどうやって樽に入れるのですか(・・・・・・・・・)?」

「・・・普通に集めて樽にでも入れれば・・・」

「スライムは粘体ですので突きや斬って表面の膜に穴を開けて中の粘液を出させて倒すのですけど。

 取り込まれたら溶かされてしまいます。

 容器を用意しても容器ごと溶かされますし、手に持てば手を浸食します。

 即効性の攻撃ではないですけど・・・ちょっと皆が手を出さないですね。」

「なるほど。

 敢えて取りに行くような魔物でもないのですね。」

「はい。代わりの燃料はいくらでもありますので。」

テイラーがそう説明するのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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