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第621話 魔王国の商店に向けた手紙。

「さてと。

 タケオの棚の話も終わったし、収支についても今の所問題はなさそうだの。

 ちなみにフレデリック、エルヴィス家(うち)の収支は大丈夫かの?」

「例年の通りです。

 天候不順もありませんし、来年度はタケオ様関係で通行料の収入と支出ともに増える予想です。」

「ふむ、問題はなさそうじゃの。

 それと来年早々には新兵の合同訓練か。」

「はい。

 そちらも準備はほぼ終わっております。

 またゴドウィン様の方も受け入れ態勢は万全との報告が来ております。」

「うむ。

 そちらは兵士長に任せておけば良いの。

 それにしても兵士の訓練と王都への招集が重なったの。

 ジェシーの所も子供はおらんし・・・伯爵抜きで新兵訓練をするのかのぉ?」

「さて・・・それにゴドウィン様の所の騎士団長が今度新貴族になります。

 その辺の事も大丈夫なのか・・・まぁ新兵の合同訓練程度では問題ないでしょうけども。」

「ふむ。タケオ、どう思うかの?」

「領地のトップ2名が不在ですか。

 さらには武官トップが変わって間もない。

 わかりません。ですが往々にしてそんな時に事故は起こる物かと。」

「フレデリック、兵士長に言って今年は魔法師小隊1個を連れて行くように言ってくれ。

 万が一の際は回復戦法を用いて全員の帰還をさせるよう指示を出しておいてくれるかの。」

「畏まりました。」

フレデリックが頷くのだった。


「さてと。

 ジーナ、手紙は書いて来たかの?」

「はい、伯爵様。

 ご主人様、こちらになります。」

ジーナが武雄に封筒を渡す。

「はい、わかりました。

 ちなみにですが、中を見ても良いですか?」

「はい、構いません。

 お父さまにも確認して貰っています。」

ジーナが答える。

「そうですか。

 エルヴィスさん、手紙になります。」

武雄は懐から昨日書斎で書いていた手紙(アリスが清書済み)が入った封筒を取り出しジーナから受け取った封筒と重ねてエルヴィス爺さんに渡す。

「うむ。

 これにわしの手紙を添えれば良いのじゃの。

 フレデリック、先ほど書いた物を添えてウォルトウィスキーを魔王国の商店に送ってくれるかの?」

「はい、畏まりました。

 ウォルトウィスキーは小瓶に入れ24本を送付する予定です。」

「うむ、それで良いじゃろう。」

エルヴィス爺さんが頷く。

「あ・・・あの・・・ご主人様、伯爵様、中を見ないのですか?」

「はい、今回は見ませんよ。

 ジーナ的に見られても良い内容なのでしょう?

 なら問題はありません。

 それに今回は見ませんでしたが、次回は見るかもしれません。

 ヴィクターもジーナも常に誰かに見られる可能性(・・・・・・・・・・)を考えて手紙は書いた方が良いですよ。」

「はい。主、その辺はわかっております。」

「??お父さま、どういう事でしょうか?」

ジーナがヴィクターに聞いてくる。

「ここに居る方々は基本的に私達を信頼して内容は見ないが輸送している際に見られる可能性もあるという事を主は言っているのです。

 もちろん伯爵様や子爵となった主の手紙を見る不届き者は居ないでしょうが、それでも絶対とは言い切れないから安全策をちゃんと取る必要があるのですよ。」

ヴィクターはジーナに言う。

「んー・・・手紙という手段がややこしく感じます。」

ジーナが呆れた顔をさせる。

「それに私の手紙には遠回しに書いておきましたが、ジーナの手紙はジーナの叔母さんが見たら焼却処分して貰うようにして依頼をしています。」

「なんじゃ、タケオも書いたのかの?わしも書いておいたのだがの。」

「伯爵様もご主人様も同じ考えなのですか?

 でもどうしてですか?」

ジーナが聞いてくる。

「うむ。

 ファロン子爵領内にはヴィクターとジーナを奴隷船に乗せた者が居るからの。

 その者に2人が隣の領地に健在している事を伏せておきたいのじゃ。

 その手紙が元で商店もわしらも窮地に追いやられる可能性があるからの。

 証拠になりそうな物は破棄してしまうのが一番じゃ。

 まぁ最終的にどうなるかは向こうのジーナの叔母が決める事ではあるがの。」

「そうなのですね。」

ジーナが感心する。

「うむ、すまぬの。

 出来ればそう言った遠回しな事をしなくても良いようにしたい物じゃが、今の段階では少し難しいのが正直な所じゃ。

 叔母との手紙はとりあえず当分は禁止じゃの。

 もう少し事態が忘れられる年月が経ったのちに出来るじゃろう。

 それまで我慢してくれるかの?」

「はい、わかりました。」

ジーナが頷く。

「でだが・・・

 ヴィクター、上手くいくと思うかの?」

「陛下と懇意の酒屋に行き着くかが鍵になるかと。

 ですが、顔が広いシモーナの事ですから上手く行く可能性は高いと思います。」

「ふむ・・・そうか。

 ・・・これで事態が動くの・・・早い段階で手を打ってしまうのは良い事なのか・・・」

エルヴィス爺さんは腕を組ながら言う。

「主、どちらにしてもいつかは2人の事は向こうも知る事かと思います。

 遅いか早いかの違いだったでしょう。

 後手に回っては判断がより厳しくなると思います。」

「事態を動かすなら少しでも自分達に有利になるようにするべきです。

 その一手が悪手なのか妙手なのかは後々に判明します。

 ですが、今は自分達が考える最善の手を打てればどんな結果になろうとも後悔はないと思います。」

フレデリックと武雄が答える。

「うむ・・・そうじゃの。

 願わくば穏便に事が推移して欲しい物じゃ。」

エルヴィス爺さんの呟きに皆が頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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