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第608話 ウスターソースの販売方法。

武雄達はタマとスーの家を買いに雑貨屋に寄ってから街を見ていたらベッドフォードの青果店にスミス達が入って行くのを目撃していた。

「タ・・・タケオ様!スミスが出歩いています!」

アリスが驚きながら言う。

「いや・・・スミス坊ちゃんにどんな印象を持っているんですか?」

武雄が苦笑を返す。

「それにしても昨日の今日で原価とか決まったのですかね?

 もう少し時間がかか・・・て、アリスお嬢様?ソワソワしないでください。」

「タケオ様!?スミスですよ!?

 あのスミスが出歩いているんですよ!?

 剣の練習ぐらいでしか家を出ていかない引きこもりのスミスが!?」

「・・・壮絶にスミス坊ちゃんを侮っていますね。

 別に勉強をしているだけでしょうに・・・

 スミス坊ちゃんも何か気になるから来たのでしょう。」

「ささ、タケオ様、行きましょう!」

アリスが武雄の前でウズウズし出す。

「はいはい。」

武雄達は足早にベッドフォードの青果店に向かうのだった。


------------------------

「キタミザト様にアリスお嬢様!?」

「はい、こんにちは。

 で、売り方を考えているのですよね?」

「は・・・はい。」

「タケオ様、食べて貰うのですか?」

スミスが聞いてくる。

「ええ。早く言えばローさんがしている無料提供をすれば認知度が高まるでしょう。

 そして購買に繋がれば良いのです。」

「でもどうやって・・・」

「スミス、そこは屋台よ♪」

「あ!」

アリスの言葉にスミスが閃く。

「でも・・・商品を売ると余計な費用がかかって採算が合わないのではないですか?」

「んー・・・初期投資ですからその費用は将来に回収すると考えるしかないでしょう。

 でも店先で実際に物を食べて貰いながら販売するのが認知度を上げるのには良いでしょうし。」

武雄はスーパーマーケットで店頭販売をしている売り子さんを思い出す。

「食べて貰う・・・ベッドフォードさんの店先でするのですか?」

「それも一つの手ですが・・・まぁそれを1度してみますか。」

「タケオ様、丁度良い所に。

 タケオ様宛に第1皇子殿下より手紙が参っており預かっております。」

とフレデリックが武雄に手紙を渡す。

「私宛なのですか?」

「はい、タケオ様宛です。」

「そうですか。」

武雄はその場で手紙を開封する。

皆が息をのんで見守るのだった。

・・

「ふふ、向こうも似たような事を考えているのですね。」

武雄が手紙を読み終えて懐に終う。

「タケオ様、クリフ殿下は何と?」

アリスが聞いてくる。

「ウスターソースの販売価格を合わせて欲しいそうです。」

「「「・・・・」」」

皆が一斉に息を飲む。

「クリフ殿下から500mlを銅貨30枚(・・・・・)で販売するそうです。」

「ふむ・・・となると私達が取れる手段は第1皇子殿下領と同じ量と価格で売るか、300mlでの価格を合わせるかですか。」

フレデリックが呟く。

「えーっと・・・現在の原価と販売価格はどうなっていますか?」

「こちらです。」

文官が武雄に試算を渡す。

・・

「じゃあ、300mlで売る事にしましょうか。

 小樽を使うのも面白そうですね。」

武雄はあっさりと自分の意見を下げてベッドフォードの試算を了承する。

「となると小樽(300ml)の販売価格は銅貨18枚となりますね。

 タケオ様、この価格で売れると思いますか?」

フレデリックが聞いてくる。

「さて・・・ここまで来たら売るしかないでしょうけど。

 でもスミス坊ちゃんの言った継ぎ足し方式の売り方は私も『あり』だと思います。」

「本当ですか!?」

スミスは武雄に褒めて貰い照れる。

「ええ。

 この継ぎ足し方法は凄い良い考えですね。

 ならこれをもう少し買いやすくする方法を考えてみましょう。」

「はい!」

「私が継ぎ足しの方法を聞いた時に思い浮かんだ売り方は量り売りという考えです。」

「「「量り売り?」」」

「えーっと・・・タケオ様、量り売りは豆とか穀物でする販売方法ですよね。

 ワインとかの液体は瓶や樽単位で買うものだと思うのですが?」

皆が首を捻り、代表してアリスが聞いてくる。

「そうですよ。

 でもそれは使い切る(・・・・)から新しく容器ごと買うのですよね?

 スミス坊ちゃんの考えだと底の方に残っている(・・・・・)かもしれない状態で容器を持って来るでしょう。

 なら・・・え-っと・・・元々300mlの容量があるのですよね。

 50mlが入る柄杓を用意しておいて1杯がいくらとしておくのが良いでしょう。

 そうですね・・・元々の想定が銅貨9枚ですか・・・

 最大6回(・・・・)だと・・・1.5?・・・端数ですか。

 継ぎ足しの料金は銅貨2枚で50mlで良いでしょう。」

「という事は小樽の販売価格は銅貨18枚、継ぎ足しは1杯(50ml)で銅貨2枚ですね。」

文官が言ってくる。

「これなら採算は取れそうですか?」

「えーっと・・・少々お待ちください・・・」

文官が凄い勢いで計算を始める。

他の面々が見守る

「んー・・・どちらで売っても(・・・・・・・・)利益はほぼ変わりませんね。

 ですが、小樽の場合は定数量の購入をしないと仕入価格が変動しそうです。

 ですから小樽の販売目標をある程度決めておかないといけないかもしれません。

 もしくは一括で大量に購入するか・・・その辺の判断をする必要があると思います。」

文官が報告してくる。

「その辺はベッドフォードさんが月の生産量をどうするかと、この街の販売個数の見通し次第ですね。

 それと仕込んだ樽ごと買う事は可能ですか?」

「いや・・・キタミザト様、それは出来ないですね。

 この製造方法は少し煮詰めないといけません。

 なので仕込んだ樽ごとは売れないですね。」

「ですが、酒場に卸すなら仕込んだ1樽分をそのまま売るのもありでしょう?

 その際の価格はどうなります?」

「はい、少々お待ちください。」

文官が再計算を始める。

「そうですね・・・銅貨7500枚、金貨7枚と銀貨5枚で売ることになると思います。」

「ふむ・・・

 まぁ酒場への供給は受注後生産で賄うとして、一般家庭・・・小樽は何個としましたか?」

「小樽225個、継ぎ足し用が小樽で300個相当です。」

「1樽仕込んで小樽が225個を販売ですか。

 さて何日で捌けるか・・・ですね?」

「タケオ様の考えている食べて貰いながら販売をするとしてどのくらい売れると思いますか?」

「んー・・・フレデリックさん。

 夕食の食材を買いに来る人達でこの店の前を通る人はどのくらいの数があると思いますか?」

「さて・・・そういった観点で見たことがないですね。

 ですが、この店の周りは夕方の時間になれば人通りが多いと思います。」

フレデリックが悩む。

「奥さん、実際に売っていて客の入りはどうですか?」

「そうですね・・・大体9時課の鐘から晩課の鐘の間が一番人が来ますね。

 人数だとたぶん50・・・いや70人は来ているかどうか。」

武雄はベッドフォードの奥さんの話を聞きながら「いつか通行量調査をしてみたいなぁ」と思うのだった。

「ならその50人から70人を対象にして店先で販売をしてみて、徐々に主婦達の世間話で広めるしかないでしょうね。

 さて、どのくらい買って貰えるか・・・良くて8割かなぁ・・・大体最大で60名でしょうか。

 試作と小樽の手配等々が済んでから私が売ってみますかね。

 おじさん、初回のソースが出来るのはいつですか?」

「実は販売用ではなくて試作として今日してみようかと思っているんですが・・・

 販売となるともう少し時間が欲しいですかね。」

「そうですか。

 販売になった際に初日だけ私が販売してみましょうかね?

 それと試作段階でも良いのでエルヴィス家に納入しておいてください。

 というより今日仕込んだ物を売ってください。」

「え?」

「皆このソースが好きなので。

 もう無くなりそうなのですよ・・・今すぐにでも欲しいですが、とりあえず待ちます。」

「どのくらい納入すればよろしいので?」

「そうですね。

 エルヴィス家への納入は先ほどタケオ様が仰っていた仕込んだ1樽分で良いでしょう。

 あくまで受注後生産で構いません。確か・・・注文から納入まで4日ほどでしたか。」

「わかりました。

 とりあえず今日仕込んだ物が出来て手を入れてから納入します。」

「タケオ様、とりあえず私達は試作品を待っていれば良いのですね?」

アリスが聞いてくる。

「そうなりますね。

 契約や販路等々は私達が居ない方が打ち合わせがしやすいでしょう。」

「じゃあ私達はお暇しましょうか。」

アリスの言葉で武雄とスミスとフレデリック達が店を出て行くのだった。

・・

「はぁ・・・販売価格が決まったな。」

ベッドフォードがため息をつく。

「良かったじゃないか、とりあえずこれで契約内容が作れるだろう。

 後は製造に必要な樽とか販売用の小樽等々を皆で話さないといけないかな。」

「文官殿の試算では半数が小樽でしたが・・・もう少し考えないといけないでしょうね、ほほほ。」

「販売方法もとりあえず店頭で一般向けに販売し、酒場にも卸すような事を言っていたよな?」

「初回だけキタミザト様が売るような事を言っていたけど・・・あんた、どう思う?」

「それはそれだろう。やるんじゃないか?」

「実際にキタミザト様が販売したらどうなるのでしょうかね?ほほほ。」

「さて・・・交渉は私もローさんもキタミザト様としていますが・・・

 店先での販売がそう簡単に出来るのでしょうか?」

「わからない事を話していても仕方ありません。

 とりあえず今後の方針を決めていきましょう。」

財政局の担当文官がまとめだすのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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