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第603話 1本道を作ってみよう4。(アニータ達の仕様と武雄の魔法についての考え。)

「いや~・・・怒られましたね。」

武雄がため息交じりに言う。

「タケオ様、石の上に脛を付いていましたが、痛くなかったのですか?」

アリスが聞いてくる。

「凄く痛かったですよ?

 自分自身で『なんで石を敷いたかな?』と思うぐらいです。

 で、アリスお嬢様は何を・・・と言うか美味しいですか?」

「「「はい♪」」」

武雄が怒られている横でアリス達は車座に座りながらバスケットに入れていたフレンチトーストを食べて休憩をしていた。


「さてと・・・ミア、クゥ、お疲れ様。

 私の分も食べて良いですからね。」

「やった♪」

「きゅ♪」

ミアとクゥが武雄の分を頬張り始める。

「今日はこのぐらいで止めておきますか。」

武雄はお茶を飲みながら言う。

「そうですね。

 まぁここまで来るとクゥちゃんを使わないでしょうし、これ以上は怒られないと思いますね。」

「そうですね。

 で、アーキンさん達はどうでした?」

「とりあえずこれから毎日午前中は行進の練習です。」

「「・・・」」

アーキンの言葉にアニータとミルコが嫌そうな顔をする。

「そうですか。

 2人は魔法を試してみたのですか?」

「いえ、まだこれからです。

 ここでしても良いのでしょうか?」

「良いですよ。

 誰もいないですし。

 試験小隊用に作っていますからね。」

「わかりました。

 じゃあここでしてみましょうか。

 アニータ、ミルコ、やりますよ。」

「「は~い。」」

アーキン達が教え始めるのだった。

・・

「「・・・」」

武雄とアリスが目を細めながらアニータ達を見ている。

チビッ子達はお昼寝しています。

「アニータ!ミルコ!さっきから言っているでしょう!

 もう少し発動の魔力量を抑えなさい!」

ブルックの怒号が飛ぶ。

「「は・・・はい!」」

「じゃあ、もう一度!

 スティックを振りかざしながらファイアを。」

「「ファイア!」」

アーキンの言葉を合図に2人がファイアを発動する。

と、30cm程度の火の玉が出来上がり飛んでいく。

「・・・2人ともこれが最小なイメージですか?」

「・・・これが一番少ないと思うんです・・・」

「教わったように水滴から炎をイメージしたんです・・・」

アニータとミルコはやっているのに怒られていて、自分自身でも訳がわからない状態で半泣きになっていた。

「「・・・」」

アーキンとブルックが難しい顔をさせる。


武雄とアリスはそんな訓練風景をお茶を飲みながら見ている。

「ん~・・・タケオ様、どう思いますか?」

「どうとは?」

「アニータちゃんもミルコも頑張っているように見えるのですが。」

「ん~・・・

 アーキンさん、ブルックさん、アニータ、ミルコ、ちょっと来て下さい。」

武雄が4人を呼ぶとアーキン達がやってくる。

「集合しました。」

アーキンが報告してくる。

「はい。

 とりあえず見ていましたが・・・ブルックさん、何を教えようとしているのですか?」

「ファイアの発動魔力量が大きすぎます。

 普通の魔法師に比べて倍はかかっている感じがします。

 学院では発動に必要な最小魔力量を覚えさせてから徐々に加えるようにしております。

 魔法師として最小魔力量をほぼ均一にすることを覚え、かける魔力量を自在に変化出来るようにしてから各配属先に送り出されます。

 これは部隊として均一な攻撃力を有した兵士を揃えた方が結果的に威力が増すからです。」

「ん~・・・言いたい事はわかりますし、やりたい事もわかります。

 ですが、アニータもミルコもこれ以上発動する際の魔力量を低くは出来ないと言っています。

 なら、現状ではアニータやミルコに合わせるしかないでしょう。」

「それはそうですが・・・

 上の者が下に合わせるというのは聞きません。

 普通は下の者が上に合わせると思います。」

「それは習慣や報告書とか習えば出来る物だったり本人の努力で覚えられる物はそうでしょう。

 ですが、今問題になっているのは個々の資質(・・・・・)です。

 これは出来ない方に合わせるしかありません。」

「それは・・・はい、その通りです。」

「それにアニータ、ミルコ。

 とりあえずは試験小隊の人達は貴方達に合わせますが、アーキンさん達が教えようとしている最小の定義は2人のイメージが足らないから出来ないのかもしれません。」

「「イメージですか?」」

「例えば・・・私のいつものイメージではファイアはこれですが。」

武雄は人差し指を立てて指先にファイアで拳大の橙色の(・・・)火を出す。

そして「松明からガスバーナーへ」と思う。

と今までゆらゆらしていた炎が短くそして細くなりガスバーナーの火のような青色(・・)になる。

「「あ!?色が変わった!?」」

「このようにイメージによって変えられます。

 ならアニータとミルコにとっての最小のイメージが違うか、そもそもイメージ出来るだけの知識がないのです。

 さらに。」

武雄はバーナー状の炎を一旦、松明状にして「温度上昇」と思う。

「「白くなった!?」」

「知識があればこんな事も出来ます。

 これは私が『火の種類』を知っているからです。

 なので、アニータとミルコはもっといろいろと学ばないといけませんね。

 よく本を読み、世の中を見て他人の意見を聞くことが大事になります。」

「「はい!」」

アニータとミルコは少しやる気が出て来たようだ。

「キタミザト殿!

 なんで炎を青くしたり白くしたり出来るのですか!?」

アーキンが聞いてくる。

「え?」

武雄は質問内容よりもしてきた人に驚いていた。

アーキンはどちらかと言えば温厚で質問をしてくるならブルックだと思っていたからだ。

武雄は横目にブルックを見ると目を見開いて口を開けて固まっていた。

「んん?この世に青い炎はないのですか?」

武雄が首を傾げる。

「伝承にある程度です!

 どうやるのですか!?」

「どうやる・・・」

武雄が悩む。「ガスバーナーと言っても理解されなそうだしなぁ。それに炎を作っているイメージもしていないし・・・」

で、武雄は目の前のアーキンをどう説得しようか悩むのだった。


武雄はファイア=松明の火というイメージで作り上げていた。

ちなみにガトリング時は「炎を圧縮すれば良いんじゃない?」とお気軽思考だったりする。

なのでファイア≒ガスバーナーというイメージにすると青い炎になっているだけだった。

さらに温度上昇のイメージは太陽をイメージしているに過ぎない。

これは武雄がテイラー店長に言われた最初の言葉に従っているだけだった。

「魔法はイメージが大事であり、効果範囲を大きくイメージすれば威力は下がり、逆に小さくしていくと威力は大幅には上がらないにしても少し上がって、長時間使える」という言葉を武雄なりに解釈していた。

つまりはどんなイメージ(・・・・・・・)をするかなのだ。

この時点で武雄はこの世界の住人達とは一線を画す。

例えば『シールド』はこの世界の住人は攻撃を防ぐという簡単な(・・・)イメージだが、武雄は樹脂入り複層ガラス(・・・・・・・・・)といった感じで他人よりも若干深くイメージしている。

もちろん性能の差はさほどない。

シールドの特徴である高防御力や完全衝撃吸収は頼れる物だ。

しかし、シールドを縦や横に並べたりするのは武雄がガラスのイメージで作っているからに他ならない。

たぶんこの世界の住人ではそんな使い方すら思い浮かばないだろう。


魔法はイメージが大事と習うのに基礎的な研究がされていない。

「何ともちぐはぐな世界なんだなぁ」と武雄は思うが、それもまた面白い世界なのだろうと深くは考えない。

それよりも今は目の前のアーキン(問題)をどう片付けるかを考えないといけないよね。

武雄が心の中で苦笑をしながら説明方法を考えるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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[気になる点] >「ん~・・・言いたい事はわかりますし、やりたい事もわかります。 > ですが、アニータもミルコもこれ以上発動する際の魔力量を低くは出来ないと言っています。 > なら、現状ではアニータや…
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