第599話 55日目 今日も終わりだ。
「さて寝るかの」とエルヴィス爺さんのいつもの言葉と共に皆が客間を出ていき、各々の寝室に戻った。
武雄が風呂の準備をし、アリスとチビッ子達が先に風呂に入っている間に今日の事等を武雄は書斎でノートに書いていた。
「ん~・・・森の中を真っ直ぐ500mの道かぁ。
1本、1本切って行くのがちゃんとしたやり方なのはわかるんだけどなぁ・・・」
武雄は顎に手を当てながらボーっと考えている。
・・
・
と、寝室側の扉がノックされ「タケオ様、います?」とアリスが入ってくる。
「いますよ。お風呂はどうでした?」
「満足です。」
アリスはニコニコだ。
「きゅ♪」
「チュン♪」
「ニャ♪」
「はぁ~♪」
チビッ子達がアリスの後ろからアリスを通り過ぎて書斎に入って来る。
「ミア達はもう寝ますか?」
「はい、主。このまま皆で寝ます。」
「チュン。」
「ニャ。」
「きゅ。」
チビッ子達が同時に頷きソファに皆が向かう。
武雄がそんなチビッ子達を見ていた。
「きゅ?」
クゥが武雄に向かって首を傾げながら鳴いてくる。
「クゥちゃん、どうしましたか?」
アリスが聞いてくる。
「きゅ?きゅ。」
「主、クゥに何か聞きたい事があるのですか?
『今日は随分と見るね?』とクゥが言っています。」
「んー・・・クゥ、貴方の居た住み家は随分と開けていたじゃないですか。
あれはどうやったのですか?」
「きゅ?きゅ♪」
「はぁ!?」
クゥが得意満面で鳴くとミアが声を出して呆れる。
「ミア、どうしましたか?」
「いえ・・・たぶんクゥが見栄を張っているんです。」
「きゅ!」
クゥがミアに抗議する。
「はぁ・・・じゃあ主達に伝えますよ?」
「きゅ♪」
「主、クゥが居たあの開けた場所はクゥが成獣の状態でフレア(威力強大)とサイクロン(威力強大)の範囲攻撃とエクス(威力強大)を同時に発動させてあの辺の木々を吹き飛ばして作ったそうです。」
「「・・・」」
武雄とアリスが真顔で固まる。
「きゅ♪」
クゥが「凄いでしょう♪」と胸を張る。
「クゥ、主もアリス様も呆れているんだと思いますよ?
ドラゴンは相変わらずやることが大事です。」
ミアがため息をつく。
「・・・ちなみにですけども。
クゥ、それをしたとしてあの広さと同じ大きさを作るのにどのくらい時間がかかりますか?」
「きゅ~・・・きゅ!」
「主、そんなに時間はかからないそうです。」
「そうですか・・・クゥ、もしかしたら今後、協力をお願いしたらしてくれますか?」
「きゅ♪」
クゥが大きく頷くのだった。
「わかりました。
引き留めて悪かったですね。
もう寝なさい。」
「きゅ♪」
「ニャ♪」
「チュン♪」
「はい♪」
と今度こそチビッ子達が寝床に向かうのだった。
・・
・
ミア達チビッ子達を武雄の書斎に寝かしつけ、アリスの髪を乾かすのと武雄も風呂を終え、武雄とアリスはベッドでマッタリしている。
「タケオ様、戻ってからも慌ただしいですね。」
アリスがベッドでゴロゴロしながら言ってくる。
「別に慌ただしくしているつもりはないですけどね。
決めないといけない事がたくさんあるという事ですね。」
「それにしても今日のトリカツは良かったです。
これを普及させればさらに養鶏場が定着しそうですね♪」
アリスが嬉しそうに言う。
「そうあって欲しいですね。」
武雄は「ラード油や菜種油が大量に取れたら油の価格は下がるのかな?」と思っていたりする。
「ちなみにタケオ様は明日はどうするのですか?」
「朝は裏門まで散策に行って、小銃改1を撃って来て、朝食後は作業服の試験場所を下見して、午後は研究所の間取りの確認をしに庁舎に行きますかね。
詳しくは明日、フレデリックさんに聞いてみます。
アリスお嬢様はどうしますか?」
「ん~・・・
朝食後からタケオ様に付いて行きますかね。」
「そうですか。
それにしてもクゥはドラゴンなんですね。」
「そうですね。
あの広さの広場をすぐに作れてしまう魔法の威力は凄いですね。」
「さらには姉ドラゴンのように尻尾の攻撃もあるし、皮を剥がす時にわかりましたが相当固いですね。
最強種と呼ばれる訳がわかりますね。」
「攻撃力もあって固い・・・はぁ、タケオ様が前にスミスに言った最強種だから国のトップにならないというのもあながち間違いではなさそうですね。
攻防のレベル自体が高いです。」
アリスが苦笑する。
「あれはただの思い付きなんですけどね~。」
「あ、そうだ。
クゥちゃんやタマちゃんのドールハウスを買わないといけませんね。」
「あぁ、すっかり忘れていました。
じゃあ明日、試験場所を下見した後に買いに行きますか。
冒険者組合にも届いているでしょうし。」
「そうですね。
と、タケオ様。」
アリスが真面目な顔をさせる。
「はい、何ですか?」
「なんで朝でもないのに私の太腿を撫でているのですか?」
「気持ち良いからですけど?」
武雄は悪びれもせずに言う。
「ふ~ん・・・」
アリスは武雄のお腹を撫でてくる。
「く・・・負けませんよ。」
武雄も反撃を開始する。
武雄とアリスは相変わらずなのだった。
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