第577話 55日目 朝だ・・・あぁもうお決まりの起こし方ですか・・・
「ぐふっ」
武雄は腹部への強烈な刺激で目覚める。
やはりアリスが寝返りを打ったらしく、武雄の腹に膝蹴りをかましていた。
当のアリスは隣でスヤスヤ寝ている。
「・・・旅の中ではなかったのに・・・しょうがないのかなぁ。」
武雄はアリスの太腿を撫でながら考える。
・・・
・・
・
アリスが身じろぎを始め。
「・・・おはよう・・ございます。」
と挨拶をしてくる。
「はい、アリスお嬢様、おはようございます。」
と武雄もアリスの太腿を撫でながら挨拶をする。
「・・・これも・・・久しぶりです。」
アリスが武雄の手に自分の手を沿わせながら呟き、また夢の中に旅立って行く。
・・
・
アリスはもうしばらく2度寝を楽しんでいたが2度目の目覚めはすぐに体を起こす。
「さ、タケオ様、起きますか。」
と、アリスの言葉に二人ともベッドを出て、着替えを始める。
・・
・
「まだ朝食には早いですね。
タケオ様、どうしますか?」
「そうですね。
とりあえず、工房の方々の様子を見てきます。
顔だけ出してすぐに戻ってきますね。」
「わかりました。
場所はわかりますか?」
「ええ。一応、説明は受けましたよ。
裏通りを真っ直ぐ行った割と近い所らしいので問題はないかと思いますね。」
「そうですか。
私は客間でまったりとしています。」
「はい、では行ってきます。」
武雄は寝室を出て行くのだった。
------------------------
武雄が小銃改1を持って玄関に着くとヴィクターとジーナが旅の時の服装で立っていた。
「主、おはようございます。」
「ご主人様、おあようございあす・・・」
「はい、おはよう。
ヴィクター、ジーナ、良く寝れましたか?」
「はい。
と、少しジーナが寝そうですが・・・とりあえずもう少し時間が経てば平気かと。」
「ごめんあさい、ご主人あま。」
ジーナがボケボケしながら答えてくる。
「まだ早いですからしょうがないですよね。
もう少ししたらアリスお嬢様が客間にきますからよろしくお願いします。」
「畏まりました。
主はどちらへ?」
「工房の人達に挨拶をしてこようかと。」
「付いて行きましょうか?」
「顔を出すだけだから平気ですよ。
それに割と近い場所らしいのでのんびりと散歩してきます。」
「畏まりました。」
「あ!主!私も行きますよ!」
と、ミアがやって来て武雄の肩に止まる。
「寝ていても良かったのですよ?」
「私も散策に行きます。」
「そうですか。
では、一緒に行きましょう。」
「はい♪」
「ヴィクター、何かあればミアが戻って来るでしょうから問題ないでしょう。
それにしても他の面々はどうしましたか?」
「クゥは寝ています。
スー助はアリス様が小窓から外に・・・軽く飛んでくるそうです。
それとタマもスー助と一緒に外に行きました。
母と姉に朝の挨拶をしてくるそうです。
2人とも朝食までには戻ると言っていました。」
「わかりました。
では私達も行きましょうか。」
「はい。」
武雄とミアが出かけるのだった。
------------------------
「おや?
ヴィクター殿、ジーナ殿、おはようございます。」
フレデリックが玄関にやって来る。
「「おはようございます。」」
「今日の朝ぐらいはのんびりしていても良かったのですけども。」
「いえ、今日の朝からしっかりしようと頭を切り替えております。」
ヴィクターはそう言い、頭が回り出したジーナも頷く。
「そうですか。
では、もう少ししたら主もスミス様も起きてきます。
厨房に一緒に行ってお茶の用意をしてきましょうか。」
「「はい。」」
ヴィクター達も執事として動き出すのだった。
------------------------
工房の場所の近くまで武雄とミアが歩いてくると。
「あ、武雄さん、おはようございます。」
玄関前に居た鈴音が挨拶をしてくる。
「はい、おはよう。
よく私達が来るのがわかりましたね。」
「テトちゃんが教えてくれました。」
鈴音はそう言うがテトの姿はなかった。
「テトはどうしたのですか?」
「ははは、テトちゃんは3度寝の真っ最中です。」
鈴音は苦笑を返してくる。
「まったく、テトはだらしがないですね。」
ミアが武雄の肩に座りながら言ってくる。
「いいえ、昨日はテトちゃんが大活躍だったので眠くても仕方ないですよ。」
「何かありましたか?」
「あ・・・玄関前でもアレなので中でお茶でも。」
「他の皆さんは?」
「武雄さん、工房の朝は早いので皆もう朝食は済ましています。
今は各道具の清掃中ですよ。」
「そうなのですね。
わかりました。」
鈴音に誘われて武雄は工房の中に入っていく。
・・
・
「キタミザト様、いらっしゃいませ。」
武雄に気が付いたブラッドリーが声をかけてくる。
「お邪魔します・・・え?もう各機材をちゃんと配置しているのですか?」
「ん?あぁ、実は昨日カーティス殿と話をした後に簡単に場所を決めて移動させたのです。
流石は精霊ですね、テトが手伝ったらあっという間に配置が終わってしまいましたよ。」
「大活躍だったのですね。」
「ええ。それでキタミザト様はどういった御用で?」
「様子見です。
昨日はどうでしたか?」
「ふむ・・・では少し座って話しましょう。」
「はい。」
武雄はブラッドリーと鈴音と歓談をし始めるのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




