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第570話 エルヴィス家の報告会7。(第3皇子一家の政策についてと人工湖の概要。)

「さて、タケオ、レイラ達に何を吹き込んだのじゃ?」

「いろいろですけど?」

武雄は否定もせず真顔で返答する。

「・・・タケオ様、普通はそこは慌てるのではないのですか?」

スミスが呆れながら言ってくる。

「ふふ、スミス坊ちゃん、残念でした。

 私はやましい事は何もしていませんからね。慌てもしませんよ。

 それに私の考えを語りはしましたが、特に第3皇子一家の政策に関わった(・・・・・・・)とは思ってはいません。

 決めたのは第3皇子一家ですよ。」

「物は言いようじゃの。

 で、実際はどうであったのじゃ?」

エルヴィス爺さんがため息をつきながら言ってくる。

「そうですね・・・ではその辺の話をしましょうか。

 まずは第3皇子一家の領地異動と土地の選定の話ですね。」

・・・

・・

「という感じで、卸売市場という考えの概要をエリカさんにお伝えしました。」

武雄はウィリアム達に説明した街の概要とエリカに説明した卸売市場の概要を皆に説明をした。

「・・・」

エルヴィス爺さんとスミスとフレデリックは腕を組んで悩んでいる。

「奇抜と評すれば良いのかの。

 軍事的な利点はわかるが平時で採算が取れないと維持はできんじゃろう。

 ・・・実はの、昔わしらも川を利用した運搬を考えた事があるのじゃが、採算が取れなくて断念した経緯があるのじゃ。」

「そうなのですね。」

「うむ。その時はフレッドの所から小麦を買う想定だったの。

 タケオはわしらの想定を更に広げ、さらに売りに行く事を考えておるのか・・・何を売るつもりじゃ?」

「服、菓子、ウォルトウィスキー、魚醤、ウスターソース、缶詰でしょうか。」

「缶詰とな?」

「はい。

 円筒形の鉄に食材を入れ、密封した物になります。」

「ふむ・・・外形は何となくわかるがの・・・腐らんか?」

「そこですね。」


実は武雄も帰路の最中考えてはいたのだ。

缶詰の概要は自身から説明した通りだと思っているし、缶詰の容器自体の製造はブラッドリー達に試行錯誤して貰うとして、あとは内容物の腐敗が心配だった。

食品である以上腐るのは当たり前なのだが、缶詰は腐敗の進行を遅らせるというイメージがあった。

武雄は前にエルヴィス爺さん達に説明した長期保存の方法自体は間違ってはいないだろうと思っている。

あとは真空にするか、水分を抜くか、腐敗を抑制する薬剤に浸けるか、温度を下げるか、滅菌するか・・・

どの方法を缶詰は使ってるのだろうかと考えていたが、未だにどれが正解かを掴みかねていた。


「どうやれば長持ちするかは試しながらしないといけないですね。」

「なるほどの。

 商品化には時間がかかるの。」

「はい。

 それと研究所としては船の駆動部を考えようかと思っています。」

「船の駆動部とはどういう事でしょうか?」

フレデリックが聞いてくる。

「私の考えですが、ゆくゆくは風に頼らずに魔法適性がある者が2名で動かせる仕組みにしたいと思っています。」

「魔法師ではなくてですか?」

フレデリックが聞いてくる。

「魔法師は戦力なのでしょうから出来れば適性があるという段階の者を使えたら良いかと。」

「ふむ、それは理想としては良いがの。

 言い方は悪いが魔力量が足らないから魔法師になれない者達じゃ。

 使えると思うかの?」

「使えるようにすれば職業の選択の幅を広げられ、人々のやる気に繋がるかと思います。

 それとウィリアム殿下達の政策でエルヴィス家の文官方に検討して頂かないといけないことがあります。」

「ふむ・・・川の治水工事かの?」

「はい。

 それと港の整備が必要なのですが・・・私がウィリアム殿下の所で見た資料に東町とこの街の間にある川を使うとありました。」

「うむ、レイラからの書面にもあったの。

 あそこなら川幅も深さもギリギリ船が通れるの。」

「タケオ様、何を思い付いたのですか?」

スミスが聞いてくる。

「人工の湖を作れないでしょうか。」

「「湖?」」

エルヴィス爺さんとフレデリックが聞いてくる。

「えーっと、最初は川の縁に5m程度の凹みを作り船の停留や荷捌きが出来る場所を考えていたのです。」

武雄が紙に書き始め、他の面々も覗き込んでくる。

「ふむ。

 わしの考えも概ねこれじゃの。」

「私もこれですね。」

「僕もです。」

「私もです。」

エルヴィス家の面々が答え、ヴィクターもジーナも頷く。

「ですが、クゥがいつかは何処かに移住しないといけない事がありますので・・・

 この際、大規模な湖を作ってみても良いのかと思ったのです。」

と、武雄が言いながら紙に武雄の考えを書いていく。

「「「な!?」」」

その場の全員が固まる。

「タ・・・タケオ。

 周囲8kmとな!?」

「水深が10mですか・・・川よりも深いのですね・・・」

「湖に入ってくる川は左上側、川に出ていくのは右下側なんですか。」

「タケオ様、川下から入ってくる側に小島があるのですか?

 なんで真ん中ではないのですか?」

各々質問等をしてくる。

「えーっと・・・

 まずは小島の配置ですが、川の端から小島の端まで350~400mにしたいですね。」

「タケオ、小銃の射程になるのかの?」

「はい。防衛施設としての理由と交通を一方通行にしたい意向です。

 さらにはクゥの居住候補地という意味も含んでいます。」

武雄が紙に矢印を書く。

「なるほど、船の接触事故の予防ですね。」

フレデリックが頷く。

「はい。

 船が相互通行するなら規則が必要です。

 例えば『必ず右側を通行する』とかです。

 これは4領主が打ち合わせをしないといけないと思います。」

「ふむ、なるほどの。

 川から入って来たものは必ず直進するのじゃな。」

「はい。長旅で疲れているでしょうからまずは直進して頂いて一息つかせてから停留場に行かせた方が良いかと。」

「そう来ますか・・・タケオ様の考えはわかります。」

フレデリックが頷く。

「そして右側が荷降ろし専用、左側が荷積み専用とすることで商品の取り間違いを防ぐ意味があります。

 さらに。中央にこの湖と荷捌き場を管理する施設を配置してみるのもありかと。」

「なるほどの。」

「また、湖の左端から南町までの農業用水路の建設を計画したいです。」

「なるほど。タケオ様はこの湖を開墾にも使おうという考えなのですね。」

「フレデリック、農業用水路は各々の町や村の川辺でやる物だと思うのですけど違うのですか?」

「スミス様、合っています。

 水路の維持管理とその水路が賄う畑の数に対する水量が確保出来るかで決めています。

 ただし、この川は現在3伯爵領で使用している最大の川です。

 上流の水量を減らすと他の領地とのイザコザに発展するためにエルヴィス領(私達)はこの川へ用水路の追加造成はしない事にしています。

 タケオ様、現状では農業用の水路に使える水量は確保できないと思いますが?」

「・・・フレデリックさん、なんで湖の水の確保には何も言わないのですか?」

「テト様を使うから問題ないと思っておりますが・・・違いましたか?」

「その通りです。

 鈴音とテトの了解を取れたとの前提で動いていますが・・・まだ私の企画案なのでその辺は考えなくて良いでしょうか。」

「うむ、文官達に説明してからでも良いかも知れぬの。

 で、足りない水量はどう補填するのかの?」

「足らないなら増やすしかないのですが・・・

 さらに上流の川を統合してしまうか、魔法で補填するかだと思います。」

「なるほどの。

 フレデリック、あの辺の地図は有ったかの?」

「用意いたします。」

フレデリックが一旦退出するのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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