第567話 エルヴィス家の報告会4。(カトランダ帝国からの帰国から再び王都の話。)
「以上がカトランダ帝国から王都までと王都の話ですね。」
「「「・・・」」」
武雄は王都での出来事を話し終わっていた。
エルヴィス爺さんとスミスとフレデリックはお茶を飲みながら聞いていた。
「今度はあまり衝撃的な事はないの。」
「さっきと比べれば・・・ですね、お爺さま。
タケオ様、話にあったウスターソースとアズパールカレーのレシピを貰ったのですよね?」
「ええ、買いましたね。」
「普通は売ってくれんと思うがの・・・
で、タケオ、どうするのじゃ?」
「アズパールカレーについてはすみませんが、現状では契約上、王都の西の町のホテルの物です。
おいそれとは売れません。
ですので、当分はエルヴィス家のみのレシピにさせて貰います。」
「「「やった!」」」
エルヴィス爺さんとアリスとスミスが喜ぶ。
「ウスターソースについては、これは確実に売れますので製造に着手したいですね。
青果屋の大将の所に話を持って行こうかと思います。」
「ふむ、いつもの4人組じゃの。
ベッドフォードの店なら上手くやるじゃろう。
それについては問題ない、契約内容はローやラルフの所と同じで良いと思うの。
それにしてもウスターソースとはそこまで革新的なのかの?」
「ええ。
間違いなく食の革命が起きます。
アリスお嬢様、トンカツとコロッケはどうでしたか?」
「絶品でした!」
「「おお!」」
アリスの宣言にエルヴィス爺さんとスミスが歓喜する。
フレデリックも楽しそうな顔をさせる。
「明日にでも作ります。」
「すまぬの。」
「いえいえ。
お小遣いも王都から貰いましたからね~♪」
「レシピを売ったと言ったの。
そう言えば確か先だってタケオから壺が来て食したのじゃがな。」
「どうでしたか?」
「うむ。
わしやフレデリック、料理人達は平気だったのじゃが、スミスや執事とメイドの一部からは不評じゃったな。」
「臭みと甘さが・・・」
スミスが苦笑する。
「なるほど。
試験小隊の方も食べれる人と無理な人がいましたからね。
味の好みはしょうがないでしょうね。」
タケオも苦笑する。
「タケオ様、そんなに気になりましたか?
私もレイラお姉様や王家の方々も美味しく頂いていましたが。」
アリスが「何がダメなの?」と不思議がる。
「たぶん、魚臭さでしょうね。
肉の料理や肉のスープなのに魚の臭いがして違和感があるのかもしれません。
魚介系のスープに入れたらスミス坊っちゃん達も抵抗が少なく飲めると思いますね。
今度少量で試しても良いかもしれませんね。」
武雄が考えながら言う。
「そうじゃ、タケオからの宿題を料理長が終わらせていたの。」
「ピザですか?」
「うむ!一部を除き旨かったのじゃ!」
「タケオ様、あれはコストが低いのに種類が豊富で助かります。
ジョージも下地は同じで乗せる材料によって味も食感も変わるから料理を作る方からもレシピが増えて助かるそうです。」
フレデリックも好評なようだ。
「あれ?3種類置いていったのですが・・・どれかダメでしたか?」
「いえ、クリームパンもクロワッサンもどれも屋敷内で好評です。
ただ、ジョージが・・・ピザにプリンを乗せましてね。
大不評でした。」
フレデリックが苦笑しながら報告してくる。
「ピザ生地にプリンですか?」
「トマトを下地に塗ってからプリンとチーズですね。」
「・・・」
「不味そうじゃろ?」
エルヴィス爺さんが本音をこぼす。
「・・・甘いものを乗せる事自体は間違ってはいないと思いますが・・・
ん~・・・少し考えます。」
武雄は「もしかしたらアップルパイに似た物が出来るかな?」と思う。
「うむ、楽しみじゃの。」
「それとタケオ様、豆が送られてきましたが、あれは何でしょうか?
ジョージ達がウズウズしています。」
「新しいお菓子を作ろうかと思いまして。
一応、王都からこの街にも卸してくれるように頼んでいます。」
「なぬ!?」
「本当ですか!?」
エルヴィス爺さんとスミスが身を乗り出す。
「ええ。ただ私も1回しか見たことがないので上手く出来るかはわからないのですけども。
少なくとも王都にはありませんでしたからたぶん無いだろうとは思うのですよね。」
「それはわくわくするの♪」
「はい♪」
「どんななのかしら?」
エルヴィス家の面々は今から期待し始める。
「上手くいったら食べさせますから。」
武雄は皆の期待値が高く苦笑しか出来なかった。
「タケオ様、食べ物関連という事で1つ提案があります。」
「はい。」
武雄がフレデリックの言葉で姿勢を正す。
「タケオ様の研究所なのですが。」
「街の官庁街にある倉庫の建て直しに合わせると書いてあったかと。」
「そうです。
タケオ様からの欲しい部屋割りリストを元に整備局と建方の親方がレイアウトを決めましたので後日で良いので整備局に行って頂いて確認をしてください。」
「はい、わかりました。」
「で、ですね。
1階に喫茶店を作る案なのですが、これを我々も政策に使わせてもらおうかと思いまして。」
「何をされるのですか?」
「うむ。
タケオが入る研究所の周辺は昼に食べる所が少ないのじゃ。
そこで研究所の喫茶店を昼食時に利用したら補助を出そうかと考えておる。」
「なるほど、文官用の食堂を兼務するのですか。
わかりました。」
武雄はあっさりと了承する。
「ん?タケオ、それだけでわかるのかの?」
「え?文官の方々の昼食の補助を出して福利厚生にするのでしょう?
良い案だと思います。
ですが、料理人もまだ決めていないので皆が満足する料理が出せるのか心配ですね。」
武雄が悩むが他の面々は「いや、貴方を満足させられる料理人が居ないんですよ?」と苦笑しながら思うのだった。
「料理人についてはエルヴィス邸から毎月2名を交代で派遣しようかと考えています。
そうすれば1流とまでは言えないまでも美味しい物は提供できると考えています。
それに料理人の中には独立をしたい者もいますので仕入れから調理、その他の雑務等々を学ぶ場として良いかと。」
「そうですか。
確かに一家族の為の料理から客商売用の料理まで考えれるなら良いかもしれませんね。
その辺は料理長には言っているのでしょうか?」
「うむ、企画案は渡してある。
うちの料理人達も違う場が定期的に来るなら頭が固まらなく新たな発想にたどり着くかも知れないと言っておるらしいの。」
「でも毎月2名足りなくなるのですね。
屋敷の方は大丈夫なのですか?」
「んー・・・たぶん平気じゃないかの?」
「主、新たに1、2名募集しようかと思います。」
「うむ、それで良かろう。
タケオ、まぁ大枠はこれで決まったの。
実質は建物が出来てから決めていけば良いと思う。
わしらもある程度は資金協力は出来るからの。」
「はい、わかりました。
ですが、人材を融通してくれるだけでもありがたい事です。
あとの店の方針等々は建物が出来てから決めます。」
「うむ、それで良いじゃろう。」
皆が頷くのだった。
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