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第566話 エルヴィス家の報告会3。(カトランダ帝国の話と盾の事。)

「というのがカトランダ帝国への入出国までの話ですね。」

「「「・・・」」」

武雄は再度旅の出来事を話していた。

エルヴィス爺さんとスミスとフレデリックは腕を組みながら聞いていた。

「んー・・・工房やヴィクター達、第3皇女については何もないのだがの。

 タケオ、何点か良いかの?」

「はい。」

「カトランダ帝国は本格的な進攻準備に入っていると考えるのかの?」

「はい。

 2か国で経済連携が取られています。全品目の輸出入は他国から安い物が入って来るので自国の産業に悪影響が出る可能性があります。

 ならそんな時期に東町で大規模な再開発をする理由は武器を大量に作り出すこと。

 安い武器なのか高い武器なのかは知りませんが何かしらの軍事的な政策が動いていると考えるのが良いかと。

 それがアズパール王国なのかウィリプ連合国なのか何処に向けてかはわかりませんが、楽観視する局面ではないかと思います。」

「ふむ・・・なるほどの。

 工房前で会った男・・・セイジョウと言ったか?

 その者は小銃を知っていたのじゃの?」

「はい。

 少なくとも小銃の扱い方は熟知していましたし、小銃用のスコープを作り出したのは確かです。

 スコープは先程も見ていただきましたが、遠くの物を見る装備品です。

 アズパール王国では見たことも聞いたこともないそうですが。」

「ふむ・・・装備や行動が普通の考えから逸脱している者だな。

 そんな男が製造元を訪れたか・・・目的は購入か引き抜きか。」

「工房の方々からすれば良かったのか悪かったのか・・・

 その男の所に行けば資金が大量に出たかもしれないですからね。

 私の元だと私のために働き、自分達で稼げ・・・ですから」

「仮定だけなら限りがないの。

 だが、結果としてタケオの下に来た。

 あとは本人達のやる気次第じゃ。

 それに現状では懐中時計を大量に作るのじゃろう?

 さっきの挨拶の時に雰囲気に陰りはなかったから概ね満足しているのだろうの。」

エルヴィス爺さんがカトランダ帝国の説明の中で武雄から渡された懐中時計を見ながら言う。

「そうですね。

 それとタケオ様、王都から研究所の打診があった際にこの街の工房組合長には研究所の設立ともしかしたら工房の統廃合がある可能性は伝えてあります。」

フレデリックが補足してくる。

「そうですか。

 私の考えでは理論を研究所が、試作品を連れてきた工房に作って貰い、実生産は契約した工房で製作・販売しようかと思ってはいます。」

「なるほどの。

 ということは統廃合は無さそうなのかの?」

「いえ、懐中時計を作るためには現在の人数では足らないのです。

 なので、時計作りに数件の工房を取り込みたいです。

 さらに研究所の最初の製品になる盾については設計・試作期間に1年とみて、製造期間が1、2年で3伯爵の兵士に行き渡らせる必要があります。」

「・・・フレデリック、盾の常備数はどのくらいだったかの?

 100くらいだったかのぉ?」

エルヴィス爺さんは明後日の方向を見ながら言う。

「主、軽い現実逃避をしないでください。

 通常は5000名の兵士が集います。内騎馬が騎士団だけでも700名、残りが5列になると考えると前面には860~950名が展開します。

 盾は前2列が持つとして・・・最低でも1800は必要でしょう。」

「・・・1800を2年は厳しいの。」

「タケオ様、エルヴィス領のみだと350程度なのですが、このぐらいが街全体でもこなせる数かと。」

「・・・」

武雄は腕を組んで悩む。

エルヴィス爺さん達は武雄の考察を邪魔しないで考えがまとまるのを待つ。

「良い物を作れば作っただけ売れる訳ではない・・・か。

 ・・・私もまだまだですね。少し見通しが楽観的過ぎましたか。」

武雄は少し前にブラッドリー達の販売方法に対して思った事を今度は自分の販売方法に対して考え、ため息をつく。

「タケオ様、まとまりましたか?」

アリスが聞いてくる。

「ええ、自分はやはり凡人ですね。

 私の考える盾は高性能と信じるがゆえにすぐにでも皆が買う(・・・・)と思い込んでいました。

 物を売りたいのなら売れる先に売り込みをかけない(・・・・・・・・・)と売れないという基本的なことを忘れていましたよ。」

「ふむ、どうタケオの中で修正をかけたのかの?」

「私の行動の最重要課題はエルヴィス家を守る事です。

 ですが、無理をさせてまで一気に変える必要はないでしょう。資金的にも難しいでしょうし・・・

 フレデリックさん、毎年買い替える(・・・・・)盾の数はどのくらいでしょうか?」

「おや?タケオ様、気が付きましたか。」

「たぶんですが・・・さっき盾の話をした時にエルヴィスさんが『常備』と言いました。

 もしかして盾は伯爵持ちなのですか?」

「うむ。剣や装備は個人の趣向があるからの。各々で買わせるのだが、盾についてはいつも持ち歩く装備ではないから戦争時には伯爵家で貸し与えておるのじゃ。」

「そうでしたか。」

「タケオ様、盾は通常4年ごとに交換としていてエルヴィス家では400を常備及び各地に配備しています。

 毎年100ずつ変える事にしています。」

フレデリックが説明する。

「100・・・大きさや費用的にはどうなのでしょうか?」

「エルヴィス領の盾は1m×1.5mの大きさで統一しています。

 100個で金貨110枚前後だったでしょうか。」

「1m×1.5mですか?大きくて持ち運びに不便そうなのですが。」

武雄はもっと小さい物を考えていた。

「エルヴィス家の盾はあくまで戦争時の相手の突撃を防ぐ為に地面に置いて使用する盾になります。」

「なるほど、迎撃ですか。

 ・・・まずは研究所で盾の試作をして満足の行く物が出来たらもう一度製造について考えて貰います。」

「うむ、そうじゃの。」

「そうですね。

 まだ出来ても居ない物について議論してもしょうがないでしょうね。」

エルヴィス爺さんとフレデリックが頷く。

「はい。」

武雄も頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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