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第563話 エルヴィス伯爵に挨拶と試験小隊。

「アニータとミルコ、2人ともこの街で生活は出来そうかの?」

エルヴィス爺さんが朗らかに聞いてくる。

「んー・・・わかりません。」

アニータが考えながら言ってくる。

「ふむ・・・そうかのぉ。

 タケオはどう考えておるのかの?」

「そうですね・・・

 試験小隊の面々やアニータとミルコ、そしてヴィクターとジーナにも部屋を用意したいのですが、部屋の準備はどうなっていますか?」

「タケオ様、この屋敷の近くの宿に仮住まいをして貰い部屋を見て決めていただければと考えています。

 一応こちらで十数件の物件の情報は集めてみましたが、実際に見ていただいてからの方がよろしいと思いますので。」

「そうですか・・・

 アニータ達は出来ればアーキンさんとブルックさんの近くに住んで貰って・・・

 んー・・・それだとアーキンさん達が楽しくなさそうですね。」

「いえ、キタミザト殿、その辺は問題ないです。

 むしろアニータとミルコは当分の間は私達と共同生活をさせたいと考えています。」

アーキンが武雄に言う。

「良いのでしょうか?」

「ええ。新規の兵士は共同生活が基本です。

 どの兵士部隊に所属しても最初の1年は共同生活をして規律正しい生活を送らせるのが普通かと思います。

 アニータやミルコはちょっと事情が特別ですので私達と住みながら人間社会の生活方式を学べば良いと思います。」

ブルックが言ってくる。

「なるほど、規律習得の為の集団生活ですか・・・来年はケードとコーエンも入ってきますね。」

「はい。そこでキタミザト殿に相談なのですが、新人の教育の場の為に1年もしくは2年間の共同生活をさせる場を試験小隊で作って貰えないでしょうか?」

アーキンが武雄に提案してくる。

「兵士達が集まる兵舎ではなくですね?」

武雄は「シェアハウスみたいな物かな?」と思う。

「はい。試験小隊は実働部隊という考えではありません。

 もちろん教育は実施しますが、根本的に(・・・・)やることが違うのです。

 それに他の兵士達との接触は基本教練をしている以外・・・運動をしている以外は避けたいと考えています。

 まぁ街中では会ったりはするでしょうが・・・」

「なるほど・・・確かに機密関係もありますし、陛下にも近い組織ですからね。

 それは考えないといけないでしょうか・・・フレデリックさん、対応できそうでしょうか?」

「はい、出来ると思います。

 独身者用の共同生活物件を探すのが早いでしょう。」

「わかりました。

 では、試験小隊の部屋候補は街北側にあるようですので、追加で探してみましょうか。」

「はい、よろしくお願いします。

 また、エルヴィス伯爵様。兵士たちの教練の場はどこでしょうか?」

「ふむ、この街は街南側の城門と街北側の裏城門の2か所の出入口があるが、通常は詰め所がある方の街南側の城門前でしておるの。」

「わかりました。

 では、我々第二研究所 試験小隊は街北側の裏城門前でするようにします。」

「うむ、そちらで良いじゃろう。

 タケオ、一応、軍務局には後で通知はしておく。」

「はい!ありがとうございます。」

武雄がエルヴィス爺さんに礼をする。

「ではとりあえず・・・2、3日は宿住まいをお願いするかの。」

「わかりました。

 アーキンさん、ブルックさん、アニータ、ミルコ。

 4人とも今日は終わりです。

 あとはアーキンさん達の指示の下に宿でのんびりしていて構いません。

 物件見学はいつからしますか?」

「そうですね・・・キタミザト殿が王都に行かれるのはいつでしょうか?」

「式典が来年1月15日前後であるなら、最低でも1月5日には出立をしたいと思います。」

「なるほど。今日が12月19日、残るは16日。

 約3週間ですか。明日からでも物件を見ないとすべては見れないでしょう。」

「わかりました。

 フレデリックさん、それで平気ですか?」

「こちらとしては問題はありません。

 4人で見に行かれますか?」

「はい、その予定です。

 アニータもミルコもそれで良いですね?」

「「はい。」」

ブルックの命令にアニータもミルコも返事をする。

「では、明日は朝から宿の方に総監部と軍務局の者を向かわせます。」

「はい、よろしくお願いします。」

アーキンが礼をする。

「では4人とも今日はお疲れ様でした。

 今後はというか旅の途中辺りからちゃんとアニータとミルコはアーキンさん達の部下として動いていましたね。

 最初から無理をする事もないでしょうが・・・兵士の生活をする事で人間社会を学んでくれれば良いですよ。

 今後もアーキンさん達の指示に従いなさい。」

「「はい。」」

「ではエルヴィス伯爵様、キタミザト殿、我々は今日は引きあげます。」

「はい、ご苦労様でした。」

「うむ。今後もタケオを頼むの。」

武雄とエルヴィス爺さんが声をかけるとアーキンとブルックが即時に立ち上がり、アニータとミルコも少し遅れて立ち上がる。

そして皆に軽く礼をしながらフレデリックに連れられて退出していくのだった。

・・

「さてと、外野はいなくなったの。」

「そうでしょうか?」

「うむ、家の者のみになったの。

 ヴィクターもジーナもタケオの執事じゃからの。

 もうエルヴィス家の者じゃ。」

「ありがとうございます。」

「うむ。

 で、なのじゃが、タケオ、2人を我らに預けてくれるかの?

 執事兼家令として雇うのなら総監部で教育をした方が良いだろう。」

「よろしいのですか?」

「うむ。

 素質という観点ではわからんがの。

 しかし、元伯爵・・・施政者側に居た者が執事をやるのは聞いた事がない人事じゃ。

 ある意味で面白い企みじゃの。

 フレデリックも優秀だが、やはりの下積み時代の感覚が下地にあるの。

 ヴィクターやジーナは施政者側の感覚が下地じゃから今までの執事達からとは違う観点からの提案が出来るだろうと期待はしておる。」

「そう言って頂いてありがたいですね。」

とフレデリックが扉をノックして入って来る。

「主、失礼します。

 試験小隊の方々は帰宅されました。

 当面は専属執事を総監部から派遣し、同行させるとの事で話は済みました。」

「うむ、ご苦労じゃった。

 今、ヴィクターとジーナを総監部で研修させる事をタケオに言った所じゃ。」

「フレデリックさん、ご迷惑をおかけしますが、部下をお願いいたします。」

武雄が頭を下げる。

「いえいえ、総監部に新たな風が入るのは良い事です。

 謹んで執事兼家令の教育をさせていただきます。」

フレデリックが朗らかに言う。

「さてと。

 ではこれから我らの報告会を始めるかの。」

「「「はい。」」」

武雄とアリスとスミスが返事をするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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