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第561話 54日目 エルヴィス邸に帰還。

「「おかえりなさいませ、アリスお嬢様!キタミザト様!」」

城門の兵士達が駆け寄って来る。

武雄達はやっとエルヴィス邸がある街に帰還した。

「皆、ただいま。」

「皆さん、お疲れ様です。」

アリスと武雄が挨拶をする。


「キタミザト様、アリス様、おかえりなさいませ。」

城門で待っていたカーティスも声をかけてくる。

後ろにはガラの悪い面々がいる。

「ええ、話は聞いていますか?」

「抜かりなくご用意出来ています。

 また、この後の建物の契約についても不正な事は今回はありません。」

「カーティスさん、毎回不正はしてはいけませんが?」

アリスが目を細めて言う。

「そうですね、さっきのは言葉の選択間違いでしょう。

 しておりませんよ。」

「わかっていると思いますが・・・私の子飼いに手を出すと。」

「重々承知しております。

 こんな事で壊滅をされる気は我々にもバーナード一家にもないでしょう。

 それに今回の建物改修についてはチャドに任せました。」

「上手く出来ていますか?」

「まぁ抜けている所もあるのですが・・・おおむね問題はないかと。

 それに居室の方を仕上げはしましたが、工房自体はまだ手付かずなのが現状です。

 その辺はこれから実務者同士の話し合いで決めさせて頂きます。」

「それで良いでしょう。

 あくまで適正価格(・・・・)でお願いします。」

「はい。真っ当なルートでの交渉ですので、その辺もわかっております。」

「そうですか。

 私達は一度、エルヴィス伯爵邸に行きます。

 その後はそちらにお任せします。」

「畏まりました。

 では、若い衆を伯爵様の屋敷近くに配置します。

 またチャドは建物にてお待ちしているはずですのであとはそちらでして対応します。」

「そうですか。

 一応、立ち合いは誰か付けますからそのつもりで。」

「はい。では私共はこれにて。」

カーティスが礼をして一家を連れて戻って行く。

入れ違いに兵士長がやって来る。

「おかえりなさいませ、アリスお嬢様、キタミザト様。」

「はい、ただいま。」

「兵士長、お疲れ様です。」

「お2人とも爵位の授与おめでとうございます。」

兵士長の言葉に武雄とアリスがにこやかに頷く。

「伯爵様がお待ちです。同行いたします。」

「はい、わかりました。」

武雄達一行は兵士長に先導されながらエルヴィス伯爵邸を目指すのだった。


------------------------

エルヴィス伯爵邸に着くとフレデリック達執事が待っていた。

「アリスお嬢様、タケオ様、おかえりなさいませ。

 そして皆さま、ようこそいらっしゃいました。」

執事達が恭しく例をする。

「フレデリック、ただいま。」

「フレデリックさん、お疲れ様です。」

「はい。

 随分と波乱万丈だったようで。」

フレデリックが苦笑しながら言ってくる。

「皆から濃い内容と言われました。」

「そうでしょう。

 手紙だけの私達もそう思うのです。

 直に見聞きし報告された王都の方々は相当驚いた事でしょう。

 そして後にいらっしゃるのが工房の方々と試験小隊の方々、ミア様にこちらがラジコチカですか。3体ですね。」

「「「ニャ。」」」

「それと。」

「きゅ?」

「ドラゴンのクゥちゃんです。」

「きゅ~♪」

武雄が後ろを向いてリュックの上に鎮座するクゥを見せるとアリスが説明する。

クゥは「よろしく~♪」と手を上げる。

「ドラゴンですか?」

フレデリックは顔色も変えずに聞き返す。

「はい。この子もとりあえずうちに住む運びになりました。

 人間の言葉はわかりますし、ミアの通訳を入れれば意志疎通が可能です。

 悪さをしたらお仕置きすることは言っています。」

「わかりました。」

「あ、あと王都で剣を買ったら精霊のスーちゃんが付いてきました。」

「チュン!」

アリスが報告してアリスの肩にいるスーが胸を張る。

「小鳥ですか?」

「はい。」

アリスが返事をする横で武雄が「あれ?火の鳥になるのでは?」と思っていたりする。

「他はありますか?」

「「ん~・・・」」

武雄とアリスは鈴音を見る。

「工房の方が?」

「ええ。後で報告しますが、工房の一人が例の開発者で私と同郷で王都で精霊と契約したのです。」

「随分と高仕様ですね。」

「たまたまです。

 それで私の研究所の研究員にしました。」

「当初の目的通りですね。」

「ええ、ですが・・・テト。」

武雄が呼ぶとテトがふよふよ飛んでくる。

「タケオ、呼びましたか?」

「フレデリックさん、テトです。」

「ごきげんよう。」

「テト様、はじめまして。」

「テト、このあとこの領地の伯爵に皆で挨拶をする予定です。

 で、その後鈴音や工房の方々は自分達の家に向かいます。」

「はい。」

「私達は同行しませんので、鈴音を守護してください。」

「それは言われないでもわかっていますが、鈴音を(・・・)守れば良いのですね?」

「最悪は。ですが基本的には害意がある者が居た場合は私達に知らせてください。

 みすみす工房の人達を犠牲にする気はありません。

 何かしらの方法で出来るだけ早く教えてください。

 ・・・時間はどうしてもかかってしまいますが、誰かを行かせます。」

「・・・ミア。」

「何です?テト。」

「ん。」

テトがミアとおでこを付けあう。

「ん?なんです?」

「良いから黙ってて。」

・・

「こんなとこでしょうか?」

「何をしたのです?」

「・・・」

「ふぁ!?テトがしゃべってないのに声が聞こえる!?」

ミアが驚く。

「加護を与えておきました。

 本来なら適応者との意思疎通で使うのですが、ミアは同系統ですからね。特別に与えておきます。

 これならすぐに連絡出来るでしょう?」

「どうやるのですか!?」

ミアがテトに聞いてくる。

「・・・」

「・・・」

テトとミアがお互いに向き合いながら声を発せずに会話を始める。

「な!?」

テトが顔を真っ赤にさせてプルプル震えている。

だが、2人とも何も言わない。

「・・・」

「・・・」

しばらくするとミアとテトが同時に頷く。

「話はまとまりましたか?」

武雄がミアに聞く。

「はい、やり方はわかりました。

 緊急時以外は使用しないという事で。」

「ミア、わかっているわね?」

「はい、わかりました。」

テトが何やらミアに念を押す。

「ふむ・・・まぁ2人の間で約束が出来たのならそれで良いです。

 テト、とりあえずは工房の面々の面倒をお願いします。」

「わかりました。

 何かあればミアに一報を入れます。」

「ええ、それで良いです。」

武雄がテトの言葉に頷く。

「アリスお嬢様、タケオ様、他にはありますか?」

「特にはないかと。」

アリスが考えながら答える。

「では皆さま、当領地の主がお待ちです。

 こちらにお越しください。」

フレデリックが皆を広間に案内するのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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