第559話 局長達との雑談2。(試食後の雑談・・・新メニューの発案。)
「はぁ~・・・渋めのお茶が合いますね。」
アリスがお新香を片手にお茶を飲んでいる。
「なるほどな。
この塩加減ならお茶に意外と合う物なのですね。」
北町局長が頷く。「うちでも試すかなぁ?」と考え始める。
「お茶請けは甘味か漬物が合いますからね。
アリスお嬢様は何が気に入りましたか?」
「ん~・・・これですかね?
武雄様はどれですか?」
アリスがキュウリの塩漬けを指差す。
「キュウリの塩が薄めの物ですね。」
「確かに食感が普通のキュウリのを残しながらもほんのり塩が利いていて良いです。
私はキャベツの柑橘と一緒に漬けてあるのが良いですね。
シャキシャキ感が好みです。」
「なるほど。」
西町局長は個々の意見をメモっていく。
「それにしても塩に漬けただけでこうも味が変わるのですか。
不思議です。
うちの町でもしてみたくなります。」
「おいおい、うちと同じ物は作らんでくれよ?」
西町局長が苦笑しながら言ってくる。
「色々な種類を試しても良いでしょうね。
それに町の作っている作物だけでなく、気候によっても好みの塩加減や味が違うでしょうからね。
北町は若干、気温が低いのなら味を辛くするという手もありますね。」
「辛くですか?」
「はい。トウガラシはわかりますか?赤くて細くて辛い物なのですが。」
「はい、わかります。」
「それを柑橘の代わりに塩と一緒に漬ければピリ辛な物が出来上がります。」
「なるほど、ならうちではピリ辛な塩漬けを作ってみますかな。」
北町局長が頷く。
「北町も西町も塩漬けですか。」
アリスが悩む。
武雄は「漬物のみの特産祭りも面白そうだなぁ」と思う。
「他の町はどのような感じなのでしょうか?」
「確か南町は新種のパスタで東町は川魚だったかと。」
「ほぉ、もう決まっているんですな。」
西町局長の言葉に北町局長が感心する。
「いやいや、どちらかと言えば北町だけが考えてなかったのでしょう?」
「ウォルトウィスキーを出そうかと思っていたのは確かです。
新種のパスタとは何でしょうかね?」
北町局長は西町局長のツッコミを意にも介さずにアリスに聞いてくる。
「タケオ様はわかりますか?」
アリスは武雄に振る。
「ん~・・・普通に考えれば小麦ではない物を原材料で使ったか、野菜を練り込んだか・・・」
「「「野菜を練り込む?」」」
3人が驚く。
「ん?どうしましたか?」
「いや、これを練り込むのですか?」
西町局長が塩漬けのキュウリを持って質問してくる。
「キュウリはどうでしょうかね?
私が考えるならニンジンやカボチャ、色が濃い葉物野菜で色とりどりなパスタと野菜を練り込んだことによる味の違いを・・・ん?練り込む?味?」
武雄が急に黙る。
「タケオ様?」
「ちょっと・・・思いついたことがあってですね。
まぁこれは追々考えましょうかね。」
「「気になります!」」
局長2人が聞いてくる。
「いや・・・卵を練り込んでみようかと。」
武雄がそう言ながら「確か昔祖父がラーメンの麺をタマゴ麺と言っていたよね?という事は卵を練り込むとラーメンの麺になるの?」と考える。
「タケオ様、パスタは小麦粉と水、塩、卵で出来ていますが?」
「そうなのですか。
んー・・・違うのかなぁ?・・・うどんの方が楽なのかな?」
「「「うどん?」」」
「ええ、まぁパスタと似た感じなんですが・・・たしか小麦と水と塩を混ぜて出来た麺です。」
「「「ん~・・・?」」」
3人が悩む。
「まぁタマゴ麺もうどんもエルヴィス邸に帰ってから考えます。」
「ちなみにキタミザト様、その麺はどのように食べるのでしょうか?」
「そうですね・・・基本的には麺を茹でた後、味が濃い目のスープに付けて食べたいですね。
でもパスタでも同じことが出来ますかね?」
「トマトスープのパスタとかはありますよね?」
「はい、アリス様。」
「なるほど、ならスープ系は問題ないのですね。
なら・・・焼くか?」
「「「焼く?」」」
「ええ、クリフ殿下の所でウスターソースも手に入りましたしキャベツもニンジンも肉もある。
・・・うん、出来そうですね。」
「タ・・・タケオ様、パスタを作る時に失敗したみたいな味なのでしょうか?」
アリスが恐る恐る聞いてくる。
「それは焦げたという事でしょうか?」
「は・・・はい!」
「違いますね。
どちらかと言えば野菜炒めです。」
「キタミザト様、それだと塩味です。」
北町局長が言ってくる。
「そこでクリフ殿下の所で見つけたウスターソースという新種のソースを使うのです。」
「「新種のソース??」」
局長2人が頭を捻る。
「どんな物なのか想像が出来ません。」
アリスも頭を捻る。
「帰ったら試作してみますかね。
そうそうこのウスターソースは近々にはエルヴィス伯爵邸がある街で量産する予定ですので楽しみに待っていてください。」
「「はぁ。」」
「ふふ、期待していてくださいね。
料理のレシピが増えますよ?
と、話が逸れましたが、南町が何やら新種のパスタを作ったのですよね?」
「キタミザト様の発想のおかげで南町の新種のパスタが霞んでしまうかもしれません・・・」
「いえいえ、当分は私が新種のパスタを作ることは・・・たぶんないでしょうね。」
「たぶんなのですか?」
「今は考えていないだけですね。
一応特産品祭りまでは作らないでおこうとは思っています。
あ、でも4店しか出店しないのも寂しいですかね?」
「確かに。」
アリスが頷く。
「じゃあ私も参戦」
「「止めてください!」」
局長2人が武雄を止めにかかる。
「・・・ええ?楽しそうなんですが・・・」
「キタミザト様が参戦したら皆そちらに行ってしまいます!」
「そうとも限らないと思うんですが・・・じゃあ、参戦するに当たって私が使うメインの食材を局長達で決めて良いというのは?」
武雄の提案にアリスは「タケオ様、参加したいのですね。」と呆れる。
「ん~・・・何でも良いのですか?」
北町局長が聞いてくる。
「出来れば青果屋さんで売っているのを使わせて欲しいですね。」
「そこまで変な物を指定はしませんが・・・ジャガイモとかどうですか?」
「ほぉ、それは確かに普遍的ですね。
ではジャガイモ料理なら参戦しても良いとしましょうか?」
「あれ?他の局長さん達には言わなくて良いのですか?」
「ええ。後日・・・たぶん新年早々に局長会議がありますのでその席で皆に言っておきます。
それに私達は確かにランク付け用の1品物を提供はしますが・・・漬物だけではなくてパンとかも売りますので量はあるはずです。」
「なるほど・・・私はあくまでジャガイモ料理のみで戦いましょうかね。
パンとかパスタは添えないでいきますか・・・あ、1品物のランク付けには参戦しませんから。」
「よろしいのですか?」
「ええ、店を多く出したいだけですから。
賑やかにしたいのでランクには参加しませんよ。
確か開催は春くらいでしたよね?」
「はい。大まかな所では春と予定されていると思います。
あとは領内の告知とエルヴィス伯爵邸がある街からの出店があるのかと開催場所ですかね?」
「そうですか・・・その辺も今後決まったら教えてくれるのでしょうかね?」
「はい。ですが、事前に伯爵様に報告が行きますのでその流れでわかるのではないでしょうか?」
「そう言えばそうですね。
ふふ、では私も頑張って作りますかね。」
武雄がやる気になる。
「ふふ、あ、そうだ。
お2人とも特産品で考えがまとまらなかったら相談しにきても良いですからね。」
「その時は相談させて頂きます。」
「ええ、楽しい祭りにしないといけませんね。」
武雄達は談笑をするのだった。
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