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第554話 49日目 武雄とクゥ話し合い。

武雄達は王都を出立して4日目、王都に向かう際にクゥと出会った野宿場所に到着していた。

「あぁ・・・着きましたね・・・今日は野宿ですか。」

サリタが荷台から降りて伸びをしながら言う。

「きゅ♪」

「ここは人間が居なくて良いですね~。

 タマ!スー助!奥を見に行きますよ!」

「ニャ!」

「チュン!」

「・・・眠い・・・」

テトを除くチビッ子が解放感から走り回っている。

「はは、元気ですね。」

武雄達はチビッ子達を見ながら苦笑する。

「ニャ。」

コラとモモが武雄に寄ってくる。

「ん?どうしましたか?」

「ご主人様、コラ達は周囲を見てくると言ってます。

 小動物なら狩って良いかと。」

ジーナが通訳をする。

「はい、行ってらっしゃい。ちゃんとミアに一言伝えなさいね。

 脅威がありそうなら一旦こちらに戻ってきて報告してください。

 夕飯はすみませんが、コラ達で調達してください。」

「ニャ。」

コラ達はミアに近寄ってから森に入って行く。

ミアがすぐに武雄の下にくる。

「主、コラ達が見回りに行くそうです。

 周囲500m四方をお願いしました。」

「はい、わかりました。

 さて、皆さんは寝床の用意をしましょうか。」

「「はい。」」

各々が仕度をするのだった。

・・

前回作った足湯も手直しして浸かれるくらいの大きさにし、アリス(監査官)立ち会いの下でお湯張り試験や排水試験も無事クリアした。

武雄はお湯張りを終えて皆とかまどを囲みながらマッタリとしている。

「主、クゥから話があるみたいです。」

走り回って気が晴れたのか、チビッ子達が戻ってくる。

「クゥ、どうかしましたか?」

「きゅ。きゅ♪」

「主、クゥはエルヴィス伯爵様の街まで行きたいそうです。

 私達と過ごせば楽しそうと言っています。」

「ふむ・・・アリスお嬢様、どう思いますか?」

「来たい者を拒むほど度量は狭くないと私自身では思ってはいますけど・・・将来が不安ですね。」

「きゅ?」

クゥがアリスの方を向き「不安?」と鳴く。

「そうですね・・・今の大きさなら問題はないですが、成獣になった時どうするかですね。

 姉ドラゴンの話では今後、成獣へ体格が成長するのでしたよね・・・

 クゥ、成獣にはあとどのくらいかけて大きくなるのですか?」

「きゅ?・・・きゅ?」

クゥが首を捻る。

「主、わからないそうです。

 姉ドラゴンに聞こうかなぁと言っています。」

「聞くしかないですかね・・・それに住居を移すなら姉ドラゴンには一言必要でしょうし・・・」

武雄が諦めながら呟く。

「え?武雄さん、ドラゴンが来るのですか?」

傍で黙って聞いていた鈴音が聞いてくる。

他の面々も若干緊張した面持ちで聞き入っている。

「はぁ・・・ブラッドリーさん、すみませんが、お土産で買った赤ワインの樽がありましたよね。」

「ええ、降ろしますか?」

「はい。クゥの姉ドラゴンには前回失礼をしてしまいましたから。お詫びも込めて1樽お贈りしますかね。」

「まぁ、贈り物は必要ですよね。」

アリスも同意してくる。

「ん?キタミザト殿、前回何かあったのですか?

 あ、前に言っていたクゥ殿の時に断ったら姉ドラゴンが尻尾で攻撃してきたという話をされていましたね。」

「ええ。あの時は私が出した条件が『こちらのいう事は聞く事と万が一、命を落としても文句は言わない。』という物なんですけど・・・あっさりと了承されましてね。

 それでも私が断ったら尻尾で攻撃されました。」

「それはキタミザト殿が悪いですね。

 こちらの条件を飲んだのに断るのですから。」

ブルックが呆れる。

「まぁ、こちらとしてはドラゴンは口約束が通じるのか確かめたかっただけなんですけどね。

 そしたらさっさと実力行使をしましたね。」

武雄が苦笑する。

「命の張り方がおかしいですね。」

アーキンも呆れるのだった。

「まぁ、そんなこんなで姉ドラゴンには失礼をしていますのでお詫びのお酒を置いて行こうかと。」

「「なるほど。」」

皆が頷く。

「きゅ。」

「そうですね、あまり怒ってはいませんでしたよね。

 尻尾の攻撃も軽くでしたし。」

クゥとミアがあの時の事を思い出しながら言う。

「だからこそ私でも受け止められたんだと思いますよ。」

「ちょっと待ってくださいね?

 キタミザト殿、受け止めたとは何ですか?」

ブルックが聞いてくる。

「あれ?言いませんでしたか?

 シールドを展開して受け止めたんですよ。」

武雄はあっけらかんと答える。

「そう言えば、あの時タケオ様は座りながら受けましたね。」

アリスが補足する。

「「いやいや!何ですそれ!?」」

アーキンとブルックが驚く。

「キタミザト殿からはやり過ごしましたとしか聞いていません。」

「はい。だから尻尾の一撃をシールドを展開してやり過ごしました。」

「「・・・」」

アーキンとブルックが頭に手をやり頭痛を堪える素振りをする。

「まぁ、タケオ様はそんな感じの人ですから。」

アリスが苦笑しながら言う。

「じゃあ、とりあえず姉ドラゴンに了承を得ますか。」

「きゅ。」

クゥが森の方に少し歩いて皆から距離を取ると。

「きゅーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」

大音量で鳴く。

武雄とアリス以外の面々はその小ささからは想像もつかない大音量で顔をゆがめ耳を塞ぐ、武雄とアリスとミアとテトはクゥから目線を外さずに見ているのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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