第552話 48日目 エルヴィス邸の人達へ3通の書面。
武雄達が王都を出立して2日。
昼過ぎの客間にてエルヴィス爺さんとスミス、そしてフレデリックが机の上に置かれた3つの封筒を囲んでため息をついていた。
「・・・でじゃが・・・何でまた3通も同時に来るのじゃ?」
「主、1通はアリスお嬢様からですし、1通はレイラお嬢様からです。
そして最後の1通が王城からの正式な通達書になります。」
「お爺さま、どれからいきますか?」
「・・・アリスからいこうかの?」
「お爺さま、簡単なのを取りましたね?」
スミスが苦笑する。
「うむ・・・まずは楽そうな問題から行く。」
と封書を破りなかの文言を読む。
「・・・ん?・・・」
エルヴィス爺さんが再度最初から読み直していく。
「主、どうしましたか?」
フレデリックが聞いてくる。
「いや・・・あれ?スミス、フレデリック。
タケオは獣人の執事2名を雇ったんじゃよな?」
「ファロン元伯爵親子でしたよね。」
「スミス様の言う通りかと。」
「・・・んー・・・2人とも驚くのじゃ。
タケオはさらに2名・・・エルフの子供を雇用したのじゃ。
それとラジコチカなる魔物も連れてくるらしいの。」
「「・・・」」
スミスもフレデリックも固まる。
「妖精から始まり獣人、魔物、そしてエルフと来たの・・・次は何じゃ?」
エルヴィス爺さんが目を細めながら呟く。
「・・・ドラゴン?」
スミスが呟く。
「流石にそれはないじゃろ。
最強種が最弱種の命令を聞くとは思えん。
そういえばテイラーの所にニオが居たの。
精霊というのもあるのではないかの?」
「いや、主、それは王城の宝物庫へ入るというこ・・・いや、世の中には武具に精霊が宿る事もあると聞いた事があります。
あながち主の言う精霊の線を否定は出来ないですね・・・」
フレデリックが悩む。
「そうじゃろう?
まぁ、それは良いとして、アリスは全員分の部屋があるのか心配しておるの。
工房の面々が6名、執事が2名、エルフの子供2名と書いてあるが、あと3、4名は増えるのかのぉ?
工房の面々はカーティスに言ってまずは住めるようにするか。
他の者達はこの屋敷の近くの宿に仮住まいをして貰い、落ち着いてから自分達で決めて貰うしかないのかのぉ?
魔物は城壁外かの?
フレデリック、どう思う?」
「はい、そちらで宜しいかと。」
「では、そうしようかの。
次は・・・どっちが楽そうか・・・」
エルヴィス爺さんが腕を組ながら悩む。
「お爺さま、王城ではないですか?」
「まぁ、通知書だからなぁ・・・」
エルヴィス爺さんは王城の方を開け中の書面を確認する。
「・・・はぁ・・・まぁ、良いか。」
エルヴィス爺さんは若干考える素振りをしたが、すぐにため息をつきながら書類を机に置く。
「主、なんと言ってきていますか?」
「タケオを含め7名の新貴族が決まったそうじゃ。
フレッドとロバートの所から1名ずつとなっているし、満遍なく選んだようじゃの。」
エルヴィス爺さんはフレデリックに書面を渡しながら言う。
「・・・ゴドウィン伯爵もテンプル伯爵も武官からですか。」
「ん?フレデリック、何でわかるのですか?」
スミスが不思議そうな顔をして聞いてくる。
「どちらも騎士団長ですから。」
「・・・」
スミスはどう反応して良いかわからずに黙る。
「まぁ、あやつらはあやつらで思惑はあるだろうしの。
それと当主もしくは次期当主がクリフ殿下とニール殿下の挙式に参加するようにと書いてあるの。」
「挙式?両殿下が側室を入れるのですね?」
スミスが聞いてくる。
「うむ・・・まぁ、それ自体は気にもならんが・・・
フレデリック、スミスを行かせるかの?」
「僕ですか!?」
「スミス様は来年から寄宿舎ですので下見を兼ねて行かれるのも手ではありますが・・・
主、行きたくないだけでしょう?」
フレデリックの指摘にエルヴィス爺さんは目線を逸らして説明を始める。
「・・・別にそういう訳ではないがの・・・
体面的には行くべきなのじゃが、今回の貴族人事で王都・地方関係なく全貴族の約3割が新人で全員が30代じゃ。
そんな中、古参の貴族が行っても意味がないじゃろう?
先々の事を考えれば家からはスミスを出して面通しをしておくのが良いという考えからじゃ。」
「そう言われるとその通りですね。」
フレデリックが頷く。
「うむ、なのでスミスが行くのが良いだろう。
それにアリスもタケオも一緒だからの、安全じゃ。」
「わかりました。
列席の際の服装はどうするんですかね?」
「礼服じゃろう。」
「前のは小さくなってるので・・・替えは持っていないですね。
後でラルフ店長の所で作って来ます。」
「うむ、それがよかろうの。」
エルヴィス爺さんは満面の笑みを向ける。
そして残りの1通を見つめるのだが・・・
「・・・一応、確認じゃが。
レイラから来た手紙で今回のように緊急伝文で来るのは何回目だろうの?世間話かの~?」
最後の方はかなりの棒読みです。
「お爺さま、諦めましょう。
お姉様達の緊急伝文で世間話はないですから。」
スミスが諦めた顔する。
「そうじゃの・・・なんでいつも厄介事しか送ってこないのかの・・・」
エルヴィス爺さんが若干拗ねながら中の書面を見る。
と、読み終えると腕を組んで窓の外を見て考え事を始める。
その様子にスミスもフレデリックも「また厄介事かぁ」と思うのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




