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第549話 武雄達の話し合い。(エルヴィス家側の卸売市場での儲け方と変な物を買う武雄。)

エリカ達はその後少し歓談をして王城に帰っていった。

エリカの後ろ姿が来た時よりも少し元気になっていたので武雄達は少し安堵していた。

そして今は4人でのんびりとお茶をしている。

「タケオ様、さっきのエリカさんとの話ですけど。

 あれはどういった意味が?」

「市場経済の基本ですね。

 早く言えば物の価格は自由であるべきだとの考えから来る経済政策の一環です。

 まずは仕入れ値を自由にして平時では安く手に入れられるようにしたい物ですが、不作の年は価格が高騰するという事にも繋がりますね。」

「んー・・・良し悪しです。」

「そうですね。

 ですが、今までは生産者からの言い値で買っていたので他の生産者と比べる事で品質の良い物が安く手に入る環境が出来るのではないでしょうか。

 それに絶対ウィリアム殿下の街(・・・・・・・・)を経由させないといけないわけでは無いですし。」

「え?そうなのですか?」

「はい。そう思っていますよ。

 隣にはゴドウィン伯爵領がありますからね。直接取引をしても良いでしょうね。

 あの場は私達が買いに行くような話をしましたけど、売りに行く為でもあります。」

「タケオ様・・・・エルヴィス領(うち)はそんなに外に出せる品がないです・・・

 それに距離も遠いので鮮度も高くないでしょうし・・・」

アリスが悲しそうな顔をさせて言う。

「ふふ。

 だからこその缶詰なんですけど?」

「あ!なるほど。」

アリスがパーッと明るくさせて頷く。

「私達は各地から来ている小麦や穀物を買いに行き、私達からは加工品(・・・)を売りに行けば良いのです。

 それに私達は領民に対して売るのではなくあくまで輸送業者(・・・・)相手に売り込んでみるのも手ですね。

 彼らは数日単位で移動をしています。

 ならシチューや肉のワイン煮を温めるだけで食べられる状態にした缶詰を作って売れば需要はあると思いませんか?」

「なるほど・・・干し肉に変わる物を作ると?」

ヴィクターが頷きながら聞いてくる。

「ええ。それも追随が許されない価格で流通させたいですね。

 そうすれば一気に知名度も上がるでしょうし・・・でも逆に一般的に普及させるというのも手なのでしょうかね?」

「ご主人様、どんな料理なら売れると思いますか?」

ジーナが聞いてくる。

「そうですね・・・

 煮込み物や野菜のオイル漬けが一般的なんでしょうが・・・若干味は濃い目の方が良いでしょうかね?

 まぁ、そもそもどんな食材が適しているかもわからないですけどね。

 製作方法もわかっていませんし・・・」

「ご主人様、味は濃い目なのですか?」

「はい。

 濃いと感じたら薄める事は出来ますが、濃くするのは大変です。

 なら・・・あ、水を売るという事もあり得るのか。」

「「「水を売る!?」」」

3人が驚く。

「旅で一番必要な物は実は水です。

 なので馬車で移動する時は丁度良い所に村や町があって休憩できます。

 ですがそれは領内での話で領地間では村がない所もあります。

 そこで水の販売をすれば・・・いや、まだこれは先でしょうか。」

「ん?主、水を売るのは難しいのですか?」

「ええ。水は無味無色なのです。

 なので防腐がし辛いのですよね。

 煮込み物なら多少香料を入れても気にはならないと思いますけど。

 水は難しいでしょうね。

 なら今は水筒をどうするかの方が良いのでしょうかね?」

「タケオ様、今度は水筒ですか?」

アリスが呆れ始める。

「いや、この話は止めましょうか。

 たぶん際限なく考えが浮かんでくるでしょうからね。」

「「「はぁ・・・」」」

アリス達は生返事を返す。

武雄は新たな問題を認識するのだった。


「さてと、実はですね。

 エリカさん達と会った所が雑貨屋でしてね。」

「雑貨屋ですか?」

「はい。

 アリスお嬢様へのお土産を物色したのですけど。

 旅人からも買い取りをしているお店だったのです。」

と武雄は言いながら1組のサファイアのペンダントを取り出す。

そのネックレスは5個のサファイアで構成されており、中央に円形のダイヤカット、そして四方にダイヤ型の大きめなダイヤカットが銀製の枠に入り納められていた。

「綺麗ですね~。」

アリスが素直な感想を言う。

「ええ。

 ですがね、これの価格が問題で。」

「高かったのですか?」

ジーナが聞いてくる。

「逆です。

 銀貨2枚だったのです。」

「「「え!?」」」

アリス達がペンダントを覗きこむ。

「ガラスですか?」

「いや、アリス様、ここまで鮮やかな蒼色をガラスで表現出来るのでしょうか?」

ヴィクターが驚きながらもアリスに問う。

「さらにこのペンダントは店主さんが仕入れた覚えも買った覚えもない代物だそうです。」

「「「滅茶苦茶怪しいです!」」」

「タケオ、これは儀式宝飾ですよ。」

武雄達が一斉に声の方を向くと机の上にテトが座っていた。

「テト、夕飯に満足して寝ていたのでは?」

「タケオ、私は精霊と言えど神ですよ?

 食事も睡眠も必要ではありません。」

テトが相変わらず澄まし顔で言うが武雄達は「いや、さっきのローストビーフを目をキラキラさせながらモリモリ食べていたよね?」と苦笑する。

「そうですか。

 で、テト、儀式・・・」

「儀式宝飾です、タケオ。」

「それはなんですか?」

「本来はこの世界のように信仰が無い所ではないと思うのですが。

 私達の世界では人間が神々と交信する為に用いる装飾品です。」

「ん~・・・銅鏡や勾玉みたいな物ですか?」

武雄は頭の中で日本史を引っ張り出してくる。

「同じような物でしょう。

 これは・・・害があるわけではなさそうですね。」

テトがペンダントを見ながら言ってくる。

「害があるわけではない?

 と言う事は何かしらの魔法がかかっているのですか?」

アリスが聞いてくる。

「これは神事のダンスの際にこのペンダントをバラバラにして5人で付けて無声でやり取りをしていたのではないですかね?

 無声の魔法がかかっています。」

「「「?」」」

アリスとヴィクターとジーナが「わからないんですけど?」と言う顔をするが、武雄は目を見開いて驚いている。

「・・・テト、これは本当に害は無いのですね?」

「ええ、身体には(・・・・)影響はないです。」

「・・・わかりました、少し考えます。」

武雄はペンダントをポケットにしまい、次を出す。

今度は大きめのルビーが1個の枠に入っていない上部に細い鎖がされている簡素な物だった。

「次があるのですか?」

アリスが呆れるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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