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第544話 アリス達の宿への帰り道と武雄の所長研修。

武雄とマイヤーは研究所の事前会議に行ってしまい。

アリス達は護衛の兵士と共に宿に戻っている最中だ。

「アリス様、今日の夕飯は何ですか?」

ミアが内ポケットからアリスに聞いてくる。

「エルヴィス領から王都に来る際に作ったローストビーフを作ると伺っていますよ。

 帰りに精肉屋さんに寄りましょうか。お肉を買っておいて欲しいと頼まれています。」

「おぉ♪」

ミアが喜びの声をあげる。

「きゅ?」

アリスに抱えられているクゥが「それなぁに?」と首を傾げる。

「ほら、クゥと最初に会った際の肉料理ですよ♪」

「きゅ♪」

クゥも思い出したのか嬉しそうに鳴く。

「あ、あとヴィクターにジーナちゃん。

 明日は出立しますから食材も多めに買っておくようにと言われています。

 少し寄り道をしますけど荷物をよろしくお願いします。」

「「はい、畏まりました。」」

ヴィクターとジーナが頷く。

「・・・」

「どうしました?テトちゃん。」

テトの様子が気になり鈴音が声をかける。


テトことティシュトリヤは王城で鈴音と契約を結び、その場の面々と自己紹介は済ませたのが、その際にミア達チビッ子達と話をして「移動に便利そうですね」と自身をミアと同じサイズまで小さくしていた。


「いえ、あそこは幻想種も人間も仲が良いと思いまして。」

テトもスズネの胸ポケットから顔を出しながら見ていたが、鈴音の質問に無表情で答える。

「不思議な事なの?」

「ええ。魔物と人間種は共に蹂躙し合う仲が普通だと。」

「どうなんでしょうね。

 私も武雄さんも基本的に戦争がない(・・・・・)所から来ていますからね。

 種族が違うから仲良くしてはいけないという事でもないでしょうし。」

「ふむ・・・スズネとタケオは異邦人でしたね。

 概ねこの状況は好ましいですが、私の世界と違いがあるので戸惑います。」

「テトちゃんはもっと殺伐としていたの?」

「私達は善、敵は悪という明確な区切りがありました。」

「そうなんだぁ。」

鈴音は「宗教はそんな感じだよね」と思う。

「居心地は良いと思うよ?

 テトちゃんも私にはあの本の時みたいに話しかけて良いんだけど?」

「・・・こっちが私の本来の口調です。」

テトは澄まし顔をさせながら答える。

鈴音は「まぁ、その辺は追々かなぁ」と思うのだった。


------------------------

「以上が研究所の設立要件となります。

 先に説明をした領主の心得を踏まえて両所長も勤めてください。

 ここまでで何か質問はありますか?」

武雄は皆から離れ事前説明会に出席していた。

今はオルコットから領地持ちの貴族の赴任方法や規則と研究所の設立要件が説明を終わっていた。

「研究所の小隊数はゆくゆくは3小隊にされるのですか?」

アルダーソンが聞く、

「はい、王都ではそう考えています。

 これは予算的な話でもありますし、人事的な話でもあります。

 いつまでとは言えませんが、経過を見ながら進めるつもりです。」

「では、試験小隊の人員は王都から選ばないといけないのでしょうか?」

「いえ、王都側からはそういった意図はありませんが、陛下直属ですので、王都からも選べるとしているだけです。

 ちなみにですが、キタミザト所長、なぜ王都守備隊から選ばれましたか?」

オルコットが武雄に聞いてくる。

武雄は「たまたまです。」と言いたいが堪える。

「・・・ちょっと・・・出来れば内密でお願い出来ますでしょうか?」

武雄の前置きにその場の3名が頷く。

「アルダーソン所長の第一研究所(通称:一研)と私が管轄する第二研究所(通称:二研)ではそもそも想定対象が違うのです。

 確かにこの会が始まる前の歓談でアルダーソン所長が悩まれていたウィリプ連合国とカトランダ帝国を合わせた3つの関と広大な国境線を前提にした戦術考案は膨大な量にのぼり多忙となるでしょう。

 ですが、一方で対戦相手が人間種にほぼ限定される事が想定の幅を萎められると考えます。

 これは王都守備隊隊員よりもむしろ地域の地理を十分に知っている各領地の騎士団員の方が知っていると思います。

 対して私の第二研究所では確かに関は2つであり領地2つ分の国境線で良いので範囲は狭いのですが、対象種族が人間以外となります。

 想定戦はとりあえず先ほど研究所の人員たちにも言いましたが、獣人2000名とオーガ500体がエルヴィス領に進攻したというのが最初でそこからゴブリンやオークが入って来るでしょう・・・それでもまだ一子爵領を相手にしているだけなのです。

 その先には隣の領主、魔王国王軍・・・一体どんな種族がいるのでしょうね?

 人間以外と戦うにはいろんな種族との戦闘経験が一番多そうな王都守備隊が適任だと思ったので声をかけてみただけです。

 むしろこの件については他に適任の兵団があるなら教えて欲しいですね。」

武雄がため息をつく。

「なるほど。

 キタミザト所長もよくよく考えているのはわかりました。

 アルダーソン所長、キタミザト所長のように熟慮して試験小隊員を集めていただければ構いません。

 研究所の中身については先ほどキタミザト所長が研究所の人員に説明されていた通りですし、設立要件にも記載させて頂きました。

 また、所属する貴族領の内政にも相談役として参加をして頂いても結構です。

 キタミザト所長はエルヴィス伯爵ですね。

 アルダーソン所長はバビントン男爵と話し合って頂き、どのような形で政策を進めるのかを決めておいた方がよろしいでしょう。

 地域の政策に合わない研究をしても意味が薄くなってしまいますので。」

「「わかりました。」」

2名は頷く。

「さて、次の講義を始めましょうか。 

 次は研究所と工房との契約についての話です。」

武雄達の講義は続くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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