第535話 第二研究所の初顔合わせ。(自己紹介。)
武雄達が入って来る。
全員が一斉に立ち上がり今までの私語を慎み礼をする。
「マイヤーさん、皆さん、ご苦労様。」
「はい、王都側の人員は全て揃っています。」
「はい、わかりました。
アリスお嬢様とヴィクターとジーナは扉側で、鈴音とアニータとミルコは自分の名前の書かれている席に行ってください。」
「「「はい。」」」
鈴音はトレーシーの隣にアニータとミルコはパメラの隣の席に着く。
ケイとパメラは2人の耳を見て驚く。「え?この子達って・・・まさかエルフ?」声には出さないが十分にビビるのだった。
「さてと、始める前にですね・・・はぁ・・・」
「キタミザト殿、どうしましたか?」
マイヤーが声をかける。
「いえ、ここに来る途中に声をかけられましてね。
この会議を見たいんだそうですよ。」
「誰がですか?」
「我だ!」
とアズパール王が勢い良く扉を開いてオルコットと男性2名を連れて入って来る。
「「「陛下!?」」」
その場の全員が最敬礼をする。
(ケイとパメラ、アニータとミルコは1テンポ遅れて皆に合わせて礼をする。)
「ふふん、驚いたか?」
アズパール王が意気揚々と声を皆にかける。
「ええ、まぁ。
・・・と言うより午後の会議はどうするのですか?」
マイヤーが困惑しながら聞いてくる。
「ふむ。開始までここにいるつもりだ。」
「すみません皆さま、すぐに引き取っていきますから。」
オルコットが申し訳なさそうに皆に頭を下げる。
「傍聴人が居るのですけど・・・とりあえず皆に紹介しておきましょうか。
こちらが第34代アズパール国王 アラン・ジョン・アズパール陛下です。
その隣がアシュトン・フォン・オルコット宰相。
そして今度ニール殿下の隣の領地を拝領し貴族になられるビル・ウィル・バビントン男爵。
最後に王立研究所 第一研究所 所長 バリー・ケリー・アルダーソン男爵です。」
武雄が紹介すると各々が会釈をする。
「で、私が王立研究所 第二研究所 所長 タケオ・エルヴィス・キタミザトとなります。
陛下、では後ろに行ってください。」
「ん?おざなり感がするのだが。」
「事前に何も言ってこないので用意すらしていません。
席は適当でお願いします。」
「くっ・・・事前に言っておけばよかった。」
口ではそう言う物の楽しそうにアズパール王が小会議室の後ろに行く。
「はぁ・・・さてと、外野は気にしなくて良いです。
と、順々に名乗って貰いますかね。
では。マイヤーさんからどうぞ。」
「はぁ・・・まぁ言いたい事は後でキッチリと言いましょうか。
カルロ・マイヤーと言います。
現在、王都守備隊 第一近衛分隊長で今度、第二研究所の総監の役職に着きます。
皆さんよろしく。」
「ドム・アンダーセンと言います。
現在、王都守備隊 第三魔法分隊長で今度、第二研究所の試験小隊長の役職に着きます。
以下、試験小隊の人員を紹介します。」
「ダリル・ブレアです。
現在、王都守備隊 第一魔法分隊副官をしています。
今度、第二研究所の試験小隊員に着任します。」
「バーニー・アーリスです。
現在、王都守備隊 第二魔法分隊副官をしています。
今度、第二研究所の試験小隊員に着任します。」
「クレイグ・ベイノンです。
現在、王都守備隊 第一情報分隊副官をしています。
今度、第二研究所の試験小隊員に着任します。」
「アルフ・オールストンです。
現在、王都守備隊 第二近衛分隊副官をしています。
今度、第二研究所の試験小隊員に着任します。」
「フィル・アーキンと言います。
現在、王都守備隊 第二情報分隊員をしています。
今度、第二研究所の試験小隊員に着任します。」
「ヘザー・ブルックと言います。
現在、王都守備隊 第二情報分隊員をしています。
今度、第二研究所の試験小隊員に着任します。」
「ケ・・・ケイ・ケードです。
魔法師専門学院4年で今度、第二研究所の試験小隊員に着任します。」
「パメラ・コーエン・・・です。
魔法師専門学院4年で今度、第二研究所の試験小隊員に着任します。」
「アニータ・チーゴリです。
キタミザト様に拾われて来ました。」
「ミルコ・チーゴリです。
同じくキタミザト様に拾われて来ました。」
「・・・アニータ?ミルコ?その言い方はちょっと変ですよ。
皆さんすみません、この2名も第二研究所の試験小隊員に着任します。」
アンダーセンが汗をかきながら補足する。武雄やアズパール王を始め上位達は苦笑している。
「はぁ・・・以上が来年度発足時の試験小隊の人員になります。」
「はい、わかりました。
次は。」
武雄がトレーシーを見る。
「くくく。
はい、オーラ・トレーシーと言います。
元王家専属魔法師部隊所属、現在は総監局付き次長 魔法師専門学院の学院長をしております。
今度、第二研究所 研究室長に着任します。」
トレーシーの宣言にケイとパメラが驚愕の表情をする。
「スズネ・タキノです。
カトランダ帝国で東町の工房に所属していました。
今度、第二研究所 研究室研究員に着任します。」
鈴音の言葉にトレーシーが反応をしないで聞いている。
「はい、以上が研究員ですね。
あと1名は探していますからその内決めます。
トレーシーさん、驚きましたか?」
「若い事だけが驚くところですね。出自はあまり気にしません。
優秀なのでしょう?」
「ええ。私の同郷ですし、知識は豊富なのを確認しています。
あと、アズパール王国に永住します。」
「なるほど、なら平気でしょう。」
「面倒を見てくださいね。
と、後は家の方の面々も自己紹介をしておきますか。」
「はい。
タケオ・エルヴィス・キタミザトの婚約者でアリス・ヘンリー・エルヴィスと申します。」
「ヴィクターと申します。
キタミザト様の家令+執事をさせて頂きます。
研究所の資金管理もさせて頂きます。」
「同じくジーナと言います。
ヴィクターの娘です。
キタミザト様の執事をさせて頂きます。」
「はい、以上です。
ちなみにですが、ヴィクターとジーナは獣人です。
元の名をヴィクター・ヴィヴィアン・ファロンと言います。」
その言葉にケイがピクッとする。
「ふふ。ケードさん、何か思い当たりますか?」
「エルヴィス領の隣の魔王国側の領主の名前が・・・」
「はい。そこの元伯爵です。」
「な!?」
「この2人、実はカトランダ帝国で売られていました。
なので良い人材だったので買って来たら元伯爵でしたね。
あ、奴隷とかは気にしなくて結構です。
ちゃんと雇用契約を結んでいますので、あくまで私の執事です。」
「その・・・平気なのでしょうか?」
「平気とは?」
「万が一、キタミザト様の寝首を・・・」
「ふむ・・・そこは考えていませんでしたね。
ですけど、2人からは領地に戻って返り咲きたいとの意向は聞いていません。」
「ですが、敵国の伯爵です。」
「元ですね。
今は・・・ヴィクター、甥っ子が後を継いだのでしたか?」
「はい。正式に魔王国より私とジーナは亡き者になっています。」
「だそうです。」
「ですが、それでも戻る可能性があります。」
「・・・ケードさん、領主という立場を舐めてはいけませんよ?」
アリスがにこやかに言う。
「え?」
「少なくともエルヴィス家とここにいるヴィクターは領民を愛しています。
今はもう領主を追われていますが、今戻ったらどうなると思いますか?」
「え?・・・すんなり元に戻るのではないのですか?」
「陛下、どう思いますか?」
武雄がアズパール王に聞く。
「ん?そんなの決まっている。内戦が勃発するぞ。」
「え!?」
「そうですよね。現状で誰かに仕組まれてヴィクター達はカトランダ帝国で奴隷にまで身分を落としています。
そしてその間に魔王国から正式に存在が亡くなっているのです。
そこにフラフラと敵国のアズパール王国から戻って来てみなさい。
ヴィクター派と現領主派に分かれて領内を2分する内戦の可能性が高いのです。
そんなことは普通の領主は良しとはしません。
ヴィクター、今の心情を言ってみなさい。」
「はい。確かにケード殿が言うように返り咲くという手段はあります。
ですが、領民を犠牲にしてまでなるべきなのかは疑問です。
さらに魔王国では力こそ全てです。
それは個々の武力もそうですが政争も含まれます。
私もジーナも力がなかったから売られてしまったのでしょう。
その点については認めざるを得ません。
ですので、出来る事なら今のまま大きな戦もなく現状維持をしていただきたいと考えております。
それが領民が傷つかない方法であると思っています。」
「そ・・・そうですか。」
「それに万が一、魔王国から進攻をしてきた場合にヴィクターとジーナを戦線に投入する気はありません。
それは同胞相手に戦わせる苦難を与える気がないのと、こちらの情報が漏れない為です。」
「そうですか・・・ですが、こちらの開発状況は筒抜けになる可能性がありますが、それはどうお考えで?」
「別に知られて困る武具を作る気はありませんけど。」
「え?」
「むしろワザと知らせますかね・・・それも面白そうですね・・・」
武雄が思案する。
「タケオ、とりあえずそれはこっちで考えたいんだがな。」
アズパール王が苦笑する。
「おっと、そうでしたね。
ですのでケードさん、気にする事はありません。
この2人は大丈夫です。それに一番の問題は種族がどうのではなく、その個人を信用してあげられるかという所です。
むしろ人間同士の方が面倒な事が多いのではないですか?」
「それは・・・わかりません。」
ケイが難しい顔をする。
「それとケードさん、2年前の襲撃ですけど。
ヴィクター達は関与していません。魔王国とは別組織とのことです。」
アリスが冷静に言ってくる。
「え?そうなのですか?」
「はい。そもそも前線にゴブリンを配置するなど・・・私達の種族では考えられない暴挙です。
まぁ少なくとも私の代まではとなるかも知れませんが・・・」
ヴィクターが難しい顔をさせる。
「わかりました。キタミザト様を信用しようかと思います。」
「ええ、今はそれで結構です。
まぁこれから長く付き合うでしょうから追々知っていけば良いでしょう。
と、話が逸れましたね。
では、次は研究所の中身を話していきますか。」
会議は続くのだった。
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