第533話 宿で昼食と簡単な打ち合わせ。
宿に戻って来たらヴィクター達が不満タラタラでロビーで談笑していたので、一緒にお昼を取ることになった。
ちなみにヴィクター達の護衛はフォレットと女性兵士2名の3名がしていた。
なので、コロッケを半分に切り適当に食べようと皆が買ってきた昼食を広げて食べたのだが・・・
「キタミザト様(殿)!ありがとうございます!!」
全員が武雄に感謝をしていた。
「コロッケって美味しいわね♪外がカリッと中がホクホクで♪
今日食べに行った店にも見習わせたいわ!」
サリタがそんな感想をいうと同行していた面々が頷く。
「そりゃあ、こんな料理を毎日食べたらねぇ・・・王都の店の味はトマト系がほとんどで味も一辺倒だし・・・
それに腹持ちも良さそう。」
フォレットがコロッケを食べながら感想を言うと他の護衛兵達もフォレットの言葉に頷く。
「武雄さん・・・これは普通のコロッケですよね?」
鈴音が自分が食べた後を見ながら呟く。
「ええ、私的に普通ですね。
今回はジャガイモと肉だけなので一般的だと思いますが・・・あとはトウモロコシとか入れている所もありますかね?
鈴音、どうしましたか?」
「いえ・・・クリームコロッケが食べたいなぁと。」
「「「クリームコロッケって何!?」」」
その場の全員が食いつく。
「なるほど、確かにクリームコロッケは美味しいですね。
んー・・・」
「タケオ様?スズネさん?2人でわかってないで説明してください!
クリームコロッケとはなんですか?
このコロッケとは違うのですか??」
アリスが皆の意見を代弁する。
「あ・・・えーっと・・・武雄さん、どう言えば良いのですか?」
「簡単に言えばシチューが入っているコロッケですね。」
「「「シチュー????」」」
皆が頭を捻る。
「キタミザト殿、それはどうなのですか??」
工房の面々が不思議そうな顔をさせる。
「ん?簡単に説明しただけですけど・・・結局のところはシチューの水分を極力減らして揚げた物です。
確かに食べたいですよね。」
「出来そうですか?」
鈴音が聞いてくる。
「んー・・・シチューの固形化ですか・・・
普通に考えれば、ジャガイモを入れて、とろみをつけるか片栗粉を使うのですかね?
でも片栗粉は違うのかなぁ・・・デロンデロンになるからなぁ・・・
ということはジャガイモを入れて、とろみをつける・・・でもまだ固形化はしないだろうなぁ・・・
んー・・・固形化・・・固形化・・・冷やす?」
武雄が何か閃く。
「確かに・・・氷にしてしまえば・・・いや氷でなくてもある程度温度が下げれれば・・・」
「あ、タケオ様が長考に入った。」
「この感じは出来るのですかね?」
「食べ物の事になるとキタミザト様。長考するよね?」
アリス達が武雄を見ながらヒソヒソ話す。
・・
・
「まぁ、エルヴィス邸に戻ってから考えますか。」
「「「えぇぇぇぇぇ!?」」」
警護をしていた者達から不満の声が上がる。
「ん?なんです?」
「だって私達これっきりですよ!?
食べられないのですか!?」
フォレットが文句を言ってくる。
「だって、昼も夜も揚げ物が続くのは嫌でしょう?
今日の夕飯はあっさりした物にしたいですね。」
「くぅ・・・私達はどうすれば・・・」
「王城の料理人に作って貰えば良いじゃないですか?」
「そう簡単に作っては貰えません!」
「じゃあ・・・エルヴィス邸に出張に来れば良いのでは?
私は年に2回しか王都にきませんし、一応、王都守備隊の同格組織で武器の研究をしていますから・・・例えば王都守備隊に検証を依頼した武具の評価結果を送付ではなくて持って来るでどうですか?
まぁ、その辺は私は関与しませんが・・・ほら言い分としては大切な評価結果だから手渡しが必須とか言って。」
「「それです!総長に掛け合います!」」
「上手く理由を作ってくださいね。
もし来たら食べたい物を出せるようにしますからね。」
「ほ!本当ですか!?」
「ええ。高い物はダメですが、折角王都から来るのです。出来るだけ食べたい物を作りますよ。
あ、事前に何名で来るのか、何が食べたいのかを教えてくれると食材が揃えられますね。」
「その辺も総長達にねだります!」
フォレットがやる気になる。
他の面々が「食べ物の為に動くの?」と苦笑している。
「さてと、とりあえず・・・もうコロッケがないですね。」
「追加で作ってください!」
「ふふ。こういった物はあともう1個という感じなのが美味しさの秘訣です。
なのでこれで終了です。
さて・・・これから会議ですね。
ヴィクター、ジーナ、アニータ、ミルコ、鈴音、5人は私達と王城に行きましょう。
あ、ミア達も連れて行きますよ。」
「何の会議なのですか?」
ヴィクターが聞いてくる。
「王立研究所・・・まぁ私が所長を務める研究所の部下が一同に会します。
試験小隊と研究室長が来ますからね。
顔合わせです。」
「え!?」
鈴音が驚く。ちなみにアニータとミルコは「へぇ~」と感心をするだけだった。
「ふふ、あまり緊張はしなくて良いですよ。
たぶん・・・いや、概ね私への質疑応答で終始しますから。
あ・・・そう言えば研究所の設立要件を見ておかないと・・・」
武雄がリュックから資料を取り出し見始める。
「じゃあ、出立までのんびりですね?
食器とかを片付けます。」
サリタやジーナが席を立ち皆の食器を洗い始める。
「ブラッドリー、今度はわしらはどこに行こうかの?」
「そうですね・・・小物や雑貨を見に行きますか。」
「え?お爺ちゃん達が雑貨屋に行くの?」
「あ、なるほど、雑貨ですか。」
「え?父ちゃん、何かあるの?」
「武器や防具だけが技術力を表してはいないんだ。
どちらかと言えば小物・・・生活用品を見てもその国や地方の技術力がわかるもんなんだよ。」
ベインズの説明にその場の面々が「へぇ~」と頷くのだった。
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魔法師専門学院の校門の所でトレーシーが門柱に寄りかかりながらボーっとしていた。
「「学院長、すみません。」」
と、ケイとパメラが駆け寄って来る。
「ん?まだ時間には早いから別に平気ですよ。
2人とも食事は取ってきましたね?」
「「はい!」」
「じゃ、行きましょうか。」
ケイとパメラには学院長から「昼過ぎに王城で試験小隊の顔合わせがあるから昼前に門前に集合」と言われていた。
2人は「私達が王城は初めてだから学院長も来てくれるのかな?」と思っていたりする。
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