第532話 昼食を持ってきて即退散。宿へ一旦帰りましょう。
武雄が妃達が居る小広間に料理を持った執事達と途中で会ったアンとクリナを連れて戻ってきた。
「失礼します。
昼食を持ってきました。」
「「「「は・・・はい!」」」」
書き写しをしていた4名が元気よく(?)返事をしてくる。
それを他の面々が苦笑して見ていた。
「お母様方、戻りました。」
「戻りました。」
アンとクリナがお辞儀をする。
「2人ともおかえり。大事はなかった?」
「はい、問題なく警護兵と一緒に本屋に行ってきました。」
アンとクリナはホクホク顔を妃達に向ける。
「そう、良かったわね。」
セリーナ達が朗らかに頷く。
「・・・話合いは順調だったようですね。」
武雄が唐突に言う。
「はい、恙なく終わりました。」
レイラが朗らかに言う。
「そうですか。
昼食を持ってきたので食べてください。
あと、アリスお嬢様と私は別室です。」
皇子妃達に配膳をされていくのを見ながら武雄がアリスに向け言う。
「え?そうなのですか?」
「はい。」
「わかりました。」
とアリスが席を立つ。
「では皆さま、本日はありがとうございました。
失礼します。」
武雄が挨拶をしアリスも礼をして退出して行った。
・・
・
「疲れたわね。」
「そうね。」
ローナとセリーナが苦笑する。
「あ、結局アリスの体温については聞きそびれましたね。」
レイラが思い出したかのように言う。
「まぁ良いんじゃない?
アリスが聞き出したら教えてくれるだろうし。
それよりも・・・目の前の物体が問題ね。」
ローナがマジマジと見る。
「前に出たトンカツに似ているわよね・・・
えーっと・・・お品書きはこれか・・・これがコロッケなのね。」
セリーナが言う。
「「「「これがコロッケ!」」」」
他の面々もマジマジと見る。
「とりあえず、食べてみましょうか?
アン、クリナ、席に。」
アルマが皆に言う。
「「はい!」」
皇子一家の昼食が始まるのだった。
・・
・
武雄とアリスはタマを連れて宿への帰路をのんびりと歩いていた。
別室に用意されていたのはコロッケやパンが入ったバスケットだった。
宿に皆が集合するのだから1人2個食べれる分だけの分量が入っている。
「~♪」
アリスはバスケットを持ちながら上機嫌に歩いている。
と、道先にブラッドリー達を見つける。
「ん?ブラッドリーさん達ですね?」
「本当だ。
おーい。」
アリスが声をかけると向こうもわかったみたいで足を止める。
「キタミザト様、王城の会議は終わったのですか?」
「はい、午前は終わりましたよ。
午後も向こうで会議です。」
武雄は「ははは」と言いながら言葉を交わす。
「バートさん達もご苦労様です。」
「いえ、のんびりとしていて楽な物です。」
ブラッドリー達の護衛はバートともう一人の男性兵士の2名がしてくれていた。
「そうでしたか。
王都の工房はどうでしたか?」
「んー・・・目新しい物があるかと思ったのですが・・・カトランダ帝国よりも意匠が凝っていた感はありましたね。」
ベインズが複雑な顔をさせながら言う。
「なるほど。
まぁ技術や性能に傾倒しているカトランダ帝国と比べれば性能的には劣るのはしょうがないのではないですか?
むしろこれは良い機会ですね。」
「それはどういった意味でしょう?」
「いや、ブラッドリーさん達が作り出す武器等が比較的に売りやすい市場だという事ですよ。」
武雄が朗らかに言う。
「キタミザト殿、一応、王都はこの国の中心なんですけど・・・この国一番の物が揃っているはずなんです。
それを・・・性能がないと言われるのは正直微妙です。」
バートが苦笑する。
「はは、他国から来た者の意見は尊重するべきですよ。
たぶん事実そうなのでしょう。それにちゃんと考えれば発覚したのが今で良かったのです。
劣った武器を装備して対峙するのは大変です。
なら少しでも工房の技術力を高めて・・・出来れば同等の製品が配備出来てから相対したい物です。」
「それは・・・その通りです。
あとは我々の技量だけですので。」
「ええ、装備が同等まで上がれば後は兵士の質の問題です。
なるべく早く工房の技術力を上げたい物ですね。」
「出来ますかね?」
「さて・・・やり方はわかりませんが・・・
今のままでは国中の工房の技術力が一斉に上がるという事はありません。
なら・・・何か切っ掛けを作る必要があるでしょうね。
それに私の今の一番の目標は盾の開発です。」
「攻撃力よりも防御力ですか?」
「はい。陛下の意向通り、負けない国家の為の防具作りです。」
「早く剣等の武器も作って欲しいですね。」
「今の所、努力するとしか言えないでしょうね。」
「そうですか。」
バートが苦笑する。
「ええ。そう言えば皆さんは昼食はどうしたのですか?」
「あ、適当に店先で買ったので宿に戻って食べようかと。」
「そうでしたか。
こっちもおかずを貰ってきましたから一緒に食べましょうか。」
「わかりました。」
武雄達は宿へと戻るのだった。
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