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第530話 武雄と王家の打ち合わせ。

武雄はアズパール王の書斎に来ていた。

部屋の中にはアズパール王と3皇子と武雄がお茶をしている。

「タケオ、今日の昼食はなんだ?」

「秘密です。」

「という事は新作だな?」

「はい。そうそう、さっき妃方を集めて面白い事をしました。」

「タケオ、何をしたのだ?」

クリフが聞いてくる。

「私の知っているレシピを10個程度お売りしました。」

「「「売った?」」」

「はい。皆さん驚かれていました。」

武雄は苦笑する。

「タケオ、誰が参加したんだ?」

ニールが聞いてくる。

「ローナ殿下、セリーナ殿下、クラリッサ殿下、リネット殿下、エイミー殿下、アルマ殿下、レイラ殿下、エリカさん、料理長ですね。」

「・・・王家と王城に売ったのか・・・いくらだ?」

「ご一家と料理長に自由に各々で決めて貰いました。」

「「「「???」」」」

4人は頭の上に?を出して「どういう事?」と不思議な顔をする。

「えーっと・・・つまりは各々の一家内でのみ話合いをして貰って、私のレシピ10個の値段を払ってもらいました。」

「タケオから金額を提示しなかったのだな?」

「はい。最低銅貨10枚とはしました。」

「皆はいくら払ったのだ?」

「それは言えません。

 ご一家と料理長が頭を捻って提示してくれましたからね。

 秘密のままで行きます。

 ご家族と会った際にお聞きください。」

「そうか・・・では正式にタケオの料理が食卓に上がるのだな。」

「まぁ、そうですが・・・私でなくともいつかは誰かしら考えるであろう物だと思います。」

「タケオはそれをいち早く他人に出せるまで昇華させているのだ。

 この差は大きいな。」

「まぁ、基本的に私が食べたいから作っているのですけどね。」

「ふむ、それで構わない。

 研究所の方も同じだ。我らはタケオが作り出した物を教えて貰えたらそれで良い。

 タケオは好きに動いてくれて構わぬ。

 ただし、戦争とか外交とかは王都が判断するからな。」

「わかっています。

 戦争を仕掛ける気はありません。

 仕掛けられたら守り抜いてみせます。」

「うむ、その為の研究所だからな。」

「はい。」

「と、さっき午前の貴族会議が終わったのだがな。」

「はい。先ほどオルコット宰相から研究所設立要件等の資料を頂きました。」

「うむ。

 でだ、タケオから相談のあったジーナを王立学院に試験的に入学させる(・・・・・・・・・・)事についてなんだがな。」

「はい。」

「結構、紛糾した。」

「そうですか・・・やはり異種族という所ですか?」

「うむ。

 タケオが我らに言った『折角、人間種の国に来たのなら学校に行って人間を観察させれば今後の役に立つのでは?』という事が根幹だったのだが・・・結果的にスミスのお付としてなら可能ではないかという事になった。

 条件としてはタケオが認めてジーナが行きたいと願った場合に限ると。

 ただし学院側も初めての異種族だから生徒から嫌がらせがあるのではないかという懸念が出ている。」

「そうですか・・・お付とは何ですか?」

「ん?王家と貴族の子弟には1名のみ世話をする者を帯同出来る仕組みになっている。

 その者は貴族の子弟の部屋近くに個室を用意されるので防犯上問題ないという所だな。」

「なるほど・・・執事やメイドみたいな者ですか?」

「うむ、そうだ。

 そして警護者という側面もあるのだが、同年代くらいの子供を用意するのが普通だな。あくまで小間使いだろう。」

「そうでしたか。

 学院に入れたいのは私の考えなのでエルヴィス伯爵にも相談して決めます。」

「うむ、そうしてくれ。

 それにしてもウィリアムは良くあの発想に至ったな。」

「いえ、僕も前日から考えていたんですよ。

 そうしたらクリフ兄上が魔王国がアズパール王国の募集要項と同じだった場合は自分は応募はしないと言ったので『あ!そうか』と閃きました。」

「そうだな。私もだいたいはウィリアムの考えと同じだ。」

「俺は2人の話を聞いてなるほどと思いましたね。」

王家の4人がさっきの会議で盛り上がり始める。

「・・・」

武雄は黙って聞いているのだが。

「あ、タケオさんに大まかな説明をしないといけないですね。」

とウィリアムが気が付き。

「じゃあ、ニールが一番発言しなかったからニールが説明をしてみたらどうだ?」

「う・・・クリフ兄上・・・はぁ、わかりましたよ。

 タケオ、さっきの会議の内容はな。」

ニールが説明を始めるのだった。

・・

「随分、強引な流れを・・・

 それにしても文官と武官を対立させましたか。」

「うむ。

 タケオ的にはどう思う?」

「聞いた限りでは両者とも鬱憤が溜まっていた感じですね。

 ですが、王城の幹部は基本的には異種族にはあまり抵抗が無いという印象を持ちました。」

「まぁ、異種族の雇用問題は今に始まった事ではないからな。

 魔王国と対峙していて魔物の個々の能力が高いことは知っているし、それを取り込みたいと言うのがそもそもの起案なんだ。

 軍務局長達幹部は王国全体の兵士数や周辺国の状況を知っているから国土防衛の為に採用自体はしたいのだ。

 だが、実施に向けて動こうとすると中堅の現場指揮官から拒否の総意文が届いて断念していたのを繰り返していたんだが、何とか数年前に募集するまで話を進められたんだ。

 ・・・そしたら募集しても来ない、他の部局から見たら『また中堅が邪魔してるんじゃないの?局長、管理出来てるの?』と嫌みを言われる始末。

で、今回の荒れ模様だ。」

「・・・中堅の現場指揮官が嫌がるのは自分達よりも能力が高い魔物を部下に出来るか不安だからですか?」

「うむ。そこが昔から指揮官達の懸念事項なんだがな。

 個人の力では敵わないから人数で押す・・・最弱の人間種が取れる手段など多くはない。

 そこに来て個々の能力が指揮官よりも上の者を従えろと幹部は言う。

 『無理に決まってるでしょう?』というのが現場の意見だ。

 で、『少数を入れて様子を見てから判断すれば良い』と現在試験的な採用に向けて動いている最中なのだ。」

「そうなのですか・・・幹部の方達も大変そうですね。」

「実質は上が何と言おうが現場の指揮官達が拒否したらそれまでなんだがな・・・

 とりあえず、タケオの言っていたジーナの入学に対しては概ね良好だ。

 あとはジーナが来ても良いと言ってくれればこちらとしては受け入れる。

 アニータとミルコについては、このまま試験運用で構わない。

 試験小隊に入れるとなれば人事局から何か報告を求められるかもしれぬが、相応の報酬は出る見込みだ。」

「その辺はマイヤーさんやアンダーセンさんにお任せします。」

「うむ、わかった。

 王都守備隊からも異種族の採用は興味があるみたいな事を会議後に言われたぞ。」

「単純に考えれば戦力増強ですからね。」

「うむ。あとは我らが良き国を作り、守りたいと思わせる事が重要だな。」

「「「はい。」」」

その場にいる皆がアズパール王の言葉に頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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