第529話 武雄のお昼の準備。女性陣の猥談。
王城の厨房の隅で武雄と料理長が食材を持ち寄りながら話し込んでいた。
「え?このレシピにはパン粉というのは前日のパンとありましたが、焼きたてのパンでも作れるのですか?」
机の上には摩り下ろされたばかりのパン粉があった。
「ええ。固いか柔らかいかの違いだと。」
「なるほど・・・ふむふむ。
という事は古いのよりも新しいのを使えばさらに表面がカリカリの固めで中がしっとりとした・・・コロッケ?が出来るのですね?」
「出来立てのパンと昨日の残りとでパン粉の性能が変わるかは・・・正直私はした事がないですね。
それよりもアズパール王国にはコロッケはないのですよね?」
「はい。ジャガイモを潰して作るのは・・・塩や香草を混ぜて出すサラダくらいでしょうか。」
「じゃあ、今日はジャガイモ尽くしにしますか。
ポテトサラダでも作りましょう。」
「ポテトサラダ???さっきのリストにもなかった物が出てきました・・・」
「あぁ、マヨネーズと潰したジャガイモを和えるだけです。
あとニンジンとキュウリぐらいでしょうか。
簡単ですよ。」
「そうですか。
あと少しでジャガイモが茹で上がると思いますので、皆に教授の程をお願いします。」
「はい、わかりました。
と、そうだ、さっきの金額・・・どうしてあんなに出したのですか?」
「ふふ、今後も教えて欲しいですからな!
期待を込めて入れました!
こちらがお金です!」
料理長が革袋を武雄に渡す。
「はぁ・・・そこまで高値にする気はなかったのですけどね・・・」
満面の笑顔を向ける料理長を武雄はため息交じりに苦笑するのだった。
と、オルコット宰相が厨房にやってくる。
珍しい来客に厨房内がざわつく。だが当の本人は気にもせずに周りを見渡し目的の人物が居たようで近寄ってくる。
「キタミザト殿、料理長、失礼します。」
「はい、何でしょうか?」
「宰相が来るなんて珍しいですね。」
「キタミザト殿、午前の会議が終わりましたので研究所の資料を持ってきました。
それと陛下から昼食前に執務室に寄って欲しいとの事です。」
「はい、わかりました。」
「それにしても・・・料理長、大量のジャガイモですね。
昼はジャガイモですか?」
オルコットは微妙に嫌そうな顔をさせる。
「ん?あぁ、キタミザト殿が考案した新作料理で、職員食堂にも出しておきますよ。」
「新作・・・わかりました。
ではキタミザト殿、料理長、私はこれで。」
オルコットが厨房から退出していく。
「料理長、あまりジャガイモ料理は歓迎されないのですか?」
「ええ。先程も言いましたが、ジャガイモは茹でて潰してから塩で味付けしたサラダかスープに入れるだけですからあまり歓迎をされないのです。」
「揚げたりはしないのですか?」
「オイルの仕入れ価格が割高ですから頻繁には出せないですね。
基本は茹でて出す事がほとんどです。大勢が集まるなら切ってフライドポテトにしたり、荒く潰してから素揚げですかね。」
「なるほど。」
武雄は頷きながらが「カツ煮は作りたいなぁ」と思うが、それに必要な食材の確保が難しいと悩む。
醤油と鰹節は最低条件・・・武雄はアンが言っていたエイミー情報を思い出す。
「そういえば、料理長、大豆があるらしいですね?」
「大豆ですか?・・・あぁ!ニール殿下領で作り出した豆ですね。腹持ちが良いと言う話でした。
何でもウィリプ連合国から仕入れて量産化を目指しているので王都でも使って欲しいと業者が言っていましたね。」
「使ってみましたか?」
「ええ。ですけど、他の豆と大差ないかと。」
「ふむ・・・」
「キタミザト殿は何か考えが?」
「ええ。出来るかはわかりませんけど・・・必要なのは苦汁かぁ・・・」
「ニガリ?」
「あ、気にしないでください。
納得した物が出来たら教えます。」
「はぁ。」
「さて、ポテトサラダとコロッケを試作してみますかね。
料理長、試作が終わったら陛下の所に行ってきます。」
「はい、わかりました。」
武雄と料理長が動き始めるのだった。
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「な・・・なるほど。」
ノート(レイラがウィリアムが持っていたのと武雄から貰ったのを清書した物)を読み終え、レイラ達の説明を聞いたセリーナが頷く。
リネットとクラリッサは顔を真っ赤にさせながら俯いているし、エイミーとエリカは内容が衝撃的過ぎて放心状態になっていた。
「これではタケオさんは説明したがらないわよ。」
ローナがため息をつく。
「でも、書いたのはタケオさんですよ?
書いた人が説明すれば解りやすいでしょう?」
レイラが汗をかきながら弁明をするが。
「そうだけど・・・どう説明させるつもりだったの?
まさかアリスと絡ませるつもりだった?」
ローナがレイラに苦笑を返す。
「!?
絶対に嫌です!」
アリスが拒絶する。
「それは・・・タケオさんなら上手く説明するはずです。」
レイラはそこまで考えていなかったのか明後日の方に目をやる。
「まぁ、タケオさんなら臆面もなく説明を始めそうね。
と、それにしても・・・内容が凄いわね。
後ろの絡み方は実践しなきゃわからないけど・・・
最初の方は感心するわね。
これはかなりの重大事項だと思うわ。」
セリーナが再度ノートを見ながら言う。
「随分、私達が教わった内容と違う気がするのです。」
アリスが赤い顔をさせながら落ち着き始める。
「確かに違うわね。
でも男性が子種を持っていて私達女性が受け止めて子を宿すという考えはタケオさんも持っているのね。
それにしても女性が卵を持っているという考えはなかったわ。
で、私達が子供が出来やすいと教わったのは生理終了の2週間後だったわよね?
タケオさんは・・・生理初日から8日~18日後かぁ・・・早いわよね。」
「タケオさんの説が正しければ子供が授かりやすい時期を私達は避けていたという事になるわね。」
「アルマとレイラはタケオさんの説を実施しているの?」
「「はい。」」
セリーナの質問にアルマとレイラが答える。
「そうかぁ・・・んー・・・試してみる価値はあるわね。
アリスはタケオさんに何かして貰っているの?」
「特には・・・あ、でもタケオ様は毎日朝起きた時に私の体温を確認しています。」
アリスが額に手を当てながら答える。
「体温?」
「はい。ここしばらくは離れていましたけど。
一緒の時は起きた時に確認をしています。
何でなのかはわからないのですけど。」
「タケオさん、何もその辺は書いてないわね。
アリスの体調を見ているとも思えるし、そうでないような気もするわね。
こればっかりはアリスに聞いてもらうしかないか。」
「私ですか?」
「ええ、流石に私達からは聞けないわよ。
アリス、よろしくね。」
「わかりました。」
「さてと・・・じゃあ、レイラ達のノートを写すわよ。」
「あぁ、タケオさんの知識が流出していく・・・」
レイラが微妙な顔をさせながら呟く。
「とりあえずタケオさんのこの知識は王家だけにしましょうか。
あまり大々的にしても訝しがる者も居そうですし。
エリカさんは秘密にしていてね。」
「は・・・はい!」
いきなり名前を呼ばれてエリカが声を張り上げる。
「ふふ。さて・・・エリカさんも含めて放心している2名と俯いている2名に書かせましょうかね。」
「「「「え!?」」」」
リネットとクラリッサ、エイミーとエリカは驚く。
「な・・・なぜ私達なのでしょうか?」
リネットが聞いてくる。
「私達の話合いに参加していなかったしね。
それに皆で知らないといけないから4名には特に書いて覚えさせるのが重要でしょう。
さ、書き写しなさい。」
セリーナが4人の有無を言わさず命令をしてくる。
「拒否は?」
「今回はダメ。エイミーもちゃんと知っておきなさい。」
「ふぇ!?私は・・・まだそういった事は・・・」
「何言ってるのよ。知るのに早くて悪い事はないわよ。
それにエイミーは年が明けたら15歳でしょう?
いい加減にその辺の知識もちゃんと知っておきなさい。」
「・・・はぃ・・・」
エイミーが渋々書き写しにかかる。
それを見ていた3人も書き始めるのだった。
「・・・ローナ殿下とセリーナ殿下は写さなくて良いのですか?」
アリスが聞いてくる。
「ん?クラリッサが書くからそれを写すわ。
それよりアリス、タケオさんに依頼されているのどうするの?」
「・・・あ・・・王都の知識でしたか・・・
何か書かないとタケオ様が小言を言いそうです。」
アリスはどうしようと考える。
「アルマ、レイラ、私達はアリスに私達の常識を書いて貰いましょうか。
これはこれで資料としては十分の価値が出るわよ。」
「「はい。」」
アリス達は今の王家の常識を書き始めるのだった。
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