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第523話 45日目 王家がドキドキ。

第1皇子一家からローナとセリーナとクラリッサ、第2皇子一家からはリネットとエイミー、第3皇子一家からアルマとレイラと特別にエリカが(ウィリアムのちょっかいからエリカを守る為にアルマ達が同行させている。)昨日の小広間に集まってのんびりと朝食後のティータイムをしている・・・のだが、なぜか緊張感に包まれていた。

ちなみにカサンドラ・ハート(旧名カサンドラ・ラバル)は今日から第3皇子一家の騎士団付きとなったのでそちらの執務を開始する運びになっていた。

「アルマ、レイラ。タケオさんが名指しで私達に何かを言いに来るのね?」

「はい・・・何を言いに来るのかはわかりませんが・・・」

アルマが答える。

「アルマお姉様、正確には相談事と言っていました。」

「そうだったわね・・・タケオさんの相談なんて初めてよ・・・

 どうしよう・・・緊張してくるわ。」

アルマが少しばかり挙動不審になる。

「本当ね、何が飛び出してくるか・・・」

セリーナも少し落ち着かなそうにしている。

「まぁ、何とかなるんじゃない?」

ローナは半ば諦めていた。

「エイミー・・・どうしよう?

 私判断出来るかな?」

「・・・えぇ、出来ますよ。」

エイミーが明後日の方を若干見ながら呟く。

「・・・エイミー、何か知っているわね?」

セリーナが見逃さない。

「・・・タケオさんが何をするかは知っています。

 ですが・・・昨日タケオさんと約束をしたので教えられません。

 実際の所、私も昨日言われましたが・・・一晩経っても判断が出来ません。」

「ちょっと待って・・・エイミーが判断出来ないって何よ?

 第2皇子一家の資金繰りまでわかっているエイミーが判断できないなんて余程じゃない!?」

ローナが驚く。

「・・・政策とか領地の事ではないんです。

 ですけどタケオさんがこれからする事は紛れもなく王家・・・いや個々の一家が試されます。」

エイミーの発言に他の面々が絶句する。


と、扉がノックされ、アルマが許可を出すと武雄とアリス、王城の料理長が入って来る。

武雄は書類をアリスはタマを抱えていた。

「失礼します。

 すみません、朝食後のティータイムにお邪魔します。」

武雄が礼をして入って来る。

「タケオさん・・・どうしたの?

 相談なんて初めてよ。

 頼ってくれるのはありがたいけど・・・」

ローナが恐々聞いてくる。

「そんなに深刻な物では全くないです。

 ちょっと考えがありまして・・・昨日の時点でエイミー殿下には言いましたが、何かお聞きしましたか?」

「えーっと・・・今さっき私達王家を試すという事ぐらいで・・・いったい何をさせるの!?」

ローナが焦りながら言ってくる。

「試す?・・・あぁなるほど。私的には別に試す気はありません。」

「タケオさん・・・こちら側としては試されている気になります。」

エイミーがジト目で抗議してくる。

「いや・・・本当に試す気はありません。

 じゃあ、料理長はアルマ殿下とレイラ殿下の横に座ってください。」

「はい、わかりました。」

料理長が妃方に礼をしてレイラの横に座る。


「さてと、貴重な時間を頂いてますので手短に行きます。

 今回のカトランダ帝国の旅路で第1皇子一家のアン殿下にプリンの作り方をお教えしました。」

「「「え!?」」」

第2、第3皇子妃達が一斉にローナ達を見る。

「ええ、その通りです。」

セリーナが苦笑しながら言う。

「そこでの経緯等は王家同士で雑談をしながらでも聞いてください。

 私から言う気はありません。

 それでよろしいですか?」

「「はい!」」

ローナとセリーナが答える。

「まぁ詳細は省きますが、アン殿下が私に金銭を渡して『プリンの作り方を教えてください』と懇願しましてね。」

「「え!?」」

「結局は受け取ってはいませんが・・・そこで私的に失敗したなぁと思ったわけです。

 幼子が全財産(・・・)を持って来て懇願されるのは嫌な物です。

 もっと早くに教えておくべきだったと痛感しました。」

「じゃあ・・・この集まりは・・・」

レイラが恐る恐る聞いてくる。

「はい。プリンの作り方をお教えします。」

「やった!」

「・・・ですが。」

「!?」

「すみませんが私も欲深い物で・・・少しで良いのでお小遣いを頂きたいのです。」

「あ、それなら言ってくれれば多少なら・・・」

レイラが言い終わる前に武雄は1枚ずつ各一家と料理長の前に裏返しで(・・・・)置く。

「・・・え?」

アルマが紙と武雄を往復で何度か見る。

「どうぞ。」

武雄の一言で全員が一斉に紙を裏返し中を見る。

「え!?・・・こんなに?」

その1枚にはプリン(ハチミツプリンも含む)、バターサンド、ショートケーキ、マヨネーズ、カルボナーラ、各出汁(小魚、海老、干しシイタケ)の取り方、茶碗蒸し、トンカツ、カツサンド、コロッケが箇条書きになっていた。

「・・・どうしていきなり。」

ローナが困惑しながら言ってくる。

「単純にこれだけあれば食生活が楽しくなるでしょう。

 料理長殿、クリフ殿下からウスターソースは手に入れたのですね?」

「はい。先ほどここに向かう途中にお話しした通り入手しています。

 そして今後も納入していただくことになります。」

「そうですか。

 では、そのソースを使ってコロッケを作ってみても面白いと思いますよ?」

「わ・・・わかりました。」

「あ、ちなみにウスターソースはクリフ殿下方の屋敷がある街で開発された新種のソースです。

 王都にはクリフ殿下領からの納品が決まっていますので、そちらから入手してください。

 あと、後々の話ですが魔王国に面している3貴族とウィリアム殿下領にはエルヴィス領から納品しますので、発注先を間違えないようにしてください。」

「は・・・はい。」

皆が頷く。


「さてと、本題を言いましょうか・・・

 このレシピ一式・・・皆さんならいくらで買いますか?」

「「「「!?」」」」

その場の全員が絶句する。

「こちらからいくらとは明言する気はありません。

 ですが、最低は銅貨10枚でお願いします。

 昨日、アリスお嬢様が必死に書いてくれたので・・・帰りに買い物がしたいので。」

「タ・・・タケオさん、い・・・いくらでも良いの?

 それにこれは王家だけの話なの?」

ローナが驚きながら言ってくる。

「はい、いくらでも構いません。

 私のレシピがどんな価値があるのか私にはわかりません。

 このレシピをお渡ししてその後、例えば本にされても私は何も言いません。

 このレシピ一式は私の手を離れます。

 どうぞご自由にしてください。」

「エイミー・・・これって・・・」

「はい、アルマ殿下、それ以上はダメです。」

アルマがエイミーに何かを聞こうとするが、武雄が止める。

「金額等々についてこれから・・・ふむあと1時間ほどで3時課の鐘ですか。

 鐘が鳴るまでにそのリストに金額を記載して提出してください。

 王家間や料理長との相談は禁止です。

 一家の中だけで金額を考えてください。」

「・・・それって・・・」

「王家が横並びに金額を決めても面白くないでしょう?

 あくまで各々の一家、王城が私のレシピの価値をどう思っているのか知りたいので相談は厳禁とします。

 宜しいですか?」

「は・・・はい。」

アルマが頷く。

「ただ単純に各々の一家がどう思っているかだけですので、金額が高い低いは何も私は思いません。

 お気持ちをください。

 以上です。」

武雄の言葉が終わると料理長が勢い良く立つ。

「殿下方、キタミザト殿、アリス殿、私はこれにて!

 後程参ります!」

とさっさと退出して行った。

「エイミー殿下・・・どうすれば・・・」

リネットが隣のエイミーを見る。

「はぁ・・・お母様。

 隣の広間に移動しましょう。」

「はい!」

「タケオさん・・・いくらでも良いのですよね?」

「ええ、最低銅貨10枚以上でお願いします。」

武雄はにこやかに言う。

「・・・わかりました・・・」

エイミーとリネットが退出していく。

「私達も一旦出ましょう。」

「ええ。」

「はい。」

ローナとセリーナとクラリッサが退出していくのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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