第522話 44日目 宿に戻ってマッタリ。(工房の人達に報告。)
夕食後に工房の面々に名前の変更が受理された事と専売局で貰った原材料のリストを渡していた。
「なるほど・・・これが本当の原価なのですね?」
フリップ改めブラッドリーが価格表を見ながら言ってくる。
「ええ、そこに輸送費やら人件費等々が加味されます。
ですので実際はエルヴィス領に帰ってから試算が出来るでしょうね。」
「わかりました・・・
ふむ・・・この価格に普通に考えて2割を経費として乗せれば・・・今の所、前にキタミザト様に言った金額で納品出来そうです。」
ブラッドリーが対比させながら概算する。
武雄はブラッドリーから原価表を受け取りしまう。
「それは良い事ですね。
流通している金属は問題なさそうですか?」
「えーっと・・・はい、これで問題ないかと。
それと専売局の局長が言っていた鉄鋼材の開発ですが・・・すぐに依頼が来そうでしょうか?」
「さて・・・実際はわかりませんね。
あくまで検討中の内容ですからすぐに依頼が来るかもしれないし、数年後かもしれないし、立ち消えになる可能性すらあります。」
「そうですか・・・では、私達だとビセ・・・ベインズが合金作りには適しているでしょうね。
主力は指輪でしたし。」
「そうですか・・・
王都が考えた最小高炉についてはどうですか?」
「その単語だけでは何とも・・・
工房で使うのは、5㎏程度の精製用の物なので要求に対しては少し小さいですが・・・3倍くらいの大きさを想定すれば良いのかとは思いますね。」
「それは室内に設置が出来ますか?」
「配置等については工房を見ながら決めさせてほしいですね。」
「なるほど、使い勝手は人によって変わりますからね。
わかりました、その辺は伝えておきます。
王都出立は明後日の予定です。
明日は1日自由にして結構です。」
「あの?エリカさん達はどうしたのですか?
姿が見えませんが。」
サリタが聞いてくる。
「あぁ、先ほどの面接の時に居た若い夫婦が居るでしょう?
そちらで文官の仕事をする事になりましたから私達とはこれからは別行動です。」
「あ、そうなのですね。
エリカさん、やりたい事が決まったのですね。」
「いや、正確にはやりたい事が見つかるまでの仕事ですね。
まぁ向こうも領地運営が出来る人材を探していましたし、問題はないでしょう。」
「そうですか。」
「別に今生の別れでもないですからその内会えるかもしれません。」
「わかりました。
で、明日は自由行動なのですか?」
「はい。同行する兵士はいますが自由行動で問題ないです。
私とアリスお嬢様は王城に行って会議をしてきますけどもね。」
「兵士が同行するのですか?」
鈴音が聞いてくる。
「ええ、皆さんが迷子にならないようにというのと不埒者が近寄ってきたら追い払ってもらう為です。」
「そうですか・・・わかりました。」
「では明日はのんびりと見たいところを見てきてください。
例えばどこに行きたいとかあるのですか?」
「私は王都の工房を見てみたいですね。」
「わしもそれが良いの。」
ブラッドリーの言葉にボイドとベインズ親子が頷く。
「なるほど。他国の工房は見ていると発見がありそうですね。」
武雄は頷く。
「私は商店を見て回りたいですね。」
「あ、私もそっちが良いです。」
サリタと鈴音が声をあげる。
「お父さま、私達はどうしましょうか?」
「そうだなぁ・・・主、私達はどうしましょうか。」
「ヴィクターとジーナ、アニータとミルコも明日は昼まではのんびりしていて良いですよ。
王都なんてなかなか来れないでしょうからね。
あまり裏路地とか物騒な所には行かないでくださいね。
基本は表通り沿いか兵士が許可した場所にしてください。」
「わかりました。
3人ともどこに行ってみたいですか?」
ヴィクターが子供達に聞く。
「「「美味しい食べ物屋さん!」」」
「あぁ、気持ちはわかります。」
武雄が苦笑する。
「あ、美味しい物マップがありますよ。」
とアリスがリュックから取り出してヴィクターに渡す。
「お預かりいたします。
では主、私達はお店巡りをしてきます。」
「あ!私達もそっちに行く!
ついでに雑貨屋さんにちょっと寄ってくれるんだったら嬉しいかな。」
サリタ達がヴィクター達に付いて行くようだ。
「では皆で行きましょう。」
ヴィクター達も了承する様だ。
「じゃあ、ヴィクター殿達が昼までならこっちも一度昼に宿に戻ろうかの。」
ボイドの言葉にブラッドリーとベインズ親子が頷く。
「ふふ、わかりました。
では一旦、昼に宿に集合という事にしましょうか。
明日は皆さん、観光をしてきてください。
ですが、知らない土地ですからあまり深い場所には入らない事。あくまで同行する兵士が許可した場所のみでお願いします。
変な犯罪に巻き込まれてもつまりませんし、いろいろと面倒ですからね。」
「はい。」
皆は武雄の言葉に頷くのだった。
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武雄とアリスとチビッ子達は宿の自室に戻って来てマッタリ・・・2人は何やら書き物をせっせと作っていいた。
「えーっと・・・タケオ様、これで良いのですか?」
アリスが武雄に書いていた紙を見せて内容の確認を迫って来る。
「はい。アリスお嬢様、それで結構です。
挿絵も書いたのですか。
なかなか上手です。」
「えへへ♪褒められました。
・・・それにしても4つずつ作るのですよね?」
「そうですね。
6枚のを4冊作ってください。」
「うぅ・・・タケオ様、早くこっちの言葉を書けるようになってください。」
「んー・・・この歳で書き取りの勉強をして物になるのか・・・」
「して貰います!」
「はぃ・・・帰ったら書き取りの練習をしますかね。」
武雄は半ば諦めながら答える。
「じゃあ、さっさと作りますかね。」
「お願いします。」
・・
・
「・・・終わった・・・」
アリスは計24ページを作りうな垂れていた。
「はい、ご苦労様です。」
武雄は労う。
「はぁ・・・それにしても本当に皆さんに教えるのですよね?」
「ええ。良い値段で買ってくれると良いのですけど。」
「んー・・・タケオ様から聞いた時はまた突拍子もない事を考え付いたと思ったのですけど。」
「そんなに変ですか?
私的には至極真っ当で私の評価がわかる手段なんですけども。」
「どちらかと言えば腹黒さ満載ですよ?」
「え?そうなんですかね?
まぁ良いです。とりあえず明日の皆さんの反応が楽しみですね。」
武雄はほくそ笑むのだった。
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第3皇子一家の遅めの夕食を取っている。
ちなみにエリカとカサンドラは前に武雄とアリスが居た部屋にお引越ししている。
「「・・・・」」
アルマとレイラがウィリアムを観察していた。
「~♪」
ウィリアムが終始ニコニコしている。
「・・・」
「ねぇウィリアム、何か良い事があったの?」
レイラが聞いてくる。
「ん?タケオさんが帰って来ただろう?
それもいろんな人を連れて来て、さらには僕達にお土産まで買ってきてくれたよ?
これを喜ばずにどうするんだい?」
「まぁそうね。
懐中時計は良い物よね。」
「これは売れるだろうけど・・・月20個は少ないわよね・・・」
アルマとレイラがため息をつく。
「そうだね!これはタケオさんに便宜を図らないといけないよね?」
ウィリアムが異様にテンション高めに話している。
「「・・・」」
アルマとレイラがウィリアムを訝しがりながら夕飯を取るのだった。
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