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第521話 エリカ達のマッタリ時間と武雄が区割図を発見。

小広間には第3皇子妃達とアリス、エリカ達がのんびりとしていた。

エイミーは学院に行く為に退出していた。

「でね?タケオさんったらその腐った壺を買うっていうのよ。」

「普通は腐った物は破棄するのではないのですか?」

「そうよ、普通はそうするのよ。

 でもタケオさんはかなり独特でしょう?

 『何でも買って良いと言いましたよね?』と言われてしまってね。

 もう渋々了承したわ」

レイラがクスクス笑う。

「それは・・・帝都で同じことをされたらレイラ殿下のように私も狼狽します。」

アリス達は普通に歓談していた。

またアルマからの指示でウィリアム付きの騎士団から女性隊員が2名来て部屋の隅の椅子に座っていた。

「でしょ。

 でもまさかあんなに美味しい調味料になるとはね。」

「調味料ですか?・・・岩塩のような・・・いや壺に入っていたのならソースのような物でしょうか。」

「なんだろう・・・確かに塩味の液体なんだけどね。

 後味がスッキリしていてほのかに甘いのよ。若干臭みはあるけど私達は気にならなかったかなぁ。」

「タケオさんは旅路でそのような物を使ってはいませんでした。」

「え?そうなの?

 確か持って行ったようなんだけどなぁ。」

「途中で使い切ってしまったのかもよ?

 それにしてもあれは美味しかったわよね。

 スープやパスタの隠し味に使っていたしね。」

アルマも頷きながら言う。

「なるほど。

 ではクリフ殿下方の所で見つけたソースに似ているのでしょうか?」

「え?何それ?新しいソースって何?」

レイラが新種のソースに食いついてくる。

「あぁ、エリカさん、あれとは違う感じです。

 ウスターソースは割と濃い味で揚げ物に適していると思います。

 対して魚醤は現状の料理を少しだけ美味しくする隠し調味料という感じです。」

「・・・わかりません。」

「私もわからないわ。」

エリカとレイラが悩む。

「両方タケオさんに作って貰えば良いでしょう。」

アルマが苦笑しながら言う。


と、扉がノックされ、アルマが許可を出すと武雄が入ってくる。

「失礼します。

 殿下方、アリスお嬢様、戻りました。」

「タケオ様、おかえりなさい。」

「「タケオさん、おかえり~」」

「「・・・」」

アリスやレイラは朗らかにエリカ達はジト目で武雄を迎える。

「おや?エリカさん、どうしました?

 そんなに睨んだら美貌が台無しですよ?」

武雄が苦笑しながら言う。

「さっき、事の経緯をお聞きしました。

 タケオさん、最初からわかっていたそうですね?」

「さて・・・何の事でしょうか?」

「むぅ・・・私が皇女だと知っていたと。」

「あぁ、やはりエリカさんは皇女殿下だったのですね。」

「あ・・・また・・・しちゃったよ・・・」

エリカがガックリとする。

「まぁ、私達もエリカさんがそうではないかとの想定で動いていたのは確かですね。」

「へぇ。タケオさん、何かしていたの?」

レイラが聞いてくる。

「ええ、エリカさんをうちに誘うような事は一言も言っていません。

 それに必ず王都守備隊の兵士がエリカさん達の近くに居たはずです。」

「監視の為ですか?」

「警護の為ですね。」

カサンドラの問いかけに武雄は即答する。

「カトランダ帝国を出た瞬間に襲われてエリカさん達に何かあればいろいろ面倒になるかもしれないと思っていましたよ。

 まぁクリフ殿下のおかげでアズパール王国に入ってからはあまり気にしなくなりましたけどね。」

「じゃあ、タケオさんが私に素っ気なかったのはその所為なのですか?」

「いえ?あの時の説明のままですよ。

 婚約者との結婚を前にして他の女性を口説くわけにはいきませんし、街の開発資金についても頼る先は他にありますから。

 エリカさんの実家が用意した支度金はあくまでエリカさんが国替えをする際に困らない為の費用です。

 それを私達の街に使わせる気はありません。

 エリカさんがしたい事に使って頂きたいだけです。」

「むぅ・・・」

「そうだタケオさん、とりあえず私達の素性はお互いに聞き合っているわ。

 で、エリカさんはとりあえずうちに来て相談役になってくれるそうです。」

「そうでしたか。まぁいきなり下位の目線で物を考えるよりも今までと同じ立ち位置で物を考えた方がやりたい事もわかるでしょうね。

 ん?これはウィリアム殿下達の街ですか?」

「ええ!頑張って考えました!」

武雄がその場に広げられている街の区割図を見つける。

「なるほど。

 ・・・川辺に商業地区と行政地区、そして農業地区と工業地区・・・」

武雄はぱっと見で悩み始める。

「タ・・・タケオさん、どうかな?」

レイラが恐る恐る聞いてくる。

「街の事は詳しくはわかりませんが・・・一言良いですか?」

「「はい!」」

アルマとレイラが姿勢を正す。

「この図を見ると工業地区の方に主要街道があるのですよね?そして川辺に港を配置する。

 物流の拠点としての街造りだとわかりますけど・・・この港から街道まで通っている道ですが、ウィリアム殿下の屋敷を中心に考えると街道に向かっている方が表通り、港に向かっている方が裏通りですか?」

「ええ。」

「この道の幅は?」

「えーっと・・・7m程度です。

 幌馬車が相互に行き来出来るようにしています。他の街と同じように考えましたが・・・」

「・・・狭くありませんか?」

「「「え!?」」」

アルマとレイラ、そしてエリカが驚き街の区割図を見る。

「ど・・・どうしてそう思うのですか?」

アルマが聞いてくる。

「7mあれば幌馬車の相互通行が出来るのでしょうけど・・・安全に人が歩く範囲があるのですか?

 私だったら最低でも2mの歩道を両脇において幌馬車と人が接触しないようにします。

 余裕があるのなら表通りも裏通りも馬車が4台・・・相互に2台並走しても当たらないように配置したいですね。

 例えば歩道を両脇に2mずつ取って・・・合計20mくらいは欲しいですかね。

 そうすれば街の商店に荷下ろししている幌馬車を気にせず他の幌馬車が移動出来るでしょう。」

「た・・・確かに・・・」

アルマが頷く。

「ぱっと見はそんな感じですが、他には・・・」

「いえ!とりあえずその道の案を頂きます!」

アルマが武雄が次を言う前に言ってくる。

「そうですか・・・街造りは面白そうなんですけど・・・

 あ、ではアリスお嬢様、そろそろお暇しましょうか。

 アルマ殿下、レイラ殿下、明日の朝は妃方でお茶をしていますか?」

「え?・・・ええ、しているはずです。」

アルマが答える。

「わかりました、その際にお伺いします。」

「タケオさん、何かあるの?」

レイラが不思議そうに聞いてくる。

「ちょっとご相談事が。」

「わかったわ。

 あ、タケオさん、エリカさん達の荷物をこっちに持ってきたいから兵士を連れて行って。

 さっき話をしていてエリカさん達には了解を得ているから。」

「はい、わかりました。

 では明日また来ます。」

「私も失礼いたします。」

武雄とアリスが退出していった。

・・

「あの・・・もしかしてこの街を考え付いたのって・・・」

「大本はタケオさんよ。

 そこから私達が手を入れたのよ。」

エリカの質問にレイラがため息交じりに答える。

「そうでしたか・・・」

「はぁ・・・また文官達を集めて会議しなくちゃ・・・」

「まぁこの時点でタケオさんに見て貰って良かったと思いますか・・・」

その場の4名がガックリとするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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