第519話 エリカのウィリアムの屋敷がある街の考察と側室候補の要件。
「タケオさん、遅いわね。」
レイラがお茶を飲みながら呟く。
「まぁ、タケオさんの事だからどこかに寄って時間がかかっているんでしょうけどね。」
アルマもお茶を飲みながらが答える。
「あの・・・アルマお姉様、レイラお姉様。
放っておいて良いのでしょうか?」
アリスはエリカとカサンドラを見ながら言う。
ウィリアムはアズパール王に呼ばれたため退出していた。
エリカ達はレイラが「じゃあ、試しに」と言って持ってきた街の区割図を見ながら真剣に考察をしていた。
「「・・・」」
「ん~・・・エリカさん、どう?何かある?」
レイラが声をかける。
「はい・・・あの・・・この街は誰が考え出したのですか?」
エリカが恐る恐る返答をする。
「え?どうしたの?
私達でそれなりに時間をかけて区割りを考え出したんだけど・・・
何か不備があったかしら?」
「いえ!そうではなくて!
川辺に商業地区と行政地区、一つ町分の間をおいて工業地区・・・商業地区と工業地区の間に農業地区と住宅地区・・・こんな縦長の街は初めて見ました。」
「カトランダ帝国ではどんな街を作るの?」
「そうですね・・・基本的に円形か四角で構想して・・・街中は基本的に商業で固めて工房も数軒程度にして街外に畑を作っていたかと。
もしくは工房を固めて作って商店を少なくして街外に畑を作るでしょうか?
こんな風にどちらも大規模な地区を街中に入れる発想はしません。
それに街2つ分くらいの面積があるように感じます。
それを低いですが城壁で囲むとは・・・ハッキリ言ってしまえば2つの町を合併した感じです。
これでは行政が大変なのではないですか?文官からは普通はこんなことは言いださないかと思います。」
「ふーん、確かにね。
エリカさんが言った街の概要はアズパール王国の主だった街の作り方と一緒よ。
商業か工業を中心に街を作り城壁外に畑を作るというやり方ね。
まぁ古くからある街だと農業が中心で商業と工業が後という所もあるわね。」
アルマが頷きながら言う。
「じゃあ、なんでこんな商業も工業も大規模に両立するような事を?」
「何と言うか・・・この地図を見て欲しいんだけど。」
レイラが領地の地図を広げる。
「領地の地図ですか・・・それでこれがどうなるのでしょうか?」
カサンドラが続きの説明を促す。
「うん。
この川がね、最上流はエルヴィス伯爵領、途中にゴドウィン伯爵領、下流にテンプル伯爵領と周辺貴族全部と繋がっているのよ。」
「まさか・・・この川を使って物流をさせるとでも?
カトランダ帝国では物流は幌馬車です。」
エリカが訝しがりながら聞いてくる。
「ええ、そのとおり。
そして工業地区で生産した物を迅速に各貴族領に納品させようという考えが根底なの。」
「なるほど・・・確かに陸路で個別に行くよりは効率が良いのか・・・ですが、船は幌馬車に比べて輸送量が少ないのではないのですか?」
エリカが聞いてくる。
「そうなのよね。
その辺は今後の課題かなぁ。」
「そうですか。
・・・やらないといけないことが多いのですね。」
エリカが腕を組んで悩みだす。
と扉がノックされ、アルマが許可を出すとエイミーが入ってくる。
「アルマお姉様、レイラお姉様、失礼します。」
「あれ?エイミーちゃん?どうしたの?」
「タケオさんがお爺さまに捕まりましたので代わりに私が来ました。」
「・・・何かあったの?」
「いえ、お爺さまや父上、叔父上方とここに向かう途中に出会いまして『丁度良い!』と。」
「何やってるのようちの男性陣は・・・」
アルマがため息をつく。
「で、タケオさんからアリス様に伝言が。『さっさと終わらせるので待っていてくださいね。』と。」
「わかりました。」
アリスが頷く。
「あの・・・こちらは確か・・・」
カサンドラがおずおずと聞いてくる。
「あ、この子は第2皇子ニールの長女でエイミー・ニール・アズパールです。」
「殿下、今度、第3皇子一家の相談役になりましたエリカ・キロスです。
こっちが従者のカサンドラ・ラバルです。
カトランダ帝国出身です。」
エリカの説明にカサンドラも会釈をする。
「はい、タケオさん達と合流した際にいらっしゃいましたね。
よろしくお願いします。
お姉様方、それにしても他国の者をよく側近にしましたね。」
エイミーがエリカ達に会釈してからアルマ達に聞く。
「まぁ、基本的にはうちの騎士団員2名と常に一緒にいて貰うし、監視はするわよ。
それにうちは一番新しい街だからね。いろんな意見が欲しいのよ。」
「そうですか。
第3皇子夫妻で決められたのでしたら第2皇子一家は特に言うことはありません。
ですが・・・この方達は側室候補なのですか?」
エイミーがエリカを見ながら言う。
「「え!?」」
エリカ達が固まる。
「ん?どうしてそう思うの?」
「他国から来たばかりの者を側近に置くのが異例です。
何かしら意図があるのではないかと考えます。
それに異例が服を着て歩いているようなタケオさんが連れてきたという所もそうですし、第2皇子一家に続いて第1皇子一家も側室を迎えましたので流れ的にもあり得るのでないかと。」
「あぁ、なるほどね。
でも今の所はないかなぁ。」
「そうね。
私としてはエリカさんが結婚をする気があって、尚且つウィリアムを気に入り、領地運営を考えてくれて、私達を蔑ろにしないならば・・・かな?」
アルマが考えながら言う。
「あ・・・あの、殿下の意思は入らないのですか?」
「ウィリアムは大丈夫よ。
エリカさんを気に入ったから。」
「そうなのですか?」
「ええ・・・あれは絶対に気に入っているわ。
レイラはわかった?」
「はい、挙動がおかしかったですね。
特に指ですかね?頻繁に指を擦り合せていました。
今までしたことがない動作でしたし、雰囲気が私に求婚した時に似ていました。」
「そう、レイラはそこでわかるか。
私はやっぱり目線ね。
レイラを王都に初めて迎え入れた時に似ていたし・・・何と言うか・・・とりあえずウィリアムは後で説教するわ。」
「私も参加します。」
レイラとアルマが頷くのだった。
「で、エリカさんは結婚をしたがっていましたが・・・どうなんですか?」
アリスが聞いてくる。
「んん・・・わからないわ。
自分で結婚相手を決めるなんてした事ないし・・・」
「そう・・・じゃあ、少しずつウィリアムの事を知っていって欲しいわ。
知った上で結婚は無理ならそれはそれで良いし、何か気に入る所があってウィリアムと合意の上なら結婚をしても構わないです。
無理を言って側室にすることではないし、あくまでエリカさんが気に入ればで結構です。盛大に振ってもらっても良いです。
ただし、側室になるなら私やレイラを蔑ろにしたりしない事とアズパール王国の事を第1優先にする事が条件ね。」
「アルマお姉様、随分と物分かりが良いですね。」
レイラがアルマを見ながら言う。
「はぁ・・・ウィリアムの状態を見ていればね・・・あれはまさしくレイラの時と同じよ。
なので、妃同士でイザコザなんかしたくもないし、いがみ合いたくもないわ。
私達第3皇子一家は『のんびりする』が家訓みたいなものですからね。わざわざ政争を起こす気はないわよ。」
「わ・・・わかりました。」
エリカがアルマを見ながら「王家の正室とはこうも懐が深いのか」と感心しながら頷くのだった。
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