第513話 王城での面談4(工房の面子。)
ヴィクター親子の面談の後、チーゴリ姉弟も面談をし、「タケオの下で学びなさい」という事で終わっていた。
ヴィクター親子もチーゴリ姉弟も武雄とアリスの横に椅子を持って来て大人しく座っていた。
そして今はカトランダ帝国から来た工房の面々がアズパール王達と各自の自己紹介が行われていた。
「さて、自己紹介も終わりましたね。」
武雄が朗らかに言う。
「うむ。
皆、タケオの要請を聞いて我が国に来てくれて感謝する。」
アズパール王が頭を下げる。
「いえ!私共の窮地を救って頂いて我々もキタミザト様に感謝しております。
この国で一旗上げさせていただきます。」
「そうか。そう言ってくれると出資者としても嬉しい限りだな。」
「アランさん、これが今回のお土産とこれからの主力商品になります。」
武雄はアズパール王と第3皇子夫婦、オルコットとクラークに懐中時計を渡す。
「あ!・・・これタケオさんの時計と同じね!」
レイラが懐中時計を見て驚く。
「ええ、まぁ簡単に説明しましょうか。
この懐中時計というのは」
武雄が懐中時計の説明を始めるのだった。
・・
・
「ほぉ、なるほどな。」
「タケオさん、ありがとう。」
「これは良い物を頂いたわ。」
「そうだね。
レイラもアルマも嬉しそうで僕も嬉しいよ。」
アズパール王と第3皇子夫婦は武雄から渡された懐中時計を眺めながら感想を言う。
オルコットとクラークも懐中時計を眺めながら「これは良いですね」と頷いている。
「ちなみにクリフ殿下とニール殿下には1個ずつお渡ししています。」
「そう。渡したのはおに・・・殿下方だけなの?
ご家族には渡してないのね?」
レイラが聞いてくる。
「はい。今の所、これ以上お渡しする予定はないですね。
そもそも50個しかないので・・・主家であるエルヴィス家の方々用とアランさん達へのお土産です。」
「そうか。エルヴィス家用のを譲ってくれてすまないな。」
アズパール王の言葉に王都側の面々が頷く。
「いえいえ。
それに私の時計を見てレイラさんが一番欲しがっていましたからね。」
「タケオさん、私が言った事覚えていたんだ。」
レイラが嬉しそうに言う。
「ふふ。」
武雄は笑みをレイラに返す。
「もう、流石、タケオさんね。」
レイラが若干照れながら懐中時計をマジマジと見ている。
「タケオさん、レイラの為にすみませんね。」
「いえ、ウィリアムで・・・さん問題はないですよ。
それに今度エルヴィス領の隣に来るのですから引っ越しに対してのご祝儀という面もあります。」
「はは。じゃあ、ありがたく頂戴しておきます。」
ウィリアムが嬉しそうに言ってくる。
「ふむ、でだ。タケオ、この懐中時計は良い物なのだが、今後の生産体制はどうなっている?」
「それは・・・えーっと・・・フリップさん、説明出来ますか?」
「は・・・はい!」
フリップ緊張の面持ちでが立ち上がる。
「緊張はしているでしょうが、あまり気にしなくて良いですからね?」
「わ・・・わかりました。
現在キタミザト様から月20個の製作依頼がされています。
我々だけでは20個は作れませんのでエルヴィス領に着き次第、その地の工房の方々に募集をかけ懐中時計の職人を養成と懐中時計の製作を開始し・・・早ければ4か月後には何とか月20個は出来る可能性はあります。」
「ふむ・・・早々量産は出来んか。」
アズパール王が腕を組んで悩む。
「とりあえず月20個の定期生産を確実にしてからだと思っています。」
「うむ・・・わかった。
価格はどうなりそうだ?」
「工房の面々からは原価表は頂いていますが、アズパール王国での原材料の仕入れ値によって変わるかと。
今の所、金貨7枚程度になるのではと試算していますが、多少上下する可能性があります。」
「ふむ・・・オルコット。」
「はい。キタミザト殿、その辺は専売局にお問い合わせください。
たぶん地方貴族への卸値の集計と管理もしていますのでわかると思います。」
「わかりました、後で聞きに行ってみます。」
武雄が頷くのだった。
「それとカトランダ帝国から来た面々には姓名の変更をしていただかないといけません。
先ほどキタミザト殿と一緒に向かった際に皆様には住民登録書をお渡ししましたのでご記入ください。」
オルコットが言う。
「わかりました。
フリップさん、皆さん大丈夫ですか?」
「「はい。」」
工房の面々が頷く。
「ん?もう決まってるのですか?」
「はい。」
「そうですか。
では、退出後にさっきの部屋で記入してください。
あとで私が持って行きますので。」
「わかりました。」
「うむ、それで良いだろう。
それとタケオ、研究所の試作品の製作もここがするのか?」
「はい、その予定です。
手に負えない物は他の工房に依頼するかもしれませんが、どちらにしても試作についてはここを通そうかと思っています。
で、本格的な生産となってから協力工房を募ろうかと。」
「ふむ、なるほどな。
悪くはないか。」
「そうですね。」
アズパール王とクラークが頷く。
「では皆、それで今後も励め。これで皆との面談は終わりとしよう。」
アズパール王の言葉に皆が頷くのだった。
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