第511話 王城での面談2(武雄とアリス2)
「ラジコチカについては我は関与しない。
エルヴィス領で面倒を見るのだから上手く扱え。」
「わかりました。」
「あとは・・・皇女か・・・はぁ。」
アズパール王がでっかいため息をつく。
「陛下、どうなりましたか?」
武雄も苦笑しながら聞く。
「取れる手段は2つ。
一つはタケオに面倒を見させる。
もう一つが」
「僕の側室にする。」
ウィリアムが苦笑しながら言う。
「ウィリアム殿下、随分と思い切りましたね。」
武雄が真顔で返す。
「皇女は将来の利用価値が高い為、王家で保護したいという考えはあるのは事実だ。」
アズパール王が目線を外して呟く。
「・・・アランさんとしてはどうですか?」
「うむ。折角夫婦仲が良いのに新たに他国の姫を入れて喧嘩が絶えないというのもな・・・」
「ウィリアム殿下、無理に結婚する必要はないかと思いますが?」
アリスが言う。
「そうなんだけどね。
この件は陛下とその周辺の者が知っていれば良く、兄上達には今は彼女の出自は秘密にしないといけないだろうし、ぐずぐず考えるだけの時間もあまりないと思うんだよね。
そのうえで一番早い解決策が僕の側室なんだよ。」
「タケオさん、他にも案はある?」
レイラが武雄に聞いてくる。
「・・・とりあえずウィリアム殿下の直属の部下にでもすれば良いのではないかと。
エリカさんは国政のような広い範囲の物事がわかる女性です。
位置付けはエルヴィス伯爵と私の関係である当主の補佐兼相談役として、魔王国に面している4領地の全体を見ながら素直な意見を言っていた方が良いのではないかと思います。」
「確かにそうかも。」
アルマが頷く。
「エリカさんを時間をかけて観察して、それで手を出すならそれはそれで。
違う男性と付き合うならそれはそれで元々なかった手札なのです。惜しくはないかと。」
「確かにね。
ウィリアムの側室・・・どうしようか。
その皇女は結婚する気はあるのですかね?」
「レイラお姉様、実はですね。酒の席での話なのですが・・・」
アリスはこの間の宴の話をするのだった。
・・
・
「んー・・・恋愛をしたことがないかぁ・・・」
レイラが腕を組んで悩む。
「でも、貴族の女子も大概恋愛はしないわよね?」
「「・・・」」
レイラとアリスは無言で「何言ってるの?」という顔をしてアルマを見ている。
「あれ?・・・レイラ、アリス・・・していたの?」
「そりゃ・・・まぁ・・・憧れ程度なら。」
「ええ・・・少しは・・・」
アルマの問いに2人はぎこちなく答える。
「どこで!?」
「アリス、普通は小さい時に恋心は抱くものよね?」
「ええ、そうですね。」
「ち・・・ちなみに・・・どんな人だったの?」
「え?私はパン屋のお兄さんでしたね。美味しい物をたくさん作ってくれました。」
「私は武器商店のお兄さんです。」
レイラとアリスが子供の頃の初恋に近い相手を言う。
「・・・良くそれでウィリアムの求婚を受けたわよね。」
アルマがため息をつく。
「ウィリアムの勢いが凄かったし・・・それに『それも良いかなぁ』とも思ったし?」
レイラが苦笑しながら言う。
「ウィリアム殿下、どういう言葉で求婚したのですか?」
武雄が聞いてくる。
「結婚してくださいと言いましたね。」
「・・・レイラ殿下、補足をお願いします。」
「夕飯の前の挨拶の時に開口一番『僕の妃として王都にきてくれませんか?』です。」
「アルマ殿下、一言お願いします。」
「いつか〆る。」
アルマはジト目でそう言い放つ。
「・・・」
ウィリアムは当時のアルマからの説教を思い出し若干うな垂れる。
「さて、夫婦仲が良い事は確かなのはわかったのだが・・・
ふむ、タケオの言った通りウィリアム付きの相談役・・・いや政策面の文官としてまずは採用しても良いのではないか?
領地異動で政策が出来る者は多い方が良いだろう。
それでウィリアム達が気に入ったら側室に入れても良いわけだし。
オルコット、クラーク、どうだ?」
「特には問題ないかと。」
オルコットが考えながら言う。
「側室にする場合の公式な出自をどうするかが問題になりそうですが・・・」
クラークも悩みながら言う。
「その時はクラーク、頼むぞ。」
アズパール王がにこやかに言う。
「はぁ・・・うちの養女としますか・・・」
「まぁ、すぐには起きないだろうからゆくゆ・・・起きないよな?」
アズパール王がウィリアム達を見る。
「レイラの前例があるからなぁ・・・」
アルマがガックリとする。
「お義父さま、私達が目を光らせますから当分は平気です。」
「うむ・・・頼むぞ。
さてと、じゃあ、タケオが連れてきた者達と会ってみようか。」
「畏まりました。
あ、キタミザト卿とアリス殿はあちらの席でお願いします。
キタミザト卿、一緒に呼びに行っていただけますか?」
「はい、わかりました。」
武雄は席を立ちオルコットと退出するのだった。
・・
・
オルコットを先頭に武雄も斜め後ろを歩いている。
「宰相殿。」
「オルコットで構いません、キタミザト殿。」
「ありがとうございます。
不躾な質問をしてもよろしいですか?」
「はい、何でございましょうか。」
「エルヴィス伯爵が種族によって差別をしていないと知っていてあの質問をしましたよね?」
「ふふ。
なぜそう思われますか?」
「オルコット宰相はフレデリックさんの同期ですよね?」
「ん?・・・ラムに聞きましたか?」
「はい。出立の際に魔法師専門学院の話をしていて、同期が宰相をしていると伺っています。
あのフレデリックさんが当主の偏見等を報告しないとは思わないのですけど。」
「ふふ、ラムも相当信頼されていますね。
確かに近況のやりとりはしているのでエルヴィス伯爵やその領内の出来事は知っています。
ですので、キタミザト殿が言ったように種族によって差別をする人ではないとも知っています。」
「では、なぜ・・・いや、あの場でという事が重要なのでしょうか・・・ならクラーク議長が?」
「本当にキタミザト殿は優秀です。
クラーク議長はウィリプ連合国に面している貴族の元文官です。」
「そうでしたか。
牽制をしたのですね。」
「ええ。彼自身は表立って差別をしているわけではありません。
ミア殿、クゥ殿が居ても騒ぐわけではないので差別等については穏健なのかと思われがちですが、出身貴族領やその周辺の貴族が募集条項に人間のみと記載をされていると聞いていますし、その影響があったとしても不思議ではないでしょう。
キタミザト殿、アリス殿には不愉快な思いをさせましたが、私にはそもそもエルヴィス伯爵を陥れる意図はありません。」
「わかりました。ちなみにオルコット宰相の出身はどこになりますか?」
「現在のテンプル伯爵家ですね。」
「そうでしたか。」
武雄は頷くのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




