第498話 クリフのお見合いとエイミーの婚活について。
クラリッサは極度に緊張していた。
心の中で「アリス・・・なぜ言ってくれなかったの?」とガックリしていた。
「あ~・・・クラリッサ?そんなに緊張されると困るんだが。」
クリフが苦笑する。
「いえ!!クリフ殿下!お気遣いありがとうございます!!」
「おかしいわね・・・なんでそんなに緊張するの?
前から私達を知っていたじゃない?
それにここ数日は一緒に食事もしていたし・・・」
ローナが首を傾げる。
「私達何も変わっていないですよね?」
セリーナも夫婦の周りを見て確認してから首を傾げる。
「その・・・まさか・・・お見合いの相手がクリフ殿下だったとは思いませんでした。」
クラリッサは少し挙動不審になりながらそう呟く。
実は武雄達が遊びに行ってしまったので暇になったクリフ達第1皇子一家はお見合いをしていた。
ちなみにアンはエイミーに預けています。
まぁ実際の所、アリスが呼ばれなくてもここでお見合いをする気ではあったのだが・・・
クラリッサは朝一番にアシュトン子爵から「お見合いをして来い」とこの場に送り込まれた。
お見合い自体は昨日、武雄とアリスから聞いていたクラリッサは「近くには来ていたんだね」と全く気が付かずにこの部屋で待っていたらクリフとローナとセリーナがやってきた。
で、唐突に「じゃ、お見合いしましょうか。」と言われてこの状況になっていた。
「わ・・・私を側室候補に選んだ理由は何でしょうか?」
クラリッサがおずおずと聞き始める。
「そうね~・・・選定時の審査基準は複数あったわね。」
「家、年齢、病歴、見た目・・・一番は評判。」
ローナとセリーナが言う。
「評判ですか?」
クラリッサは自分にどんな評判があるかは知らない。
「街中の評判は『明朗快活』『領民思い』『才女』・・・だったな。
あとは昨日、タケオとアリスと話したな。
その2人の評価。」
クリフが言う。
「ふ・・・2人は何と言っていましたか?」
クラリッサは街中の評判よりも武雄達からの評価が気になる。
「・・・タケオさんからは『面白く考えが王都向け』、アリスからは『領民思い』・・・
総じて見合いの相手に相応しいと判断していたわ。」
ローナが言う。
「そ・・・そうですか。」
クラリッサはホッとする。
「タケオとアリスとはどんな会話をしたのだ?
2人は最近、婚約したばかりだからな。何か面白い話はしていたか?」
クリフは微笑みながらクラリッサに話題を投げ掛けお見合いを始めるのだった。
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第2皇子一家の部屋にて。
「お見合いはどんな感じなんだろう?」
ニールとリネットとお茶をしていたエイミーがボソッと呟く。
アンとクリナは昼寝中。
「エイミー、気になるか?」
ニールが楽しそうに言ってくる。
「他人の見合い話は楽しいですよね~」
リネットも言ってくる。
「・・・気にはなります。」
エイミーは考えながら答える。
「・・・スミスがダメなら見合い相手を探さないといけないのか・・・」
ニールが呟く。
「またですか父上・・・まだスミスとは会っていないんですよ?」
エイミーがため息をつきながら言う。
「んん~・・・」
ニールはエイミーの言葉には反応せず腕を組んで考え出してしまう。
「まぁ、どんな物か経験してみるのも大事じゃないかしら?
タケオさんも言っていましたが、見合いだろうが恋愛であろうがそれは出会いの種類でしかないのですから。」
リネットがエイミーに言う。
「でも父上的にはスミスが良いのでしょう?」
「子の将来を親は心配するものよ。
私は心配をかけさせ過ぎたんですけど・・・
女の子を持つ親の望みは大体が『苦労しないだろう家に嫁がせたい』でしょうね。
タケオさんとアリスが居て領内が発展するのはわかっているし、学院を卒業後の早い段階で当主になるであろうエルヴィス家のスミスは超が付くぐらい有望株なのは確かね~。」
リネットはのんびりとお茶を飲みながら言う。
「お母様、確か5回もお見合いをしたようですけど・・・何で決めなかったのですか?」
「・・・なんでエイミー殿下は私の見合い回数を知っているのですか?」
リネットが恐る恐る聞き返す。
「アストリーが涙ながらに言っていました。
『6回目にしてやっと・・・こんなに嬉しい事はありません・・・これで私はやっと隠居です♪』と私に言いましたよ。」
「あの親父・・・隠居させてなるものか。」
リネットの地が出る。
「お母様・・・口調。」
「えーっと・・・父は死ぬまで働かせましょう。」
「違います。」
「うぅ・・・父には・・・まだまだ隠居なんてもったいない・・・ので後輩の指導をして貰い・・・これからの領地の礎を作って貰いましょう?」
リネットがたどたどしく聞いてくる。
「・・・まぁ、そのぐらいでしょうか。
お母様、セリーナ妃とレイラ妃はそのぐらいは軽く隠して言ってきます。
見落としてはなりません。
あのお二方は皇子が不在時の代理を務める事になっているはずです。
政治にも政略にも長けています。」
「・・・無理!」
「平気です、何とかなります。
それにレイラお姉様はお母様より年下ですよ?」
「年は関係ないです!経験値が段違いですよ!
妃方の経歴は読みました!レイラ殿下はエルヴィス家の次女。
早々に母親を亡くし姉妹一丸となって長男を育て、父であった当時のエルヴィス伯爵の補助をしていたのでしょう?
私はただの兵士です。勝てるわけありません!」
「勝てる勝てないではないですよ?
平穏無事に話してくるのがお仕事です。」
「うぅ・・・どうすれば良いんですか?」
「お母様、最終的には慣れです。」
エイミーは達観した顔で言い放つ。
「そんな慣れは嫌です・・・」
リネットは涙目になりながら答える。
「はぁ・・・これは時間がかかるかなぁ・・・
まぁ、王都に行けば少しは変わるかもしれないか・・・」
エイミーは「結婚式が終われば例の3日3晩の妃のみで宴があるし」とも思う。
「で?お母様、お見合いで何で決めなかったのですか?」
「直感というか・・・価値観かなぁ。
私が考える事と向こうが考える事の齟齬が多くてね。
何と言うか・・・長年付き添えないなぁと思っちゃいました。」
リネットが苦笑する。
「そういう物ですか。」
「私の場合はそうでした。」
「よし!決めた。」
リネットとエイミーの会話外にいたニールが声を上げる。
「何を決めたのですか?」
「ん?エイミーの事を再びタケオに相談する!」
「タケオさんもその件には関与しないと言ったのでしょう?
私とスミスに任せると言ったとこの間言っていたではないですか?」
「ああ言った。
だが関与はしないが俺の相談には付き合わないとは言っていない!」
「まぁ・・・そうですね。
で、何を聞くのですか?」
「秘密。」
「「秘密!?」」
「ふふん。大人の男同士で相談させて貰おう。」
何やらニールが悪だくみをし始めるのだった。
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