第492話 さて行動を開始しよう。
アリスが時計を見ている。
「タマちゃん、時間です。」
「ニャーーーー!!!!!」
タマの雄たけびが炸裂する。
武雄は黙想を止め目を開け再度構える。
狙いは右端のリザードドラゴンの口・・・
息を吐き、止め・・・引き金をひくと「ドンっ」と音が響き・・・リザードドラゴンの後方の木に当たり爆発する。
「タケオ様!」
アリスが驚きの声を上げる。
武雄は構えながら考える。
後ろの上か・・・
物理の法則だと必ず放物線が描かれる。調整したのは500m。今は250~300m・・・だから上なのか。
ついでに言えばこれがエアロウォールの影響かもとも思う。
次に狙うのは・・・
後ろを見たリザードドラゴンがこちらを向くのがわかる。
「首の付け根か。」
武雄はそう呟くと同時に引き金を引く。
今度は首の上・・・頭の付け根に命中し、弾丸の威力なのだろうか後ろの木まで頭部から炎を出しながら飛ばされる。
そして木に思いっきりぶつかると木の根元に腰を落とし、ダラリとうな垂れ、口が半開きになる。
「・・・今度は少し上に着弾・・・ならば。」
武雄はそう呟くと同時に引き金を引く。
今度は口に命中し爆発する、爆風と共に頭を後方の木に強く打ち付け全く動こうとしない。
「アリスお嬢様、終わ・・・あれ?」
武雄が顔をスコープから上げるとアリスが魔眼を発動させて一直線にリザードドラゴンに駆け寄っていくのが見えた。
「・・・置いてけぼりですか?」
武雄は立ち上がり、アリスを追いかけるのだった。
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3発目の発砲音が聞こえてからヴィクター達は走り出していた。
「お父さま!アリス様が!」
ジーナがヴィクターに言ってくる。
「わかっている!ジーナも魔眼を使え!
こちらも遅れないように!」
「「ニャ!」」
「はい!」
ヴィクター達はハイオークを目指すのだった。
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「・・・第一目標沈黙、アリス殿が追撃の構えです。
ヴィクター殿達も行動を開始しました。」
アーキンがマイヤーに報告する。
「了解。
与えられた任務を最速で完遂する。
行くぞ!」
「「「「はっ!」」」」
マイヤー達も動き出す。
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アリスは両手で左下にバスタードソードを構えながら走っていた。
目指すはリザードドラゴン。あと十数歩の所まで来ている。
「タケオ様が言う・・・弱点の口を狙う!」
アリスはそれだけを考えていた。
と、オークが攻撃をしてこようとこん棒を片手で振りかぶっているのがわかるが、アリスは気にもせず、走るスピードは落とさない。
「グォォ!!」
オークが上段からこん棒を降り下ろすが、アリスは体を捻り軽くかわしながら走り込む。
リザードドラゴンはさっきから動かない。
「だめ押・・・し!」
アリスは右足を踏み込み、深紅色のバスタードソードをリザードドラゴンの口に斬り込む。
剣はアリスの思惑通りの位置に滑り込みリザードドラゴンの口に横から斬り込むが外皮の固さで裂けない。しかし走り込んで威力が上がっているバスタードソードを受けているので、リザードドラゴンの頭を挟んだ後ろの木が折れ、リザードドラゴンが頭部を燃やしながら斬り飛ばされる。
「硬っ!」
アリスはリザードドラゴンの顔半分は取れるだろうと思っていたが、体全体が吹き飛ぶだけの結果に驚く。
さらにリザードドラゴンに斬りかかろうとするが、オーク3体に囲まれる。
「「「グォォ!!」」」
各々が攻撃し始めようと振り被るが。
「邪魔!」
アリスは瞬時に少し屈み足に力を入れる。
そしてオーク達の正面を横に走る形で左のオークの右下腹から左脇に、真ん中のオークの右脇から左鎖骨辺りをバスタードソードを片手で操り一気に切り上げる。
と、今度も切り裂いた所から炎が出る。
左と真ん中のオークは絶命。
「グォォ!!」
残りの右が仲間が倒されている事も気にせずにこん棒を振り下ろしてくる。
と、唐突にオークの首が吹き飛ぶ・・・正確には左肩から首が吹き飛んでいた。
アリスは瞬時に周りを確認。
「タケオ様!」
アリスから数十mの所に武雄がしゃがんで小銃改1を構えていた。
と、「「「グォォ!!」」」
左側ではコラとモモがオークの首に飛び掛かり瞬時に絶命させ、ヴィクター親子もハイオークの首に斬りつけ2体とも地に倒していた。
「アリス様!」
ジーナが声をかけてくる。
「皆!木を背にしなさい!
後続が来ます!オーク達を外に!」
「「はい!」」
「「ニャ!」」
その場の全員がオーク討伐を開始する。
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「道!出来ています!」
アーキンが走りながら大声を上げる。
「全員突撃!
ブルック、フォレット、行くぞ!」
「「はっ!」」
マイヤー達一団が一気に対象の木に向かう。
木まであと2mの所でマイヤーが飛び込み、両手を地面に付け前転する。
傍から見ると飛び込み前転のような体勢だ。
するとマイヤーが手を付いた周辺2mの地が割れ爆発する。
ブルックとフォレットは爆発の勢いを借り一気に木の中腹まで飛び木にいる要救助者に『スリープ』をかける。
「!?
フォレット!右!」
「はい!」
瞬時に2人は対象者が2名と判断し別々にかけるのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
 




