第487話 武雄の概要3。(研究所の立地と技研の草案。)
「なるほど、トレンチコートの工場が街南に出来るのですか。
で、研究所を庁舎街の端の倉庫を立て直しで対応するのですね。
スミス坊ちゃんが街北案の救済策を要請ですか・・・」
武雄が報告書を見ながらウンウン頷いている。
「ならさっきの喫茶店はこの研究所の1階に作りましょうか。
皆の息抜きにもなるでしょうし。」
「え?タケオ様、もう決めるのですか?
料理人達はどうするのですか?」
「帰ってから公募でもしますかね。
まぁ簡単な間取りも入っていますから後で簡単に記入してエルヴィス伯爵に送りますかね。」
「マイヤーさん、アーキンさんとブルックさんとは後でいろいろ話をして最終確認をしておいてください。
私的には本人の希望に沿うつもりです。」
「「「わかりました。」」」
マイヤー達が返事をする。
「さてと。話が逸れましたが、研究所は物の考察をする場と考えています。
まぁ簡単に言えば基礎理論だったり新しい武具の発想ですね。
そしてこれを試作する工房が必要なんですが。」
「私達ですね。」
ビセンテが答える。
「ええ。
フリップさん率いる工房ですが・・・工房の名前決めましたか?」
「実は良い名前が出て来なくてですね。
ビセンテ工房、シントロン工房、ステノ工房・・・なかなか意見がまとまらなく・・・
キタミザト様、何か良い案はありますかね?」
「フリップさんが率いるなら『ステノ技研』とでもすれば良いのではないですか?」
「ステノ技研・・・技研とは何でしょう。」
「技術研究の略です。
私が勝手に言っているだけなので、工房の名前は皆で決めてください。
ただ何となく『技研』という言葉が言いたかっただけですので。」
「わかりました。」
「「技研・・・かぁ。」」
フリップ以外の皆が悩み始める。
「私からあなた方職人達には3つの事を依頼します。
1.懐中時計の製造(月産最低20個以上)
2.小銃と弾丸の製造(月産2000発以上)
3.王立研究所から依頼される試作品の作成(都度・・・たぶんいっぱい)
以上になります。
さらに自分達が作りたい物もあるでしょうから・・・あれ?やらないといけない事がわんさかありますね。」
武雄が工房の面々ににこやかに言ってのけるが・・・工房の面々はガックリとしていた。
「ふふ、カトランダ帝国時代の様に暇があると思わない事ですね。
仕事は山ほどあります。
暇だなぁとは言えないくらいの仕事をあげますからね。
過労で倒れる前にちゃんと職人の育成をするようにしてください。」
「・・・わかりました。」
フリップが頷く。
「そして鈴音。」
「はい。」
「どうしますか?」
「親方とも話をしたのですが、私は武雄さんの研究所に入ろうと思います。」
「わかりました。
鈴音、研究員として頼みます。
王都に着いたら上司を紹介しますので具体的にやることを考えましょう。」
「わかりました。」
鈴音が頷く。
「あとは街北の救済案ですか・・・
街北にフリップさん達の工房兼住居を用意しますかね。」
「工房兼住居ですか?」
「この際フリップさん達の工房を中心とした工房街を作ってしまおうか・・・
いや、まだ早いか・・・でも流通という視点だと・・・道の問題もあるのか・・・」
武雄は1人ブツブツ言う。
「キタミザト様が何やら思案しているのじゃ。」
「あぁ、タケオ様はいつもこうですから気になさらずに。」
シントロンの呟きにアリスは苦笑しながら言ってくる。
「タケオ様、タケオ様、こっちに戻って来てください。」
「ん?・・・あぁ、そうでしたね。
じゃあ、まとめとしてですね。
私はエルヴィス伯爵家の元で領地の発展を目指しています。
そしてアズパール王国から武器の開発というお小遣いも貰っています。
ですのでいろいろ人材を集めているのです。
何か質問はありますか?」
「えーっと・・・今の所はないです。
一気に説明をされたのでまずは整理したいと思います。」
ビセンテが答える。
「それで良いでしょう。
フリップさん。」
「はい。」
「工房に必要な物・・・例えば簡単な炉とかが必要なら今のうちに言ってください。
エルヴィス伯爵に伝えて検討して貰います。」
「わかりました。
あとで必要な物を書いてお渡しします。」
「はい、お願いします。
エリカさんはどうですか?」
「ん~・・・ないですね。
タケオさんが貴族になって国のお金で遊んでいるというのはわかりました。」
「ふふ、そうですね。
まぁどちらにしても後には引けないですよ。
私も国に対して結果を求められるでしょうが・・・あとは皆さんの頑張りに依ります。
で、エリカさんがやりたい事は見つかりましたか?」
「も・・・模索しています。」
「はは。まぁ今は旅をのんびりと楽しんだら良いでしょう。
あ、そうそう、明日の朝は私達はちょっと狩猟に行ってきますから。
フリップさん達とエリカさん達はのんびりと寝ていてください。」
「何かあったのでしたね。」
「オーク達が集結しているらしいので・・・食材を確保してきます。
コラ達にお腹いっぱいになって貰わないといけないですからね。」
「「なるほど。」」
フリップさん達とエリカさん達は頷くのだった。
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