第484話 武雄の提案。
「・・・タケオ、それはどうなんだ?」
ニールが苦笑をする。
「父上、タケオさん達を動かしたいならそれしかないのではないでしょうか?」
エイミーがニールに向かって言う。
「事務的にはどうなんだ?」
クリフが文官に聞く。
「・・・確かにそれは出来ます。」
文官が悩みながら答える。
その場の面々が腕を組んで悩むのだった。
武雄の考えは冒険者組合を通して依頼するという至って簡単な物だった。
それも「町の食料が不足気味につきオーク等の肉を採って来ること」というランクBかCで行える内容になっていた。
武雄的には別に大義名分なのでどうでも良くアリスが行きたいと言っているので出した案だった。
「ちなみにマイヤーさん達はランクは何ですか?」
「私達は全員Bランクです。
王都守備隊になると自然とBランクのカードが貰えます。」
「私とアリスお嬢様がAランクですから皆でいけばBランクになるのでしょうかね?」
「「え?」」
王家の面々が驚く。
「何でしょうか?」
武雄が皆を見る。
「アリス様はわかるのですけど、タケオさんもAランクなのですか?」
「らしいですよ。
ほら例の襲撃での成果らしいです。
実際の所、ランクなんてどうでも良いのですけどね。」
「まったくです。」
武雄とアリスがため息をつく。
「いやいや!タケオさん!Aランクだと上位15%・・・もしかしたら10%以内の上位ですよ!?
なんで最初に言ってくれなかったのですか?」
「・・・大して言う事でもないかと・・・」
武雄はエイミーの言葉に「何を驚いているの?」と不思議そうな顔を向ける。
「・・・いつか教えます。」
エイミーがガックリとする。
「で、タケオ、その依頼を受けるとしてどうするのだ?」
ニールが武雄に聞く。
「事態が動かなければ基本は明日の朝見に行って観察するだけかと。
王都からの増援前に事態が動けば対応するとしか言えませんね。
文官殿、そのぐらいしか私達はできませんけど・・・どうでしょうか?」
「十分でございます。」
文官が頭を下げる。
「万が一、夜の間に動いたら?」
「すみませんが、私達は動きません。
この町で防衛戦をします。
各村の防御で時間を稼いでいただき王都の増援を待ってもらうしかないでしょう。」
「ふむ・・・難しいな。
だが、明日の朝からタケオ達が監視に行くのは戦力的にはありがたいな。」
「ですが、あくまで事態が動いた際の対処だけします。
文官殿・・・依頼内容に不達成の際の罰則はありますか?」
「入れない事も出来ますので、問題なく対処いたします。
それに報酬ですが・・・移動方法は馬等が入り用と考えますので諸費用という形で私の権限でお支払い出来るだけの金額を入れさせて頂きます。」
「報酬は出来高払いで結構です。
戦闘をしない事もあり得ますので、その際は不達成の無報酬で構いません。」
「よ・・・よろしいのでしょうか?」
「はい、構いません。
ちゃんとオークの肉等を手に入れられたのなら報酬は頂きますけどね。」
「わかりました。
では・・・すぐに冒険者組合に依頼をしますので、宿への帰り道にお寄りください。」
「わかりました。」
武雄がそう言うと文官と兵士達は席を立ち退出していった。
・・
・
「・・・大丈夫か?」
ニールが武雄に聞いてくる。
「万が一の際の問題点は魔法師だけかと。
その辺はマイヤーさん達に任せます。」
「はい、どんな魔法師が相手でも我らが抑え込みます。」
「アリスお嬢様と私はオークの掃討をします。」
「はい。
タケオ様は接近戦をしますか?」
「んー・・・序盤で小銃改1でリザードドラゴンを吹っ飛ばせたら良いですね。」
「キタミザト殿、皮がドラゴン並みに固いのですけど・・・」
マイヤーが呆れる。
「それは外皮だけでしょう?
物を食べている時点で口の中や内臓は生身だと思いますから・・・
最低でも口の中に小銃を突っ込んで撃てば絶命するでしょう。」
「・・・」
武雄の言い草に皆が押し黙る。
「あれ?何かありましたか?」
「いえ・・・そういう発想はした事がないので・・・
そこまで近づけるでしょうか?」
「そこはほら。」
「私が道を作ります。」
アリスがやる気満々で言う。
「かなり安全な道ができますね。
まぁ雑魚は私達がやりますからマイヤーさんは魔法師の束縛に全力を傾けてください。」
「わかりました。」
「主、私とジーナはどういたしましょうか。」
「2人とも私達と共に雑魚を片付けます。
クリフ殿下、ニール殿下、申し訳ないのですが。」
「職人達だな、問題ない。
うちの警護兵でちゃんと守らせよう。」
クリフが武雄に言う。
「ありがとうございます。」
武雄が礼を言う。
「ではタケオ、済まぬが対応してくれ。」
「はい、畏まりました。」
武雄が挨拶をするとマイヤー以下武雄達一行が席を立ち退出して行く。
エイミーは武雄達を見送りながら「第2騎士団と同じ戦力を向かわせるの?」と思うのだった。
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