第482話 さっきの反省会。
アリスとクラリッサが退出して少し経ったのち。
部屋の扉がノックされる。
「どうぞ。」
武雄が返事をすると王家の面々が入って来る。
「タケオ、上手く行ったな。」
ニールが楽しそうに言ってくる。
「タケオさん!感動しました!」
エイミーが武雄に駆け寄り唐突に感想を言ってくる。
「はいはい、とりあえず皆座りましょう。」
ローナが皆に着席を促し、各々席に着く。
ローナとセリーナとリネットがお茶を配膳していく。
・・
・
「・・・もうすぐアリスも戻るかしら?」
席についたセリーナがそう呟いた時、部屋の扉がノックされ、武雄が返事をするとアリスが入って来る。
「タケオ様、皆さま、戻りました。」
「「おかえりアリス。」」
ローナとセリーナが答える。
他の面々も労いの言葉を口にする。
アリスは自分用にお茶を入れ武雄の横に座る。
「アリス、タケオさん、お疲れ様。」
「あの・・・話が随分と脱線したのですが、大丈夫でしょうか。」
「十分よ。私達ではああは行かなかったでしょう。
クラリッサの人となりは少しわかったわ。」
セリーナが言うとローナも頷く。
「クリフ殿下、どうでしたか?」
「うむ・・・タケオ、クラリッサの印象はどうだった?」
「私の意見ですか?
面白い子ですね。
考えもしっかりしていますし、見た目も可愛かったですね。」
「タケオさん的には王家に入れても良いと思う?」
ローナが聞いてくる。
「さて、そこまでの判断は私では出来ませんが・・・
少なくともアリスお嬢様との議論で政策を言っていましたが、割りと王都向けの考えだったのではないかと思います。
アリスお嬢様はどう思いましたか?」
「私は・・・考え方が違うので何とも言えないです。
ですが、少なくとも領民の事をちゃんと考えられる者ではないかと思います。」
「確かに搾取するような者ではないのはわかるわね。」
セリーナが頷く。
「それにしてもタケオさんのアリス様への覚悟は良いです!
『20年後にアリスお嬢様こそ運命の人だったんだと言えるように過ごして行く』と言うのは感動しました!」
エイミーが満面の笑みで言う。
「夫婦になってみるとタケオさんが言いたいことはわかるわ。
まさに夫婦とは育む物よね。」
ローナがウンウン頷く。
「でも子供の頃は『運命の人』に憧れましたね。」
リネットがため息混じりに言う。
「そうなのか?」
ニールはリネットに聞く。
「はい。乙女は誰しも『いつか運命の人が現れる』と思うものです。」
「ん~・・・クリフ兄上、わかりますか?」
「正直、私はローナもセリーナも幼なじみだったからな。運命の人という感覚はなかったな。」
「そうですか。
私も運命の人という感覚はわからなくてですね。
タケオはわかるか?」
「はい、わかりますよ。
私も昔はそう思っていたので。」
「「え!?」」
女性陣が驚く。
「ちょ・・・ちょっとタケオさん。
じゃあ、なんであんなに正反対な考えになるの?
普通ならそのまま行くんじゃないの?」
ローナが聞いてくる。
「えーっと・・・童話本の解説をしてくれた方が居てですね。
その人が言うにはこの本の概要は『運命の人は突然出会うわけではない。相手を大切にしながら過ごした時間が少しずつ相手を運命の人にしていくんだ』という教訓じみた話なんだよと言っていましてね。
それを聞いて大いに納得したんです。」
「その本は何ていう本なのですか?」
「んー・・・何でしたかね。
その言葉が凄く印象的で残っているので・・・王都に戻ったらレイラさんに聞いてみましょうかね。」
「レイラお姉様にですか?」
エイミーが聞いてくる。
「はい。レイラさんなら知っていそうですし、知らないならその手の本も書いてくれそうですからね。」
武雄は朗らかに言う。
「なんだぁ、タケオさんも誰かの言葉を借りたのかぁ。」
ローナがため息を漏らす。
「はは。人の考えなんて誰かが話した事や考えた事を見聞きしてそれを言っている物がほとんどですよ。
重要なのは『自分が考えた』事ではなく、その考えに『自分がちゃんと納得しているのか』という所です。
他人が言っているから自分も言うというのはここにいる人達が取って良い行動ではありません。」
武雄がローナに向かって言う。
「確かにタケオの言うとおりだな。
どんな話でも自分の意思で話す事が重要だろう。」
クリフが頷く。
と、部屋の扉がノックされる。
「構わぬ。」
クリフが返事をするとマイヤーとヴィクターとジーナとミア、そして文官と兵士2名が入って来る。
「失礼いたします。クリフ殿下、ニール殿下、妃方、キタミザト殿、アリス殿。
ヴィクター殿が戻りましたので参りました。」
「「うむ。」」
「ご苦労様です。
マイヤーさんは座ってください。
あと、ヴィクター達はこっちに。」
「はい。」
「タケオさん、その方々は?」
リネットがヴィクター達を見ながら聞いてくる。
「ヴィクターとジーナと言います。
カトランダ帝国で雇った私の執事です。」
「首輪がありますけど・・・まさか奴隷ですか?」
エイミーが難しい顔をさせながら聞いてくる。
「ええ、買いましたね。
その辺の経緯はクリフ殿下に話していますし・・・
この場で詳細な説明は省きます。」
「うむ。リネット達には私から話しておく。」
クリフが頷く。
「「わかりました。」」
リネットとエイミーが頷く。
「ではヴィクター、現場はどうなっていますか?」
「はい、ご説明いたします。」
ヴィクターが見てきた事を報告するのだった。
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