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第475話 クリフとニールの雑談。

宿の少し大きな一室にクリフとニールがお茶をしていた。

もちろん警護兵も何人かいるのだが、2人とも気にしていない。

「クリフ兄上。

 さっきの話では新しいソースをタケオが見つけたと言われていましたが、どうでしたか?」

「タケオは凄いと改めて思ったぞ。」

クリフは楽しそうに頷く。

「はは、エルヴィス家は益々繁栄しそうだな。」

「まったくだ・・・あの商才はどうやって育んできたのか聞きたいものだな。」

「聞いて参考になるんだろうか・・・」

ニールは目線を落としながら呟く。クリフも「参考にはならないだろうな」と諦めモードだ。

「で、さっきエイミーがアリスと会ったそうですが・・・クリフ兄上が呼んだとか聞いたんですけど。」

「先だっての側室の話の延長でな。

 アシュトン子爵の孫娘が1番の候補なんだが・・・」

「アリスに聞かせるのですね。

 まぁ俺は決められてしまいましたから・・・クリフ兄上は慎重に選ぶのでしょう。 

 次期王の嫁は大変そうです。」

「ニールやウィリアムだって大変なんだぞ?

 西はニールが、東はウィリアムがそれぞれ総大将になって貰い即応体制を作り、私が中央を動かしながら後詰めや応援、補給を受け持つだろうな。

 それに偵察やら情報収集やらは王都でもするだろうが基本的には面している貴族が受け持っているはずだ。

 まぁ魔王国は情報偵察自体が危険だからしてはいないが、エルヴィス伯爵とゴドウィン伯爵が偵察が出来ない代わりに国境監視に重点を置いてくれているからそこまで大変ではないだろう。

 ウィリプ連合国は現状のままだが、カトランダ帝国の情報はこれからニールが受け持つからな。

 負担が相当大きくなるから覚悟しておけよ。」

「判断がつかないと思ったら王都に丸投げしますからクリフ兄上よろしくお願いします。」

ニールが楽しそうに言う。

「まぁ状況が悪化しなければそれも良いぞ。

 今の貴族制度では多少の独断専行はしょうがないからなぁ。上手く兵士を移動出来るようにしないといけないかもな。」

クリフが苦笑しながら答える。

「タケオから何か聞いたのですか?」

「どうしてだ?」

「いえ、兵士のやりくりの話がさっから頻繁に出てきているので。」

「ふむ・・・そうだな。

 詳しくは王都でタケオが父上に報告するだろうが、簡単に話すか。」

クリフはニールに武雄が報告してきた事を説明するのだった。

・・

「カトランダ帝国が何かを狙っているのは確かそうですね。」

クリフの話を聞いたニールが思案しながら言う。

「そうだ。だが、タケオの言うとおり負けない国家を作る事に尽力するしかないだろう。

 なので、迅速に兵士を国境に増員出来るような事を考えないといけないと思っている。」

「そこが基本なのはわかりますが・・・」

「何かあるのか?」

「いえ、その話を聞いていてふと思ったんですけど・・・

 カトランダ帝国がウィリプ連合国に攻め入った際に我らもウィリプ連合国に侵攻するべきなのかもと。」

「ふむ・・・どうする気だ?」

「俺が思い描くのは内陸地はカトランダ帝国に侵攻させ、ウィリプ連合国の主力を相手にして貰う。その間に我らは海に面している地域を占領していく。

 もちろん侵攻速度はカトランダ帝国が先頭で。」

「・・・なるほど、塩を作らせない訳だな。」

「はい。そうすることで戦後の輸出品が出来るのではないかと。」

「なるほど。

 だが、侵攻するには兵力が足らないな。」

「ええ。我が国は守りきる為の兵力しかありません。

 西側全域で増員させる事は兄上は可能だと思いますか?」

「可不可で言うのであれば可だが・・・

 実際は財政がどのくらい持つかだな。」

「ですが一度、本気で検討する価値はあると思います。」

「そうだな。王都で皆で考えてみようか。」

ニールの考えにクリフも同意する。

と、扉がノックされクリフが返事をすると文官が入ってくる。

「両殿下、事態が概ねわかりましたので報告に参りました。」

この文官は王都から派遣されたこの町を統括している文官達の中では一番上で町長代理みたいな者だった。

「ご苦労。で、どんな感じだ?」

ニールが聞く。

「はっ!

 森の端にハイオーク2体、オーク10体、リザードドラゴン1体が集結しています。」

「リザードドラゴン?何でこんな所にいるんだ?

 あれはアズパール王国の南東のテンプル伯爵領の東とゴドウィン伯爵領南の魔王国に面している森が生息地だろう?

 確証は高いのか?」

ニールが聞く。

「テンプル伯爵領出身の兵士に確認させましたが、間違いないと。」

「ふむ・・・ほぼ確定か・・・

 奴らの動きはどうだ?」

クリフが訊ねる。

「実は・・・動いておりません。

 先程、6回目の報告を受けましたが、位置を変えていません。」

「・・・なぜだ?・・・いや何処かが襲われる事を望んではいないが・・・不可解だな。

 少なくともオーク達は村を探すと思うが・・・」

ニールが思案する。

「現在取っている対策は?」

クリフが聞く。

「現在、半個小隊による監視を継続しています。

 巡回小隊が丁度この町に来ていますので、そちらでとりあえずの対応は出来ると考えますが、リザードドラゴンがいる関係で苦戦が予想されます。

 まずはこの町の兵士を近隣の村へ向かわせ臨時の防衛網を築く手はずとしました。

 両殿下には申し訳ございませんが、この町の兵士は捜査系の兵士以外は出払っております。

 現在、王都の軍務局に増援要請中です。」

文官が難しい顔をして答える。

「了解した。

 近隣の村を守ることに全力をあげよ。

 万が一こちらに来るなら我らも対応する。

 ・・・流石に町長ぐらいでは我らもタケオもアリスも動かせないからな。

 そういう対応しかないだろう。」

クリフがため息をつく。

「両殿下、申し訳ございません。

 本来なら両殿下の護衛兵を当てにしてはいけないのですが・・・」

文官が深々と頭を下げる。

「構わん。

 こんな王都に近い所でハイオークやリザードドラゴンが居るとは考えないだろう。

 むしろ我らが来ていて良かった。」

ニールが苦笑する。

「両殿下、本当にありがたく・・・感謝いたします。」

「まぁこの町は大丈夫だろう。タケオとアリスが居るからな。」

クリフも苦笑する。

「新任のキタミザト卿と鮮紅殿でしょうか。

 キタミザト殿は王立研究所所長、アリス殿はエルヴィス家ご令嬢・・・私では依頼も出来ません。

 お2人ともご気分を悪くする事がなければ良いのですが・・・」

文官は困った顔をさせる。

「問題ないのではないか。

 あとで2人とも来るだろう。その際に説明して納得させれば良い。

 2人とも聡明だからな、安心しろ。」

「はっ!」

文官はクリフとニールに頭を深々と下げるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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