第470話 王都守備隊の打ち合わせとチビッ子達の時間。
各々が部屋へと向かいのんびりとしているはずだった。
マイヤーと王都守備隊の4名とチビッ子達がマイヤーの部屋に集まりソファーに座りながらのんびりと話をしている。
「マイヤー殿、帰還しました。」
ブルックがそう言い、フォレットが頷く。
「ご苦労。総長には報告をしたか?」
「簡易報告をしました。
また、陛下と第3皇子一家にも説明をしています。」
「なるほど。
反応はどうだった?」
「良好です。
工房については何もなく。
ヴィクター殿達は魔王国の情報を引き出す事を条件に認める意向です。
タマ殿達も認められました。
エリカ殿が・・・」
「皇女か・・・」
「陛下もおそらく第3皇女だろうと結論付けていました。
またヴィクター殿達とエリカ殿達に会いたいとの意向があります。
なんでもキタミザト殿と会った時と同じでとの事なのですが・・・
陛下とキタミザト殿の出会い方法とはなんでしょうか?」
「あぁ・・・陛下とウィリアム殿下が身分を誤魔化したんだ。
レイラ殿下が楽しそうに決めたそうだ。」
マイヤーが苦笑する。
「それは・・・とっても面倒ですね。」
アーキンが言う。
「あぁ、だから王都で知った時のキタミザト殿は可哀相なぐらいショックを受けていてな。
ほら第2騎士団の戦闘を止めた際に発覚したんだよ。」
マイヤーが苦笑する。
「それは・・・死を覚悟しますね。」
バートが頷く
「あぁ。しかし一番オロオロしていたのは陛下なんだがな。」
「まぁ陛下ですし。
文官や貴族達の前では、のほほんとした雰囲気を出す気満々ですからね。
裏では相当、四苦八苦しているのは王都守備隊員なら知っていますし。」
ブルックも苦笑しながら答える。
「とりあえず現状での変更はなさそうだな。」
マイヤーが頷きながら言う。
「アーキン、さっきミア殿がクゥ殿にキタミザト殿が新作を作ったと言っていたんだけど、何の事?」
ブルックがアーキンに聞く。
「ん?クリフ殿下の街でキタミザト殿が新しいソースを発見したんだ。」
「「新しいソース?」」
ブルックとフォレットが前のめりになり聞いてくる。
「そうそう。で、キタミザト殿がそのレシピを買ってね。
夕飯で我々にも食べさせてくれたんだよ。
美味しかったなぁ~♪」
バートも楽しそうに言う。
「「ズルい!」」
女性陣が抗議をする。
「キタミザト殿も言っていたがアリス殿とクゥ殿の為にまた作るだろう。」
マイヤーが頷く。
「早く作ってくれないかなぁ~?」
ブルックが思いを胸に恍惚の表情をさせる。
「はは。その内出るだろう。
さて、お前たちも少し休め。」
「「「「はっ!」」」」
マイヤーの言葉にアーキン達4名が席を立ち退出していく。
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マイヤー達が話し合っている横で・・・
「きゅ。」
クゥが空いているソファの前から後ろを覗き込むとサッとタマがソファの裏に逃げ込み顔だけ出してクゥを見ている。
トコトコとクゥが裏に近寄り覗くとタマがさらに反対側に逃げ込みまた顔だけ出して見ている。
「きゅ?・・・」
トコトコ・・・サッ・・・トコトコ・・・サッ・・・
・・
・
「きゅ!」
「にゃ!」
さっきからソファを中心にクゥとタマがグルグル回っている。
「・・・クゥ、何をしているのですか?」
その様子を見守っていたミアがクゥに呼びかける。
「きゅ。」
「いや・・・気になるから追っかけてるって・・・
その子はタマと言います。
私の部下ですよ。」
「きゅ!?・・・きゅ♪」
「な!・・・何ですか!?『ミアの部下なら私の下僕だね♪』とは!」
「きゅ??」
「『あれ?違った?』じゃないです!
私はクゥの下僕になったつもりもありませんし、そもそも私の主は主だけです!」
「きゅ~?」
「え?そりゃ、確かに美味しい物をくれますけど・・・いや、そもそも主とは食べ物だけの関係ではないですよ?
ちゃんと私もお仕事していますし。」
「きゅ?」
「ええ、こうやって通訳しているでしょう?
私は戦闘は出来ませんし・・・そもそも主達に戦闘で勝てるのはクゥ達ドラゴンぐらいでしょう?」
「きゅ。」
クゥが頷く。
「タマ、こっちに。」
「ニャ。」
ミアの横にタマがやって来る。
「クゥ、この子がタマです。
人間種たちはラジコチカと言っているらしいです。」
「きゅ。」
「で、タマ、これがドラゴンのクゥです。」
「・・・ニャ。」
タマはクゥに平伏する。
「あと、クゥ、気が付いていると思いますが、門前辺りに2体います。
あれがコラとモモでこの子の親と姉です。」
「きゅ。」
クゥが頷く。
「3体とも私の部下ですからよろしく。」
「きゅ♪」
「いや・・・だから下僕じゃないって言ってるでしょう。
それよりクゥはどうするのです?」
「きゅ?」
「主とは王都の見学まで一緒にいる約束だったでしょう?
その後はどうするのです?」
「きゅ~?きゅ。」
「まぁ確かに主と離れてしまうと美味しい料理は食べれませんね・・・
でもだからと言って主が住んでいる家にまで来るのですか?
姉ドラゴンに何も言わずに?」
「きゅ。」
「『ドラゴンは自由だから良いんだよぅ』て言われても・・・
これは後でちゃんと主と話した方が良いですよ。」
「きゅ。」
クゥが頷く。
「さてと、主達が来るまで昼寝でもしますかね。」
「きゅ。」
「ニャ。」
チビッ子達が空いているソファに一塊になりながら昼寝を開始するのだった。
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