第462話 武雄達の昼食。アリスは王都の西の町にてマッタリ。
武雄達は車座になり、のんびりと昼食を取っているのだが。
「キタミザト様、そろそろキタミザト様の正体を教えてください。」
サリタが武雄に聞いてくる。
「ん?・・・言ってませんでしたか?」
「はい、まったく!」
サリタの返答にその場の全員が頷く。
「・・・それはすみませんでした。」
武雄は頭を下げ素直に謝る。
「じゃあ、教えてくれるのですか?」
「・・・」
武雄はそこで目を瞑り首を傾げながら考える。
「あの・・・」
「明日にしましょうか。」
「明日ですか?」
「ええ。明日、私の婚約者が合流してくるのでその後にしましょう。」
「「「婚約者!?」」」
鈴音とサリタとエリカが驚く。
「あれ?・・・言っていませんでしたか?」
「「はい!」」
鈴音とサリタが答え、エリカは「んー・・・」と腕を組んで悩む。
「それもすみませんね。私は既婚者1歩手前です。
明日の合流後皆にちゃんと説明しますからそれで良いですか?」
「まぁ・・・明日ならば・・・わかりました。」
サリタ達がしぶしぶ頷く。
「宿に着いて夕飯後にでも皆に説明しましょう。
皆さんもいろいろ質問もしたいでしょうからね。」
「主、平気なのですか?」
ヴィクターがコソッと武雄に耳打ちする。
「・・・エリカさん達は平気でしょう。
私の現在の立ち位置を知ったからといって何かしてくるとは思えません。
それにどうせ王都に行けばバレるのですから少し早くなっただけだと思います。」
「主がそう言うのでしたら。」
ヴィクターが離れる。
「それはそうと、さっき考えたのですけど。
フリップさん。」
「はい、何でしょうか。」
「懐中時計と小銃を作る際に必要な鋼材や素材リストを王都に着くまでにください。」
「素材リストですか?」
「ええ。もしかしたら私が居る地に無いかもしれませんので。
王都で確認しようかと。」
「確かにそうですね。」
フリップが頷く。
「カトランダ帝国では一般的でもアズパール王国では希少な物があるかもしれません。」
「わかりました。
必要な素材と20個を作るのに必要な大まかな量を記載しておきます。
あと、小銃は・・・何丁を?」
「そうですね・・・まぁとりあえず10丁くらいを目安に。
もしないのであれば代替品を探すか作るか・・・考えないといけないでしょうね。」
「出来れば代替部品は使いたくないですね。」
「そうでしょうね。
普通に考えればいきなりの改造ですものね。
私も出来る限り今は現状のままが良いと思っていますよ、今は。」
「い・・・今は?」
「はい、今はですね。
いつかの段階でしょうけども、大量生産する必要が出てくるでしょう。
その際にもっと良い素材が必要になるかもしれません。
そうしたら代替品というか・・・新素材の開発をしないといけないかもしれませんね。」
「新素材・・・」
ビセンテが難しい顔をする。
「おや?ビセンテさん。新素材には否定的ですか?」
「いえ・・・必要なら開発が必要なのは重々承知しています。
ですが、そう簡単に出来るのだろうかと思いまして。」
「難しいでしょうね。」
武雄はあっさりとビセンテの言葉を肯定する。
「開発とはそう簡単な物ではないでしょう。
まぁ1回目の試作で上手く行く場合もあるでしょうし、100回しても出来ない事もあるでしょう。
なので新素材開発は出来れば数年後の話にしたい物です。
今の所、皆さんが必要な鋼材が手に入る事を祈るのみです。
ですので、素人の私が王都で関係各所に確認に行く際に説明しやすい資料も作ってください。」
「わかりました。」
フリップは答え他の面々も頷くのだった。
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「・・・」
アリス達は王都の西の町に早々に着き、高級宿屋の一室にてマッタリしている・・・はずなのだが、アリスは困惑していた。
何故なのかは目の前の女子2名を見ればわかるのだが・・・
「で!?どうなのですか!?アリス殿!?」
「私達にも知識をください!」
ブルックとフォレットが詰め寄っていた。
「あの・・・私も別にタケオ様だけなので・・・その・・・わからないんですけど・・・」
「あの知識も武功も最高クラスを極めているであろうキタミザト殿の夜が普通なわけないです!
絶対夜の営みも私達が知らない知識で固められているはずです!」
「私達も夫婦円満になりたいんです!」
「いや・・・そりゃまぁ私が知っていた知識とは少~し違いましたが・・・でも」
「「その違いを教えてください!」」
「えーっと・・・でも詳しくは覚えていないのですけど・・・」
「「それでも構いません!」」
「誰にも言いません?・・・知っているのは第3皇子一家だけなんですけど・・・
あまり口外されても困りますし・・・」
「「はい!絶対に誰にも口外しません!家宝にします!」」
「じゃ・・じゃあ、覚えているいくつかを・・・」
この3人の中で一番年齢が低いはずのアリスが講師役になり、おずおずと武雄との知識を披露するのだった。
ブルックとフォレットは必死にメモを取って小一時間ほど講習を受けるのだった。
・・
・
「な・・・なるほど・・・」
「こんな姿勢があるんだ・・・」
ブルックとフォレットはさっきまでの講習のメモを読み返しながら「キタミザト殿は変人だったんだ」と認識していた。
一方のアリスといえば「言わなきゃ良かった」と悔やみ中。
「ち・・・ちなみにアリス殿、今の所4種類を教えて頂きましたが・・・
キタミザト殿はもっと知っていたのですか?」
フォレットが聞いてくる。
「えぇ、私では説明できないのですけど後何個かは知っています。」
アリスは言い辛そうに語る。
「これは・・・流石にキタミザト殿には聞けないし・・・」
「で・・・ですよね。」
「アーキン達に聞かせようか?」
「え?」
「アーキン?」
ブルックの言葉にアリスが聞き返す。
「はい。今回同行しているアーキンは私と、もう一人のバートはこのジョハンナと付き合う事になりました。」
「あれ?・・・えーっと・・・という事はこの旅で?」
「はい。
で、アリス殿聞いてください。
ジョハンナは実は初めてだったらしくて」
「ブルックさん!?アリス殿に何を言っているのです!?」
「初めては辛かったでしょうね。」
アリスがシミジミと言う。
「いえいえ、それが違うらしいのですよ。
ほら、ジョハンナ、話しなさいよ。」
「ブルックさんはいつも強引です。
でも・・・まぁ夜の秘訣も教えて貰いましたし・・・
実はですね。」
アリス達は女子会(?)を楽しむのだった。
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