第452話 さぁお昼だ。
「タケオさん!来ました!」
アンが武雄隊が車座になって昼食の準備をしている所に遊びに来る。
「おや?またお一人で?」
「ちゃんと護衛兵に許可は取りました!
距離を取って見守って貰っています。
お父さま達はまだ馬車で寝ているので散策です。」
アンはそう言うので武雄は目線をアンの後ろに向けると護衛兵と思われる2名が見守っていた。
「そうですか。
それにしてもクリフ殿下達は寝ているのですか?」
「はい。
お父さまもお母様方も朝から眠そうで・・・
なんでも『昨日は興奮しすぎて寝れなかった』と言っていました。」
「そうですか。」
「王都に行くのに何を興奮するのでしょうかね?」
アンが武雄に聞いてくる。
武雄は「えぇぇ・・・なんて説明すれば良いの?」と心の中で困惑するが。
「遠く離れて暮らす親や兄弟と会う機会はなかなかない物です。
それに家族で会えば普段部下達に言えない事も相談出来るでしょう?
アン殿下はエイミー殿下やクリナ殿下とおしゃべりは楽しくないのですか?」
「いえ!エイミーお姉様は楽しそうに私やクリナの事を見てくれますし、いろいろ話を聞かせてくれるんです。」
「どんな話をしているのですか?」
「えーっと・・・
エイミーお姉様は大人の女性になる為に大豆という豆を粉状にした物を飲んだり、小魚や牛乳、キャベツやカボチャを食べるようにしていると言っていました。
エイミーお姉様は十分に大人だと思うのですが・・・タケオさん、どういう事なのですか?」
アンはまたも武雄に聞いてくる。
武雄は「あぁ・・・エイミー殿下、とうとう食べ物で膨らませようと・・・苦労しているんだなぁ」とエイミーの努力を思い泣きそうになるが。
「そうですね・・・
健康的な体を維持したいという事なのかもしれませんね?」
「なるほど。
健康な体は大事ですものね!
私もした方が良いのでしょうか?」
「アン殿下の年齢ならまずはいろんな食材を美味しく食べて、良く遊んで良く本を読む事が大事だと思いますね。
それに殿下やエイミーさん達といろんな話をして本だけでない事も聞くのも良いかもしれません。」
「お話も本も好きです!
私のお気に入りはアリス様の本です!」
「やっぱりアリスお嬢様は人気者ですね。」
「タケオさんは凄いです!
あのアリス様を射止めたんですから!」
アンが興奮ぎみに言ってくる。
「そうですね。
私は果報者ですね。」
武雄は朗らかに言う。
「そう言えばアン殿下、レイラさんがアリスお嬢様の次回作を作っていましたよ?」
「本当ですか!?
王都に行ったら本屋に行ってみます!」
「あれ?直接聞きに行かないのですか?」
「はい!本屋に行って手にして買ってくるのが良いのです!
ワクワクするんですよ!」
アンが目をキラキラさせながら言ってくる。
「なるほど。」
武雄は嬉しそうに頷く。
「王都に行く楽しみが増えました!
と、それはそれですが・・・タケオさん達の昼食のサンドイッチは何ですか?
見たことがないのですが?」
「ん?これですか?
昨日のソースとオーク肉のサンドイッチですよ。」
「昨日の野菜炒め以外にも出来たのですか!?」
「はい。
出来ましたよ。」
と武雄は4切程、バスケットから取り上げて紙に包みアンに渡す。
「アン殿下達もどうぞ。」
「ありがとうございます!
お母様達と食べます!
では。」
アンは足早に馬車に戻って行くのだった。
「ご主人様、私達の用意も出来ました。」
ジーナが近寄って言ってくる。
「じゃ、皆さん、食べましょうか。」
「「「はい」」」
武雄達は一斉に食べ始めるのだった。
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「ただいま戻りました。」
アンがホクホク顔で馬車に戻って来る。
馬車に入ると中は昼食の準備が終わっており、クリフ達も起きていた。
「アン、おかえり。
タケオさんの所に行っていたの?」
ローナが声をかけてくる。
「はい。
昨日のソースで作ったサンドイッチを貰ってきました。」
「昨日のソースを使ったサンドイッチ?」
「いったいタケオさんは何を作ったのかしらね?」
セリーナとローナが首を傾げながら言う。
「食べてみればわかるだろう。
タケオの事だまた私達の想像の上を行くだろうしな。
アン、皆で食べようか。」
クリフが楽しそうに言う。
「はい!」
アンが席に座り、皆でカツサンドから食べ始めたのだが・・・
「ん!」
「は!?」
「な!」
「美味しいです♪」
一口食べてクリフ達の動きが止まってしまう。
「あのソースを使うと肉がこんなにも美味しくなるのか・・・」
クリフはカツサンドをマジマジと見ながら呟く。
「・・・アナタ・・・」
「ん?セリーナ、どうした?」
「ソース、タケオさんが独占しなくて良かったわね。」
セリーナがプルプル震えながら言っている。
「そ・・・そうだな。
タケオが言っていたが販売方法を間違えなければという言い方は控えめ過ぎるな・・・
どんな売り方をしても確実に売れる。」
「タケオさんはそれを王都や王領では売らないと・・・どれだけの利益を譲歩したのよ・・・」
ローナがうな垂れる。
「・・・クリフ、いくら渡す?」
セリーナがアンに聞こえないようにクリフに聞いてくる。
「んん・・・王都に行ってからニールとウィリアム、3人で話し合う。
これはうちだけの問題ではなさそうだ・・・」
クリフが思案するのだった。
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「「「これからもよろしくお願いします!」」」
フリップ、シントロン、ビセンテの3工房の店主とその家族・・・カトランダ帝国から来た5人がカツサンドを食べた後、土下座していた。
鈴音は感涙しているし、マイヤー達3人とヴィクター親子は武雄の横で正座して頭を垂れているし。
エリカとカサンドラは「私達もするべきでは!?」とオロオロしている。
周りの兵士達は何事かと見ていたりする。
「美味しいですね♪」
「ニャ♪」
ミアはカツサンドをタマは衣の部分をスープに浸して柔らかくした物をこちらももりもり食べながら我関せず。
「あ・・・えーっと・・・はぁ・・・」
武雄は苦笑しか出来ないのだった。
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