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第447話 武雄達の帰路。第1皇子一家の夕飯。

武雄達一行は今、第1皇子一家の屋敷で作った人数分のプリンをバスケットに入れて貰い、執事長に先導されながらウスターソースの販売店に向かっている最中だ。

「いや~大騒動でしたね。」

武雄が腕をグルグル回しながら言う。

「それにしてもキタミザト殿。

 結局何品作ったのですか?」

アーキンが聞いてくる。

「んー・・・メインの肉料理のソースと付け合わせとスープとプリンですね。」

「ほぼ全てですか。」

「いや~それにしてもオークの肉って何ですか?

 私的には豚肉にしか見えないし、ちょっと味見しましたが豚肉の味だったのですけど。」

「「え!?」」

アーキンとバートが驚く。

「あぁ・・・キタミザト殿。

 オーク肉は一般に出回っている物です。

 ちなみにオークは魔物なのですが、肉が美味しいので討伐した際には姿丸ごともしくは腕や腿を持って来ると買い取ってもらえますよ。」

「へぇ・・・そうですか。

 食材が魔物なんですね。

 ヴィクター達は食べたことありますか?」

「はい。主、アレは家畜ですね。」

「ほぅ、家畜。」

「いやいや、それは魔王国のみでしょう。

 アズパール王国では害獣でしかありません。

 困ったことに人間を襲って女性に対して繁殖までする始末ですからね。

 見つけ次第駆除することが求められます。」

「人間と交配するのですか?

 いやはや・・・困った物ですね。」

「ご主人様、オークは低能なんですよ。

 同族で結婚するのが普通なのにオークは手当たり次第に交配をしようとします。

 人間、獣人、エルフお構いなしです。」

「・・・人間がオークの子を宿すとどうなります?」

「・・・出産時に腹を食い破って出てくるそうです。」

「駆除しましょう。

 そんな悲惨な事は起こすべきではないでしょう。

 ・・・あれ?ジーナの説明では、オークはさっきの3種族と交配は出来るのですよね?

 じゃあ人間も獣人やエルフとは交配が出来るのですか?」

「はい。主、出来ます。」

「では、その際の種族的な特徴はどうなるのですか?」

「半々の割合で能力が出るとのことですね。

 どちらかと言えば、母体に影響されるとの報告は見ましたね。

 ですが・・・例えば私達獣人と人間となら狼に変身が出来ないが、人間より少し身体能力が高い者が産まれるでしょう。」

「相乗効果ではなく能力半減なんですね。」

「はい。ですので基本的には同族での婚姻が理想とされています。」

「なるほどね。

 ・・・ヴィクター、ジーナ。」

「「はい。」」

「種族関係なく好きな人と結婚して良いですからね?」

「は?いやいや。主、なぜ今の話から異種族間の結婚を擁護するのですか?」

「え?だって子供の適性は確かに同族であった方が良いのでしょうが、それはそれですよ。

 個人の恋愛感情を抑える物ではありません。

 それに、どんな子供が出来ても人間種より能力が高いのでしょう?

 著しく能力が劣ってしまうなら可哀想ですが、そうならないみたいですからね。

 両思いなら別に私的に何か言うことはありませんね。

 ジーナも好きな人が出来たなら、種族関係なく祝福して上げますからね。

 あ、でも旅人とか身元不明とか定職に就いていないとかはやめて欲しいですね。

 祝福し辛いですから。」

「はぁ・・・わかりました。」

ジーナは生返事をするしかなく、ヴィクターは「主は変人だ」と思うのだった。


------------------------

第1皇子一家は夕飯のため食堂に集まっていた。

「・・・セリーナ。」

「ええ、ローナ。」

妃2人は配膳されたお品書きを見ながら確認し合う。

2人が見ていたお品書きにはスープの所に「※クリフ殿下のには王都で使ったのと同じキノコを使用。クリフ殿下のには記載なし」と書かれていた。

「ん?どうした?」

クリフが聞いてくる。

「いえ・・・スープの所なんですけどね。」

「・・・」

セリーナの返事にローナがクリフを無言で見つめる、

「ん?キノコと卵の滑らかスープか?」

「ええ。スープが滑らかって・・・と思って。」

「確かにな・・・シチューなら滑らかという表現はわかるが、見た目はキノコと卵のあっさりスープだな。」

「食べてみるしかないわね!」

「あぁ、そうだな。

 と、アン、どうした?疲れた顔をして?」

クリフがアンの表情を見ながら聞いてくる。

「そうね。

 タケオさんの調理を見ていただけなのに疲れちゃった?」

ローナが朗らかに言う。

「う・・・」

アンは「皆の分のプリンを作ったから疲れた!」と声を大にして言いたいが、親達の前で「調理を見る」と宣言した以上、その言葉を飲み込む。

「まぁ、タケオさんがいろいろ指示も出していただろうし、目まぐるしかったのでしょうかね?」

「・・・タケオさんは料理長に指示を出して料理長が皆に指示をしていました。

 それに新しいソースの為の料理をさっさと作っていました。

 ・・・タケオさんは行動が早かったです。」

アンは考えながら答える。

「ふむ、流石だな。

 さ、食べようか。」

「「「はい。」」」

・・

その日の夕飯で第1皇子夫婦は満面の笑みに包まれるのだった。

アンはその光景を見て「タケオさん!ありがとうございます!一生御恩は忘れません!」と感謝をするのだった。

ちなみに約2名ほど「流石!タケオさんだわ!味良し!効能良し!今夜も頑張らなきゃ!」と違う意味の感謝をするのだった。


裏でプリンを食べた執事長以下執事とメイド達はその美味しさに涙し、料理長以下料理人は自分たちの知識の無さに悔し涙を流していたらしい。

そして皆が一様の「ありがとうございます。キタミザト殿!」と新しいメニューが増えたことに感謝をするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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