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第438話 エルヴィス家でプレゼン。

エルヴィス邸の広間には、朝から仕立て屋組合の工場建設に伴う用地選定のプレゼンが行われていた。


エルヴィス家よりエルヴィス爺さんとスミス。

文官からは総監部としてフレデリックと執事3名。総務局、財政局、経済局、整備局、環境局が局長と部下2名ずつ来ていた。また軍務局からはハロルドと副団長と兵士長と第1小隊長が、そして仕立て屋組合の組合長とラルフともう2人が出席していた。


プレゼンは順調にバーナードとカーティスそして整備局の若手がプレゼンを終えていた。

そしてプレゼンをした者達は別室に移動して待機している。

また、仕立て屋組も退出して客間にて話し合いをしている真っ最中だ。

仕立て屋組の検討結果を待っている広間の者達もお茶をしながら休憩を取っていた。

「・・・3案件を聞いたのじゃが・・・

 皆どう思う?」

エルヴィス爺さんがフレデリックに聞く。

「そうですね・・・

 街南案はラルフ殿の店からの距離を優先的に考え立地を生かしています。

 家賃も周辺の相場通りでしょう。

 街北案はエルヴィス邸がある街中心付近に置くことにより従業員やラルフ殿が移動する距離を等距離にしていますし、月々の家賃も周辺の相場より少し抑えていますね。

 そして整備局案は文官達が居る庁舎の端の倉庫を改修する案を出してくるとは・・・

 面白い事を考えましたね。

 タケオ様の案ならさらに奥の農地を借り上げると思っていましたが・・・

 整備局長、簡単で良いので局内ではどう考えているのか説明は出来ますか?」

と。フレデリックが聞くと整備局長が立つ。

「はい。

 実は整備局、財政局、経済局の若手で最初はキタミザト様からの案の通りに農地を借り上げようと考えておりましたが、費用を試算をした所、想定よりも高いという結果になりました。

 そこで費用を安く抑える方法を模索したのですが、次年度・・・来年の4月から始まる庁舎の端の倉庫群の修繕を思い出し、対象の庁舎横の倉庫を3階建ての建物にし、1階部分を倉庫に2階及び3階を貸し出す方が費用が低く抑えられるだろうという結論になりました。

 それにしても街北のプレゼンを聞いた時に驚きました・・・今回プレゼンで提示した家賃が街北とほぼ同じです。

 農地案を推し進めなくて良かったです。恥をかくところでした。

 それに街北よりも距離的にうちが不利ですから仕立て屋の工場には採用されないでしょうね。」

整備局長が苦笑をフレデリックに向ける。

「なるほど。主、どう思われますか?」

フレデリックが頷きエルヴィス爺さんに聞く。

「うむ、タケオの案に縛られない素晴らしい変更案じゃの。

 家賃についてはしょうがなかろう。

 街南、街北共に付随する収益源があるのじゃからの。

 うむうむ、うちの若手達もなかなかやるの。しっかりと考えておるのはわかる。大したものじゃ。

 それに・・・整備局長、これはタケオへの提案じゃの?」

「はい。キタミザト様は王都から研究所の設立が指示されるとのこと。

 なら専用の建物が必要になります。

 どのくらいの人員が研究所に入るのかはわかりませんが・・・あの倉庫の広さで3階建てなら賄えるだろうと。

 そうすれば王都からいくらか補助も入りますので倉庫の修繕費用と合わせれば建て替えも出来ると考えています。」

「ふむ、そうじゃの。

 ちなみに3階建てにするにはタケオからいくらの費用を捻出させれば可能かの?」

「そうですね・・・金貨300枚は必要かと。

 素材費については軍務局頼りになってしまいますが・・・」

整備局長が兵士長に顔を向ける。

「研究所にするには総石造りにするのでしょうかね?

 なら魔法師小隊の訓練として石材を魔法で作らせますか。

 まぁ問題はないと思います。」

兵士長が答える。

「うむ、デビットすまぬが研究所が設立される時は対応してくれ。」

「畏まりました。」

「あとは・・・街南案と街北案の残った方の救済策をどうするかの。

 まぁ仕立て屋達がどう結論付けるのか・・・その後じゃの。」

「はい、そうですね。」

エルヴィス爺さんの呟きにフレデリックが頷くのだった。


------------------------

エルヴィス邸の客間にて仕立て屋組合の組合長とラルフともう2人が悩んでいた。

「組合長・・・どれも素晴らしいのですけど。」

ラルフ以外の1名が言う。

「わかっている。

 どの案も素晴らしいな・・・そして費用的にもどれも想定より低い。

 まさか街南案の家賃があそこまで抑えるとはな・・・

 相場の1.5倍は見られるだろうと思っていたが・・・今回の工場建設は誰もが街の発展を期待しているという事か。

 ラルフ、どう思う?」

「私としては街南案で良いかと・・・

 他の仕立て屋も街南側に多いですので利便性も高いと思います。」

「確かにな。

 実質的にはラルフのトレンチコートの量産工場だ。

 ラルフがやり易いようにした方が良いだろう。

 皆、それで良いな?」

組合長の言葉にその場の全員が頷く。

「よし、それで動こう。」

組合長の言葉に皆が席を立ち広間に向かうのだった。


------------------------

仕立て屋組が客間から戻り、エルヴィス爺さんに「決めました。」と一言言うとフレデリックが別室に待機していたプレゼンした面々を呼んでくる。

そして皆が席に着いた段階でエルヴィス爺さんが言葉を発する。

「うむ、全員揃ったの。」

「はい。では、仕立て屋組合長殿。

 この街での仕立て屋組合の工場建設はどの案を採用されますか?」

フレデリックが仕立て屋組合長に聞く。

「はい。

 我々仕立て屋組合は街南案を採用し工場建設を実施しようと思います。」

「うむ、そうか。

 わしは了承しよう。」

組合長の言葉にエルヴィス爺さんが頷く。

「では、双方、街南案を元に仕様詳細の協議を始めてください。

 また素案が出来次第、関係各所にて書類の審査があります。

 その辺も抜けが無いようにお願いします。

 今回の仕立て屋組合の用地選定プレゼンは終わります。


 さて、街北案と整備局案については、保留とさせますので破棄はしないようにお願いします。

 少しエルヴィス家にて審議させて頂き後日、ご連絡を入れます。

 以上です。」

フレデリックの言葉を受け皆が席を立ちエルヴィス爺さんに礼をする。

「うむ、皆ご苦労だったの。」

エルヴィス爺さんは朗らかに頷くのだった。

・・

皆が退出した後、エルヴィス爺さんとスミス、フレデリックと執事3名が残っていた。

「さてと、とりあえず終わったの。」

「はい。

 フレデリック、タケオ様にこの結果を送るのですよね?」

エルヴィス爺さんの言葉にスミスが頷きながらフレデリックに聞いてくる。

「はい。今回の資料一式と結果をレイラお嬢様宛にお送りします。」

「そうですか・・・タケオ様に追伸として街北案の救済策を検討してもらえますかね?」

「はい、畏まりました。

 そのように手紙に書かせて頂きます。」

とフレデリックが朗らかに礼をする。

エルヴィス爺さんもスミスを見ながら楽しそうに頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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