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第434話 クリフの謝罪。

「クリフ殿下、お呼びでしょうか。」

「タケオ来たか。

 アシュトンの息子がここでお別れだ。

 アシュトンが留守の間、領主代理をするのでな。」

と、クリフが説明するとアシュトンの息子が礼をしてくる。

武雄も礼を返すと息子はさっさと自身の馬の方に行ってしまう。

「・・・アシュトン殿は王都までご一緒して頂けるのでしょうか?」

「ふむ・・・アシュトンは最低でも私の公領を通り過ぎ、王領に入った町までは来るかな?

 あとは未定だ。」

と、クリフが苦笑しながら言ってくる。

「・・・アシュトン殿。

 お孫さんには何と言っているのですか?」

「おや?クリフ殿下からお聞きしましたか?」

「ええ、私としても第1皇子殿下一家の誰かが聞く前に第3者からお孫さんの結婚観を聞き出すのはありだとは思いますが・・・

 王都に行く理由は何と?」

「鮮紅のアリスが王都に来ているそうなので会ってみてはと。

 あの者は最近、婚約したそうですからな。

 いろいろ話をして見聞を広めろと言っています。

 それにしても鮮紅と婚約する物好きが居るとは思いませんでしたがな。

 おっと、キタミザト殿はエルヴィス伯爵の配下でしたな。この話はご内密に。アハハ!」

と、アシュトンが笑う。

武雄は笑顔をアシュトンに向ける。

こっそりとクリフを見ると愕然としているし、マイヤーを見ると体全体で明後日の方を向いている。

「・・・アシュトン殿、息子殿に言伝てをされなくても?

 カトランダ帝国の事もあります。念を入れておいた方がよろしいかと思いますが。」

武雄はアシュトンに促すと。

「そうですな、息子は少し後先考えないで動いてしまいますからな。しっかりと言っておきましょう。

 では、クリフ殿下、少し場を離れます。」

と、アシュトンはクリフに礼をして息子の方に向かう。

・・

「さて、クリフ殿下。」

武雄は腕を組み顔をクリフに向けないまま声を発する。

「はい・・・」

クリフは若干項垂れる。

「目の前で婚約者の事をああいう風に言われると、あまり気分が良い物ではないのですけど?

 まだ1回目ですから笑って済ませても良いですが、次の時・・・アリスお嬢様の前であのような事を言ったら・・・次は王都のどの騎士団が歓迎式典を開催するのか言ってくださいね?」

武雄は真面目な顔をクリフに向ける。

「タケオ、すまん。」

「そもそも昨日の事といい・・・アシュトン子爵は私に喧嘩を売っているのですか?」

「タケオ、本当にすまん。

 どうも馬車の中での会話で私がな・・・私がタケオに甘く接していると小言を目一杯言われてな・・・昨日は押しきられてた。

 ああは言ったが私はタケオ達に恩を売る気はないし、ヴィクター達の進退を政争に使う気もない。

 それは馬車の中でも話したであろう?

 タケオの事だ、国家間の争いになるような大事にはしないだろうからタケオの好きにしてくれて構わん。

 だが、私の立場上、他の貴族がいた場合、表面だけでもタケオに厳しくしないといけない事もわかってくれ。」

クリフは軽く頭を下げる。

「アシュトンについては・・・ヤツはたぶん何も考えないで発言している気がする。

 思った事を口に出しすぎるのはもう癖だな。これは昔からなのだ。

 それにあそこは武門の家系で良く言えば実直なのだ・・・タケオにも言っただろう『割りとまとも』と。」

クリフは厳しい顔で言ってくる。

「わかりました。

 今後、そう言った場面があった場合は、事後で良いのでウィリアム殿下経由で私にクリフ殿下の本心を伝えてください。

 伝言がない場合はその言葉がクリフ殿下の本心と捉えてこちらも動きますよ。」

「わかった。私も王家もタケオと敵対する気はない。

 その通りにしよう。」

クリフは素直に頷く。

「それにしてもアリスお嬢様と私の事は事前に言わなかったので?」

「普通に考えてタケオの爵位とアリスの婚約話が同時に伝わった時点で粗方気がつくと思っていたんだが・・・

 こっちに呼んで話を聞いて貰おうとしか言ってないな。

 それにタケオはエルヴィス家の配下と爵位の通達で知っているからな。

 思っていてもそういった事は言わないと思っていたが・・・割とまともはやっぱりまともじゃなかったな・・・」

クリフはため息をつく。

「アシュトン子爵には私からは何も言いませんので。」

「あぁ、こっちで説明しておく。

 謝りに行かせるか?」

「いや、あの手の者は自身の考えを押し通すとみます。

 武官上がりの家風なのでしょう?すぐには考えを改める事もしないでしょう。

 口先だけの謝罪を貰ってもね・・・

 謝りにくる時間があるならアリスお嬢様への言葉を考えさせておいた方が良いですよ。」

「そうか・・・次同じことがあった場合は王都で歓迎式典が催されるのか?」

「ええ、王都の歓迎式典が楽しみですね。

 今回は私とミアとコラ親子、そしてヴィクターにジーナですか。

 皆で歓迎式典に参加しないといけないでしょうね。

 前回のエスコートが第2騎士団でしたね。

 今度は第1騎士団ですか?」

「クリフ殿下、キタミザト殿がやる気を出すと絶対アリス殿も参加すると言い出すと思います。」

「そうだな・・・

 もう前回の歓迎式典で資金を使い切っているからな。

 新たな資金はまだ準備できていないだろう。

 タケオすまんが今回の歓迎式典は延期にしてくれるとありがたいな。」

「主催者がそう言ってくるのであれば・・・ですかね?」

「わかった、伝えておく。」

「クリフ殿下、お願いいたします。」

武雄はクリフに礼をする。

と、アシュトンが戻って来る。

「お待たせしました。

 直ぐではないですが、関の警備体制を厚く出来るように私の留守中に兵士達と話し合うように指示しておきましたぞ。」

と、アシュトンが報告にくるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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