第425話 35日目 さて部下も出来ましたし寝ましょうか。
「「「「・・・」」」」
草むらから出てきた武雄一行を皆が凝視して言葉も出さないでいる。
「んー・・・説明が必要ですか?」
武雄が苦笑しながら言う。
「「「「ぜひ!」」」」
皆が即答する。
「そうですか・・・縄張り争いに敗れたので行き場を失ったそうです。
なので、ミアの部下にしました。
コラとモモです。」
「「ニャ。」」
2体は伏せの態勢を取りながら鳴く。
「触っても平気ですよ。
襲ったりしない事を命令しています。」
と、武雄が言うとマイヤー達5名を除く皆が触りに行く。
「怖いもの知らずだなぁ」と武雄は呆れるのだった。
ちなみにコラは言わずと知れた体長3mのラジコチカ。
モモは体長1m程度のラジコチカ。
年齢は25歳でタマが末っ子でモモが3番目との事。
ちなみにモモの名を聞いた時、武雄はツッコミをする気にもなれなかった。
「末っ子がタマだもんね~。和風な名前が良いんでしょ?」と半ば考えるのを放棄していた。
「ミア殿の部下・・・ですか?」
マイヤーが武雄に近寄り声をかけてくる。
「ええ、そこに落ち着きました。」
「主が断らないから・・・」
ミアが武雄の肩に乗りながらため息交じりに呟く。
ちなみに説得の最終段階でミアが自力説得が無理だとさとり「主に決めてもらいましょう!?」と投げた所、「私の部下は優秀ですから部下が増えても問題ないでしょう?」と即決。
ミアは「主は私を信頼し過ぎです!」とニヤ付きながら抗議していた。
「ちなみにタマと同様に私の指示には従って貰えるようになっています。」
「・・・キタミザト殿、その・・・ビーストマンを王都に連れて行くのですか?」
フォレットが聞いてくる。
「ええ、面白いでしょう?」
「「「「いやいやいや!」」」」
アーキン達4名が拒否に入る。
「さ・・・流石にこの大きさだと怒られるのではないですか?」
アーキンが聞いている。
「誰に?」
「・・・陛下に。」
「・・・陛下はむしろ面白がるのでは?」
武雄が思案しながら答える。
「「「「・・・確かに。」」」」
4人はガックリとする。
「クゥが平気なのですからコラも平気でしょう?」
「う・・・そこでクゥ殿が出てきますか?」
ブルックが顔を若干顔を引き吊らせながら言う。
「特級の災害が王都で食っちゃ寝していますけど・・・あれに比べればマシでしょ?」
「それはそうですが・・・
ラジコチカをどうされるのですか?」
マイヤーが唸る。
「私が住んでいる街の周辺の魔物を統治して貰います。」
「んー・・・上手くいきますかね?」
「いかなくても現状より悪くはならないでしょう。
それに結果的にですが、私達の屋敷でタマを預かりますからコラ達も私達に反抗は当分はしないと思いますね。」
「当分ですか?」
「タマがコラ並みに大きくなったら屋敷内で飼えませんからね。
街外に住まわせないと・・・」
「その時に反抗してきたらどうされますか?」
「?駆除するだけですよ?
そこはコラ達にも伝えています。
私達に迷惑をかけたら駆除の対象になることも納得済みです。
それに元々コラは人間をあまり襲わなかったのでしょう?
あまりそこまで考える必要はないと思いますけどね。」
「そうですが・・・大丈夫でしょうか?」
「さて・・・先々の事を的中させるのは難しいでしょうね。
まぁ万が一の際は皆で駆除すれば平気でしょう。」
「はぁ・・・やはりそうなりますか・・・」
マイヤーが半ば諦めながら言う。
「・・・あぁ!そうか!ふふふ。」
武雄は何か閃いたのか楽しそうに笑う。
「・・・キタミザト殿、何を思い付かれたんでしょうか?
この話の流れだと嫌な予感しかしないのですが?」
マイヤーが恐る恐る聞いてくる。
「エルヴィス領内でコラを頂点に種族を越えた魔物組合でも作って貰って縄張りを統治させるのも手ですね。
コラと同格の魔物で人間をあまり襲う気が無く縄張りの管理がちゃんと出来る者が良いですね。
そうすれば兵士の数を増やさずとも街道等の安全が確保出来そうです。」
「ん?話が変わりましたね。
割とまともな考えです。」
「で、統治している中で暇な魔物に兵士達の相手役をやって貰いましょうかね。」
「なんですと!?」
「ん?エルヴィス領は魔王国と対峙しています。
ですが、エルヴィス領の兵士は人間相手の訓練しかしていません。
魔物相手の訓練をしていないのです。
折角、コラが居るのです。
練習相手にはちょうど良いでしょう。」
武雄はウンウン頷く。
「いや・・・流石に魔物を毎回相手にするのは・・・
それに魔物は民を襲うのでは?」
「人間を襲う気があまりなく自らの縄張りの管理が出来る魔物と言いました。
もし嘘を言って領民を襲った場合は駆除します。
まぁコラの傘下に入らない場合も駆除しますか。
どちらにしても兵士の訓練には持って来いですね。」
武雄は楽しそうに言う。
「勝手に決めてよろしいのですか?」
「ん?・・・んん・・・確かに。エルヴィスさんに聞きますか。」
「そ・・・それが良いでしょう。」
マイヤーがホッと安堵する。
武雄は「別に飼わなければ問題ないでしょう?」と楽観視するのだった。
「さてと・・・さっさと夕飯を食べて明日に備えて寝ましょうか。」
「そうですね。
さ!夕飯にしましょう!」
マイヤーが声を張り上げ皆を動かすのだった。
その日は皆がマッタリしながら・・・皆が肝は据わっているようでコラ達をあまり気にもせず普通に就寝するのだった。
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